逃走のレビュー・感想・評価
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闘争、逃走、逃争
連続企業爆破事件の被疑者として49年の逃亡生活の末、2024年ガンによって死ぬ直前に身分を明かした東アジア反日武装戦線の元メンバー桐島聡の話。
身分を明かす直前、病床でうなされながら過去を振り返るモノローグでみせていく。
実はベースではあるけれど、亡くなる直前に素性を明かした訳で、逃走中の行動や機微は概ね監督の想像や監督自身の思想が強く反映されたものになっていると思われるが、そちら側に近いところにいたこの監督だからこその解説的な側面もあるのかと。
途中、自問自答部分で主人公も言っていたクドさを感じはしたものの、自分勝手だけれど哀しさも感じるし、ある意味では罰を受けている様な主人公の暮らしをみせる物語で、なかなか面白い作品だった。
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半世紀経ても、なにも変わっていない?
連続企業爆破事件の指名手配犯で、死ぬ間際に正体を明かした桐島聡の物語。まあ、昨年の事件だったこともあり、際物と呼ぶ類の、速成映画化だ。その点では『電車男』以来のタイムリーイメージ。だがしかし、元日本赤軍の足立正生監督作品ということで、相当に角度がついている。大きな流れの真実は、日雇い仕事で転々と逃走(闘争)した、という事なのだろう。そこを、様々なエピソードで膨らませ、死にゆく霧島の妄想として、かつての仲間との闘争の総括闘論のシーンなどが描かれる。このあたりは、足立監督のアジテーションなのだろう。あまりに諦観的、自省的、しかし闘い続けるしかない霧島の心象風景を監督は創造している。かなり感傷的に。そう、同じ戦場で闘争した『戦友』の死を悼むかのように。
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