「うおぉー! おおー!……おお?」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 らいすさんの映画レビュー(感想・評価)
うおぉー! おおー!……おお?
原作はジャンプ本誌にて一通り履修。アニメは遊郭編から追えていません。
綺麗な作画、目まぐるしいカメラワークで描かれる迫力満点の高速アクションシーンは相変わらずで、ハイクオリティなアニメが散見されるようになった昨今でも全く色褪せていません。
広大無辺な無限城の様子も圧巻で、自分は原作を読んだ時「どうせ呼び込むなら薬の分解とやらが済んでから小分けにして呼べば何の憂いもなく鬼狩り共を皆殺しに出来るだろうに無惨様はエンタメが分かって居られる方なのだなぁ」などと思ってしまったところがあるのですが、あれだけ広ければ確かに自分に辿り着かれる心配がないと思ってしまうのだろうという説得力も感じました。
背中が猛烈に痛いからだ、と真顔で言い出す義勇さんや急に出てきて恐らく一面識もない獪岳をやたら的確に痛罵していく愈史郎くんなど、さらりと流されるシーンにある独特のおかしみも原作を感じさせて好印象です。
本当によく出来た映像だった。本当によかった、んですが、思うところもないではなく
回想シーンの多さは既に言われていることで、回想があることそのものが問題だとは思わないのですが、この回想、血湧き肉躍るアクションシーンの合間を縫うように小刻みに挟まる上に非常に丁寧に作られています。
そのうえで、アクションシーンの合間合間にキャラクターのモノローグを利用して動きの説明や敵の能力の推察、時に戦闘そのものとは関係のない内省なんかが挟まります。その間画面は止まっていたりスローモーションです。これが非常に多い
モノローグ類の殆どは原作に元からあったものなんですが、紙面の上に文字情報としてあるものならすぐに読めてしまうものでも、音声を付けるとなってしまえばどうしても時間がかかります。
結果どうなるかと言うと、せっかくの血湧き肉躍るハイスピードアクションであるというのに肝心なところで……お、遅い。"透明な世界"の件などは解説の竈門炭治郎氏のモノローグと父、炭十郎氏が熊を退治する回想を一連の流れとして極めて丁寧に行っている事もあり、戦っている猗窩座と義勇さんはずーーーーっとスローモーションです。熊を倒すところ、原作だともうちょっとあっさりしてたと思うんですがなんとかならなかったのか。
鬼滅の刃という作品は確かに元から回想が多いのですが、紙面上で見る限りはさらりと流されている事が多くあまり読んでいて気を持たされた覚えは無いのですが、これほど間延びした印象になってしまったのは映像化の弊害だと思います。
勿論映像になって音と動きがついた事で理解が深まることも多く、原作だとどうしても何をやっているか想像を働かせるしかなかった技に動きがついたのは嬉しかったですし、強引に自分の肉体を殴りつける猗窩座の姿の不格好さに彼の自らに対する怒りが強く見て取れたのは本当に良かったと思う。
それでも全体の構成としては間延びしてしまった印象が否めず、無限列車編の方が映画としては好きだったなぁという想いがあって星は4つとさせて頂きました。
無限城編が何部作になるかは分かりませんが、今後に期待したいです
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