アイミタガイのレビュー・感想・評価
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この世は良き縁によって生かされている!
久々に繊細で心が優しくなれる美しい映画を見た気がしました。ヒロイン(黒木華)の大親友である女性カメラマンが、外国で亡くなったこと以外は、淡々と進む日常が描かれます。しかし、実はそれこそが本当の幸せを含んでいるということを、見事に端々に表現しているこの作品に、ものすごく感動しました(正直5回ぐらい泣きました)。ドラマチックな人生でなくても、日常はこんなにも多くの愛が潜んでいるのだということを、改めて教えていただいたようです。家に帰ったら、家族や隣人たちをもっと大切にしたくなりました。タイトルの「アイミタガイ」は、実に含蓄が深い言霊です。その意味は、人間は縁によって生かされているということなのでしょうか。劇中では「アイミタガイ」を「持ちつ持たれつ」と表現していましたが、私たちの人間関係において、誰にもお世話にならないで生きている人などいないということなのでしょう。良く因縁(物事の持っている定まった運命)という言葉を使いますが、この作品では見事にそれを日常の中で再現しています。ヒロインの彼氏が電車の中で本を落として起こした人物は実は亡くなった女性カメラマン父親だったとか、ヒロインに結婚指輪を作ろうと出かけた店の店主が、ヒロインの携わった結婚式に出席していたとか、それらの幾つもの出来事の偶然(必然?)に思わず唸ってしまいました(びっくりする設定です!)。この世は全て縁で繋がり偶然など一つもないような気さえしてきます。そして登場人物たち、ひいては人間全てが自然に幸福の方向へ、愛の方向へ、間違いなく進んでいるという表現に滂沱の涙でした(感謝!)。きっと、良い人だけ登場する作品も嘘偽りではないのかもしれません。
実は繋がってるってのが好きみたい
超オススメ
「まぁとにかく観て!」って思える作品
中学時代のイジメにあっていた時に助けてくれた同級生と長く良い友人として付き合っていた中、不慮の事故に遭いその友人を亡くしてしまった主人公の話
普段、私は座右の銘として「情けは人(他人)の為ならず」心掛けていて「アイミタガイ」とは意味が違うのですが亡くなった友人が他人に情けをかけていた事により、めぐりめぐってその友人の親御さんの傷を癒やす為に恩が帰ってきたのだなぁと思ったら親御さんが出るシーンは全て泣いちゃった
当然、他にも点と点が繋がる良いシーンが沢山あります
観てのお楽しみです。
出演されている演者の皆さんが最高に良くて風吹さんは年齢を重ねても可愛いなぁなんて思ったり最後の主題歌を黒木さんが歌っているのですが、これがまた良いのです
本当に観てほしい作品
アイミガタイの空に
性善説で世界は出来ている映画。
名古屋と言うちょうど良い都会で、田舎のような全員知り合いみたいな世界でも無く、本当ちょうど良いサイズで人の繋がりと奇跡で産まれる幸せを描く。
もうね、顔も名前も知らないどっかの誰かに、少しずつ助けられ、幸せを得てんんのよ。
何処かで誰かに助けられ自分も知らずにだれかを助けてる。
この映画の登場人物全員が善人。
世界がこうで有ればサイコーだな!!
ん?
んじゃさ、開始早々主人公を事故に巻き込んだ車のドライバーは何んなん??
顔も名前も出てこないから、彼か彼女か知らんけど、あのドライバーはどう言う因縁で不幸をを産んだの?
アイミガタイの理念なら、主人公からの発信因縁、主人公近くからのいじめ暴力じゃないと事故巻き込むとか理屈が通らない!
映画のカメラに映らないだけで、主人公に不幸を与えられてたって人生なの?あのドライバー?
あの後交通刑務所に収監されて、口にねじり棒突っ込まれたり、意地悪な署長に帳簿のごまかしとか手伝わされ、下水道で脱獄試みたりすんの?
幸福の連鎖だけ描かれてもさー。
アイミガタイ。
余りに美しくウェルメイドだったけど、そっちのお互い様感は都合よく無視してね?
ゴメン、この映画に関わったので悪人なのは、心の汚れた俺一人だけです。
オモイはカタチになる
観たことを心より感謝したくなる映画
悪人ゼロ、みんなイイ人ばかり、その上何にも起こらない、設定上主人公・梓(黒木華)の親友・叶海(藤間爽子)が交通事故で無くなってしまうことだけは大事件ですが。にもかかわらず観終わって押し寄せる豊かな情感はどうだろう! 映画もいろいろタイプはあるけれど、観てよかった!と心のポケットがひとつ増えたような善なる歓びを得られる作品は得難い。
アイミタガイとカタカナで記されるタイトルの意味を主人公達は「初めて聞いた」と言ってますが、えっ?こんなの知ってるものと私は思ってまして、梓の叔母(風見じゅん)が言葉の説明を映画の中でし出した時は、さすがに白けました。そんな映画のキモを言葉で解説なんてあり得ないでしょと。「相身互い」は正確には「相身互い身」で、同じ身分や立場の者達はお互いに助け合う意味で、昔の武士の言葉の名残らしい。映画では「お互いさま」と受け身のように言ってますが、積極的に助けましょうのニュアンスの方が強い。翻って「情けは人の為ならず」となるわけで。
黒木華がメインではあるけれど、完全に群像劇で、①結婚式場に務める梓(黒木華)と中学からの親友である叶海(藤間爽子)の友情、②梓と彼氏である澄人(中村蒼)の恋の進展模様、③途方に暮れる叶海の両親(田口トモロヲ&西田尚美)に突然児童養護施設の所長(松本利夫)が訪れる、④要介護の高齢者こみち(草笛光子)の面倒をみるヘルパーさん(安藤玉恵)、⑤梓の叔母である(風吹ジュン)との関わり、⑥梓と叶海の中学時代の追憶と不思議なピアノ演奏、⑦澄人の喋る電車の居眠り男のハナシ、⑧宝石店の主人と孫の関係、などをベースにそれこそエピソードのそれぞれがアイミタガイとばかりに関連し絡み合う脚本が秀逸。
近鉄の全面協力で三重県の桑名市がベースとなっている。夕暮れ時の温かい照明に包まれた電車の走行シーンは温かく、まるで前述のエピソードを連結しているよう。すれ違う人々、駅で車内でホームで、みんな赤の他人として振る舞っているけれど一皮めくれば、あれやこれや繋がりがあるかもしれず、ただ知ろうとしてないだけ。原作の短編エピソードを繋ぎ合わせた脚本ですが、相互の人物の絡みは脚本時点で点と線を結び合わせたのでしょう。上出来の繋がりの連続に嫌味や作為は全く感じさせず、ただただ心優しくなるのです。これが新宿駅でしたら有り得ないのです、だから人口約14万人の桑名市が活きるのです
そのために「ピアノを聞いたことがある」の種明かしに中学時代までさかのぼり、電車で居眠り叔父さんのハナシを、さて誰でしょうとフックをかけ観客に過去シーンを提示する。ご都合主義なんて貶さないで下さい、人生なんてこんなもので、広いようで社会は狭いのです。だからお互い様に助け合う意味がある。
それにしても黒木華は引っ張りだこの人気者で、実力のみならず最近妙にキレイになりましたよね、山田洋次監督の「小さいおうち」(2014)の頃は昔風が売りでしたのにね。圧巻は「九十歳。何がめでたい」(2024)でも魅力炸裂の草笛光子でしょう、宴会場で堂々たるピアノ演奏の素晴らしさ、すっと伸びた美しい背中を惜しげもなく輝かせるブルーのドレス、作品が締まるとはまさにこの事です。驚きは初めて観ます友人役の藤間爽子で、コケティッシュなキュートさで、出番は少ないのに強烈な印象を残す。引っ込み思案な梓をグイグイ推すポジティブが役柄とともに活きてます。これから伸びる逸材でしょう。
観ないと損します、本当に。
素晴らしい作品に拍手喝采👏
何度もじんわりと
いやあ、泣いた、泣いた。
心が疲れちゃった人や、温かい話が観たくなった人。そんな人におすすめです!
写真家の友人を若くして事故で失った結婚式場の女性プランナーの主人公と今ひとつ頼りない彼氏。主人公同様に悲しみから抜け出せていない友人の両親。大好きなピアノをある出来事以来封印している90歳を超えた女性の家に家事手伝いに行くことになった女性。こういった人々の毎日を描いた映画。
俺は、なんだかさまざまなシーンにハマってしまって、ずっとずっと涙を流してました。いやあ、泣き虫爺さんも極まれりだわ。
悪い人はいない、汚いこと、嫌なこともない映画。情けは人のためならずを描く映画。そんな映画をどうぞ!
おまけ1
音楽の妙。結婚式場で使われる曲たちは、やっぱり素敵な曲ばかりなんだね。
おまけ2
ラストの "I meet a guy." もしゃれたエンディングで好きです。
おまけ3
> 情けは人のためならず
人のためにではなく、巡り巡って俺に返ってくるからやっているんだ、という気持ちで押し付けがましくない人生を送ろうと思います。
誰かが人のために何かをすると、世界の平和係数がほんの少し上昇する。きっとそんなことなのだろうなと、これだけは、かなり若い頃から思ってます。平和係数は、いつか科学で解明されるだろう、とも。
期待度○観賞後の満足度◎ 観る前は“相身互い”という言葉はもっと人間関係が密な時代・場所に合うように思ったが、人間関係が希薄になっている現代だからこそ意味がある題名かなと今は想う。
《原作未読》
①人肌というか、程よい温度の程よいペースで人と人との繋がりを紡ぐ物語。
先ず感心したのは演出の安定度と堅実さ。且つTV監督と映画監督を兼ねる人の演出に往々にして有るような味気なさがない。
②本来の“相身互い”の意味からすれば近江八幡?に住む梓のお祖母さんとそのお隣さん(ボヤを起こしたお祖母ちゃんの住む)との関係が一番しっくり来る。
主要登場人物群の中で敢えて“相身互い”の身の上と言えるのは梓と叶海の両親であるが、本作中ではラスト近くでやっと相見えることになる。それまではLINEで一方通行の梓のメッセージが、親友を無くして前に進めない梓と、最愛の娘を無くして前に進めない両親(特に母親)との“相身互い”の絆となっている(ここが本作の脚本の巧さであり弱点でもある)。
③それ以外の登場人物達の繋がりは、どちらかと云うと“袖振り合うも多生の縁”“風が吹けば桶屋が儲かる”みたいな感じだが(正確にはちょっと違いますが)、誰かの好意が誰かに幸運をもたらし誰かの後押しが誰かが人生の新しい一歩を踏み出す勇気と結果をもたらす、と云うと事を描きたかったのだと思えば、まるでアガサ・クリスティのミステリみたいに狭い世界の中で実は皆に何らかのリンクがあったというような現実では起こり得ないことでも映画脚本としては巧く構築されていると思う。
④だから、
話出来すぎ。だが、それが良い。
こんなん何度でも泣くわ!
予告ですでに泣きそうになってしまった本作。期待して公開2日目に鑑賞してきましたが、期待以上に素敵な作品で大満足です。
ストーリーは、中学生の頃からの親友・叶海を事故で亡くして以来、なかなか前に踏み出せず、叶海のスマホに今でもメッセージを送り続けている、ウェディングプランナー・梓が、仕事の関係でピアノ演奏を依頼に行ったこみちという女性の家で、中学時代の叶海と過ごした日々を思い出し、もう一度前を向いて歩き出すまでの姿を、梓の恋人や叔母や祖母、叶海の両親、高齢のピアニストこみち、宝飾店の店主などの織りなす群像劇として描くというもの。
優しさだけで作られた、とても温かな作品で、終盤は涙の乾く間がありませんでした。そこに姿はなくとも、周囲の人々の心の中に叶海が存在し続けていることが痛いほど伝わってきて、胸が苦しくなると同時に、とても温かくなります。これだけ多くの人に愛されていたのは、叶海自身が多くの人を愛していたからでしょう。彼女の撮った写真の中の無数の笑顔は、ファインダーを覗く彼女自身の笑顔が引き出したものでしょう。
そんな彼女に救われ、無二の親友として過ごしてきた梓の心情が、中学時代から大人になった今まで丁寧に描かれ、物語の確固たる軸になっています。中学時代の叶海を演じる白鳥玉季さんは言わずもがなですが、最近注目している近藤華さんも見事に梓を演じていて、大人の梓を演じる黒木華さんにしっかりと繋いでいます。このスムーズな華華リレーが、本作の根幹をしっかりと担っています。
梓と叶海のほかも、基本的にいい人だけしか登場せず、ラストで炸裂する伏線回収コンボにも完全にノックアウトです。ちょっとできすぎだとは思いますが、気づかないだけでこんな奇妙で素敵な縁ってあるんじゃないかなとも思わせてくれます。叶海の父の言葉を借りれば、「嘘くさい物語かもしれないが、それでもそれを信じたくなる」という、まさにそんな思いを強く感じます。
「アイミタガイ」、初めて聞く言葉ですが、なんて素敵な言葉でしょう。自分の心の中の醜い部分がこれで少しは洗い流せたのではないかと思うほど、涙が溢れてきました。できればもう一度、今度は一人だけで鑑賞して、周囲に憚ることなく浸ってみたいと思います。
主演は黒木華さんで、しっとりとした演技に心を揺さぶられます。脇を固めるのは、中村蒼さん、藤間爽子さん、近藤華さん、白鳥玉季さん、安藤玉恵さん、升毅さん、田口トモロヲさん、西田尚美さん、風吹ジュンさん、草笛光子さんら。若手からベテランまで実力派揃いの完璧な布陣です。中でも草笛光子さんの全く衰えのない存在感に圧倒されます。
最後はおもわずほっこり
小さな勇気や優しさが誰かの背中を押す
親友を亡くした主人公が、前に進めるようになるまでの物語。登場人物それぞれの優しさや思いやりが、意外なところで繋がり、誰かの背中を押していく。
親友の死から始まり、喪失感を抱えながらも日常を送る主人公は、作中で自ら大きな行動を起こすわけではない。心の整理がついていないのだから仕方ない。
代わりにキーマンとなるのが主人公の彼氏。ひとの良さの権化のような彼は、頼りないし空気が読めないし運が悪い、ようでいて、実は彼の優しさと勇気によるちょっとした行動が、巡り巡って主人公や彼女を取り巻く人々の大きな救いになっていく。そしてそれは一周回って彼の望みを叶えることにも繋がっていく。
ちょっと綺麗にできすぎていると言えばそうなのだけれど、作品の舞台が東京ではなく地方都市であることも、そういうおおらかなことがあってもいいよね、と感じさせる。景色もどこかノスタルジックで美しい。
そして物語の終盤で親友の父親が言う、登場人物の皆が優しいひとである物語はない、でも今はそれを信じたい、といった台詞。それはまさにこの作品が綺麗すぎることを認めつつも、そんな美しくて優しい世界が現実にあるかもしれない、その可能性をまるごと肯定したい、という祈りでもあるように感じた。
ただ、どうしても気になったのが、親友が写真を許可なしで街中で人を撮っていたこと。もちろん、そんな野暮なことで文句を言うつもりはないのだけれど、現実だと問題になるだろうな、などと考えてしまい、少しノイズになった気もする。そんなことも問題にならない優しい世界、と考えるべきなのかもしれないけれど。
(今の時代に作品を作ることの難しさですね…)
総論、疲れているひとにおすすめしたい、最初から最後まで嫌なひとがほぼ出てこない、優しい作品。自然と涙が流れるシーンがたくさんあって、やわらかな気持ちで映画館を後にすることができた。
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