「生涯信じ続けること」逃走 HKさんの映画レビュー(感想・評価)
生涯信じ続けること
左翼過激派活動の是非はともかくとして、
信じた道を貫き通した桐島聡の生涯を描いた本作は、
ほとんどが逃走という本人にとっておそらく不本意な形ではあったと思うが、
不思議と爽やかな鑑賞後感が漂う。
それは、日雇い仕事を点々としながら逃走しつつ、
ときに理想に対する自身の疑念と対峙して苦しむ姿が描かれる一方で、
飲み屋で職場仲間や隣の席の人間に絡んだり、
バーでダンスを踊ったり、活動家の仲間と再開したり、
といった日々の暮らしのシーンにおいて、
登場人物のセリフやキャラクターにユーモラスで明るいテイストが随所に散りばめられ、
たまに出てくる演劇的な構図も相まって、比較的客観的に描かれているのが要因と思う。
古舘寛治さんのどこか自虐的な笑いや表情、佇まいや、独特の語り口は、
主人公のキャラクターに付合していてすごく引き込まれた。
大友良英さん、山下洋輔さん、坂田明さん、といったフリージャズ名手の音楽もぴったり。
”教皇選挙”とは全く違った話ですが、信じ続ける生涯を描いた映画だと感じた。
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