劇場公開日 2025年3月15日

「半世紀経ても、なにも変わっていない?」逃走 t2lawさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5半世紀経ても、なにも変わっていない?

2025年3月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

連続企業爆破事件の指名手配犯で、死ぬ間際に正体を明かした桐島聡の物語。まあ、昨年の事件だったこともあり、際物と呼ぶ類の、速成映画化だ。その点では『電車男』以来のタイムリーイメージ。だがしかし、元日本赤軍の足立正生監督作品ということで、相当に角度がついている。大きな流れの真実は、日雇い仕事で転々と逃走(闘争)した、という事なのだろう。そこを、様々なエピソードで膨らませ、死にゆく霧島の妄想として、かつての仲間との闘争の総括闘論のシーンなどが描かれる。このあたりは、足立監督のアジテーションなのだろう。あまりに諦観的、自省的、しかし闘い続けるしかない霧島の心象風景を監督は創造している。かなり感傷的に。そう、同じ戦場で闘争した『戦友』の死を悼むかのように。

t2law