劇場公開日 2024年11月1日

アイミタガイのレビュー・感想・評価

全199件中、1~20件目を表示

4.0死者と背中

2024年11月4日
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鑑賞方法:映画館

 予告やチラシから「これは、絶対いい話に違いない!」と思うと同時に、強引に感動させられるのはイヤだな…という警戒心も。けれども、いざ蓋を開けてみたら、なんとも塩梅よい。ちょうど良い加減で、観る人の背中を押してくれる良作だった。
 まず、おお!と思ったのは、大好きな俳優さんたち(名バイプレイヤーと呼ばれる人たち)が次々に登場すること。「あの俳優さん出てくると、(悪人が善人か)どっちかなーってハラハラするけれど、今回は大丈夫だったね」と、同伴者とほくほく振り返ることができた。もし、「いつもヤな役ばっかりやってるよな」と思う俳優さんがいるならば、ぜひ本作で新たな面を見つけてほしい。個人的にいちばん嬉しかったのは、「Cloud」でぶっ飛んでた吉岡睦雄さん演じる車谷さん。ちなみに同伴者は、「ラストマイル」で翻弄されまくっていた安藤玉恵さん!とのことだった。
 友人の・家族の死を受け入れ、新たな一歩を踏み出すまでに、様々な人の「ちょっとした」言動が絡み合い、大きなうねりとなっていく本作。急逝された佐々部清監督さんが脚本に名を連ねていることからも、本作は死にまつわる物語といえる。佐々部さんの思いが若手に受け継がれ、みずみずしい物語が生まれた。死はつめたく悲しいだけのものではなく、あたたかく広がり、人と人を繋げていくものであると素直に思えた。それから、これまで地名しか知らなかった桑名の町並みも魅力的で、佐々部監督の「六月燈の三姉妹」が思い出された。古びた家が連なり、川が流れ、あちらとこちらを繋ぐ橋がある。初めてなのに、懐かしい感じがして、物語とよく馴染んでいた。
 なんてことないやり取り、思い付きの行動が、ちいさな偶然と結びつき、誰かの人生の背中を押すかもしれない。そう思うと、ちょっと背筋が伸びる。本作は、そんな「背中」にまつわる物語でもあった。
 あれこれシーンを思い返すほどに、自然に顔がほころぶ。そのまま少し顔を上げ、背中をピンと伸ばして歩きたくなる。時には誰かと手をつなぎ、時には一人でスキップなんかして。

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cma

4.0「情けは人の為ならず」と「ペイ・フォワード 可能の王国」

2024年11月12日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

「相見互い」の語義は広辞苑によると「同じ境遇や身分の者は互いに同情し合い助け合うべきであるということ」だそう。映画の原作である中條ていによる同名の連作短編集は未読ながら、映画「アイミタガイ」の趣旨は本来の語義通りではなく、むしろ「情けは人の為ならず」に近いと感じた。他人へのちょっとした親切、手助け、心遣いとったものが、めぐりめぐっていつか自分に還ってくる。これに近い趣旨でハリウッド映画でも「ペイ・フォワード 可能の王国」(2000年)があったが、あちらは子供が始めた小さな善行が大きな社会運動になっていくといういかにもアメリカらしい派手な感動ストーリーだった。

一方こちらの邦画は、ごくごくささやかな他者への思いやりだとか、ちょっとした勇気で人を助けたことが、わずかではあるが関わった人々の心を温かくする、コミュニティーを良い雰囲気にするといった、いかにも日本的な情緒を感じさせるエピソードに、大切な人をなくした喪失感とそこからの再生をからめた切なくも愛らしい珠玉作になっている。派手さはないもののよく練られたシナリオだと思ったら、市井昌秀監督(「箱入り息子の恋」「台風家族」)が脚本の骨組みをつくり、佐々部清監督(「チルソクの夏」「半落ち」)が企画を温めていたが2020年に他界、最終的に監督を務めることになった草野翔吾が脚本にも名を連ねている。この映画の製作自体にも多くの人々の思いがバトンのように託されて実現に至ったバックストーリーがあるようで感慨深い。

相見互いであれ、情けは人の為ならずであれ、昔から受け継がれてきた美しい心のありようが、この映画を通してまた多くの人に広がっていくと素敵だなと思う。

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高森 郁哉

5.0とても素敵でした。

2024年11月21日
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ゆっくりと、心の中に、お話が溶け込んでくるよなうな感覚でした。とても大切な人をこの世からいなくなるということの現実…受け止めなきれない心の叫びヲ推し殺して凛と振る舞っていてる。主人公の華ちゃん…逆に凛としてそれでいて悲しみがまとわりついてるようで…けどほんとは違うのに。いっぱいいっぱい悲しかったら大声で泣き叫べはいいのに。人はだれでもりひとりぽっちでは生きていけないものなんだ!改めて心に刻む。『縁』てすごいよね!幸せになるためには人の痛みをわかってあげれるようになりたい。そう思えた。
とても感動しました。何度も観たい映画でした。黒木華ちゃん…いい女優さんになられました。ますますすてきでした。周りの人達に、囲まれているからこそ幸せなのだ改めて確信しました!すべての些細な出来事が繋がるのが気持ちいい!黒木華ちゃん---とても素敵でした。

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Gugugu Fegaro

4.5今年のNO.1では!

2024年11月21日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

日本映画らしい、心に響く、素晴らしい作品でした。原作は、読んでないですが、脚本がよく考えられていて、鑑賞したあと、心が暖かくなる映画でした。また、役者さんも好演でした。黒木華さんは、もちろん、藤間爽子さん、その学生時代を演じた、近藤華さん、白鳥玉季さん、安藤玉恵さん、西田尚美さん、草笛光子さん他日本の役者はすごいなとあらためて感じました。地味であっても、こういう映画を作り続けてほしいとおもいました。

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めーやん

3.0いままでいい人間しかでてこない小説なんて噓くさいと思ってたんです。でも今は、それを信じたい。

2024年11月20日
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鑑賞方法:映画館

ベタなキャスティングから想像できる話のスジも、流れてくる音楽が誘う方向性も、だいたい想定内に進んでいく。それを退屈ととるか、安定ととるか。演出が過剰であると感じるものの、その先を説明したら野暮だよってところまでは踏み込まず、最後のおいしいとこはちゃんと客に委ねてくれている気はした。ベタと言いつつも、やはりそれぞれの登場人物が、そのそれぞれの役者の得意演技だけに、例えばテレビドラマに勧善懲悪ストーリーを求める層には、心置きなく泣けて、満足して帰れる映画なのだろう。俺は?俺は天邪鬼なので、いい話すぎて物足りないが。
ちょっと気持ちが揺れたのは、エンディングを黒木華が歌っていることに気づいた時かな。ストーリーと何の脈絡も感じない流行歌手が突然のように最後の最後に歌い出すよりも、主人公が歌うことのほうが全然いいし、余韻にもなる。

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栗太郎

3.0こんなものかな

2024年11月20日
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鑑賞方法:映画館

 評価が高かったので鑑賞しました。
 そんなに立ち入ったことを言ったり聞いたりするんだ?そんなに偶然縁が絡み合うことがあるのかな?(これがこの映画の醍醐味なのはわかるのですが)と何回か思いつつ、感動の盛り上がりがないまま「え、ここで終わり?」と少し驚いてしまったのですが、まあこんなものかなという印象です。
 縁も親も大事にしたいなと思いました。

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えがお

3.5黒木華さんの歌が素敵

2024年11月20日
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泣ける

笑える

悲しい

レビュー4.0で伺いました。
抑揚ないゆっくり流れる感じが好きな人は楽しめると思います。AIの時代に心と心、人と人の奥深い絆やつながりみたいな話のストーリー。なんかむず痒い感じもありました。歩きながら会話するシーンとかも映画撮影みたいな風に感じてしまう。片手に携帯触りながら歩く日常に溢れてるからか?ぶつかりそうになって、舌打ちされる世の中だからか?昔はこういうシーンが違和感なく普通に観れてたのになぁとストーリーとかけ離れて物思いにふける瞬間があったりしました。1番は、黒木華ちゃんの歌に癒されました。歌も素敵なのでまた歌聴きたいです。黒木華ちゃん大好き

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ぽんちゃん

4.0黒木華の作品としては合格点

2024年11月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

黒木華好きなので作品はだいたい見てます。今回もいい泣きの演技してました。
ストーリーも、「そんな偶然が重なるかよ!w」と突っ込みたくなるところもありますが、
映画的で許せる範囲です。ラストの終わり方もいい感じ。
声が大好きなので、華さんの歌声でエンドロールを見られるのも幸せな時間でした。

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ガレ

4.0相互いが、相手を想う事が大切ですね。

2024年11月19日
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鑑賞方法:映画館

まったくの興味が無かった作品ですが、映画・COMの評価が良いので、鑑賞しました。

不覚にも「アイミタガイ」の意味を知らなかったので、勉強になりました。
人と人のやり取りは、打算的に"貸し借り"ではなく、損得でもなく
もっと おおらかに"関わり続ける"事が大切だと実感しました。

僕は、フェイスブックにおいて、友人の誕生日には、幼馴染みや リアル友人そして FBFにも、友好度とは関係なく
全員一律に、同じ誕生日カード(JPG)を贈っていますが、
亡くなられた方すべてに対しては
メッセージコメントを毎年贈るようにしているので、主人公の気持ちが よく理解できます。

写真家の友人が、ガサツで、男なら盗撮で逮捕されます。

子供の頃聴いた「夜明けのマイウェイ」を、"声量がまるで無い!黒木華が歌うと、素人のようでリアルで良い演出でした

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YAS!

4.0桑名

2024年11月19日
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鑑賞方法:映画館

じんわりする心地よい映画でした。
流石に伏線回収がやり過ぎとは思いますが。
桑名が舞台というのも良かったです。

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やまぼうし

5.0間違いなく星5つ

2024年11月19日
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キャストもいいし、ロケ地もいい
なぜか黒木華さんが浅田真央さんに見えてしまう

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Assane

4.5知らないうちに多くの人々との関わりにより生きている

2024年11月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

グラディエーターⅡとどちらを観るかで迷った挙句、こちらを選択、成功でした。観る人の心を温かくする素晴らしい作品でしたね。
主演:黒木華さんお見事です。脇を固めるキャストの皆さんも、このメンバーで外れるわけがないという安心感のある方々ばかりですね。
舞台になっている桑名の町の景色が綺麗で、キャストの皆さんの微妙な心の動きをとても引き立てていて、このような繊細で情緒ある作品は日本でしか作れないと感じました。
とにかく、物語のいたる所に伏線が散りばめられていて、ラストに向け丁寧に回収してゆくストーリーは拍手ですね、特にタイトルの意味が回収される辺りは感動です。
決して大ヒットするようなエンタメ作品ではないですが、日本人にしか作れない人の心を大きく動かす観て後悔しない感動作品でした。

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ミネルバ250

4.0たとえ会えなくても

2024年11月19日
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鑑賞方法:映画館

最近、LINEの「既読」が苦手です。
送られてきたら、早めに読んであげなきゃと気を遣ったり、送るときには、早く読んでと催促しているように思わせたりしていないかと気になったり。なかなか「既読」にならなくても、「既読」になってからなかなか返信が届かなくても、何かモヤモヤするものを感じたり。
目に見えるつながりを感じさせてくれる一方、何か物足りなさ、寂しさを感じます。
※なので、最近はミュート送信を汎用しています。

SNSでつながっていなくても、「既読」にならなくも、どこかで何かでつながっている人がいて、何かで支えられているんだと改めて感じさせてもらえました。そして、そういうつながりの方が確かなものなのかなとも思わせてもらいました。

原作の良さもあったのかもしれませんが、場面やセリフのつながりが見事で心地よく鑑賞しました。
このアプリのレビューを読みながら鑑賞を決めましたが、やっぱり、たまには「良い人ばっかり出てくる作品」も良いなーと思いました。

草笛さんのピアノ演奏のあとには、私も大きな拍手を贈りたくなりました。

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Eiji

5.0潔さと爽やかさ

2024年11月18日
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涙が止まりませんでした。懐かしい風景と人々の記憶が折り重なってひとつに収斂していく。遠くに行ってしまった人の言葉が背中を押す。大切な人に出来ることは、その人のことを想い出すこと。潔さと爽やかさという点で何か重なるものを感じる登場人物たち。最後に美しい声で歌うのはまさか?えっやっぱり!初めて歌声を聴きました。感動です。1人でも多くの人に見てほしい映画です。

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Groovy

2.0あまり響かなかった

2024年11月18日
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鑑賞方法:映画館

レビューが良かったので期待しましたが、私には特段響かなかったです。
多感な時期だったりお疲れの時に見たらまた感想が違うのかもしれませんが、私は元気満々で鑑賞したのでw、得るものが少なかったのかもしれません。
偶然が重なりすぎてるのはまぁ、そういうお話なので理解できます。
最大の違和感は、私から見て梓(黒木華)にあまり魅力を感じなかった点。
優しい人たちでまわるお話だと思っていたけれど、梓→澄人への優しさはあまり感じられなかった。澄人は梓のナニに惹かれてそんなに健気なの??
梓が澄人に放つセリフを男女逆転して澄人が梓に発したとしたらイラッとしそう、と思うシーンがちらほらあって、優しさはめぐるというのがテーマならまずは一番近くにいる人に優しくしようよ、と梓に語りかけたくなりました。

子を亡くす親の心境は、切ないです。
ただ、いじわるな見方で語るなら「その設定を使えばそりゃ切ないさ」と分かっているから、安易に使わないでいただきたいなとも思う。
私は【人の死】に寄りかからないで、それでも心に染み入る物語が好きです。

草笛光子さんの矍鑠としたお姿には拍手喝采です。
一部、ご自分でピアノをひかれていましたね。

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やあやあ

4.0大袈裟じゃなくて…

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

人一人生きるということは身内だけじゃなく知らず知らずのうちに広く人に何だかの影響?印象?を与えているということ。標準語で始まったドラマに突然近鉄電車が走っててびっくり!「アイミタガイ」が桑名の方言かと思ったのですが、故佐々部監督の想いがあったんですね。残念ながらお客さんが少なかったので遠慮なくぼろぼろ泣けました(笑)みんなに観てほしいなぁ。

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えがたろう

3.0久しぶりに優しい綺麗な映画を見た

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

全部偶然?奇跡?が重なり出来事が連鎖していっててほんとーーーにたまーーーにこういう出来事あるよね。
ずっと優しく切ない時間が流れていた映画。
あずさは良い友達を持ったよねぇ。そんな友人いないからすごく羨ましいと思った。
あと彼氏も、いい奴、優しい奴!
結局前に進ませてくれたのも友人だし、2人はずっと繋がってるんだね。
エンディングの黒木華さんの歌もよかった。
子供がいる人とかの方がこの映画は響くのかなと思った。

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はず

4.5きっと私たちも気づいていないだけ

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

アイミタガイ(=相身互い)。呪文のようなコトバ。
それは、造語ではなく、昔からある日本語だということを本作を観て知った。

物語は、主人公:梓(黒木華)の親友:叶海(藤間爽子)の死から始まる。この叶海の存在、彼女の生前の言葉、行動が物語を紡ぐ重要な糸になっている。

登場人物達に起こる日常の出来事。
叶海は糸の役割を果たしている。奇跡を起こす糸。
日常のちょっとした出来事を繋げて奇跡を起こす糸。映画だから、私たちが体験できないような世界を創ることができる。奇跡を起こすことができる。彼女は特別な存在?

私は、特別な存在がなくても、私たちの周りでも、この作品で起こったような、小さな出来事が、点が、そこかしこで発生していて、別の点と繋がったりしていると感じた(作品の舞台を桑名という地方都市に設定したのも、奇跡ではなくて、これは私たちにも起こりうることだということを示唆しているように思う)。
点と点を繋ぐ線は、知らないところで繋がったり、途中で途切れたりして、多くは私たちの前に現れない。私たちが気づいていないだけで。

映画の場面場面を思い起こしてみると、「点」を発生させるのは、1人1人の、小さな優しさだったり、思いやりだったり、お節介だったり、少しの勇気だったり。取り立ててドラマチックなものではない。
しかし、その1つ1つの、バラバラに発生した点が、少しずつ線となって繋がっていき、とうとう1つの円環となって、最後に大きな出会いとドラマを生む。
線となるには、何らかの「縁」が必要なのだろう。それが、この作品では叶海であり、現実世界では、「アイミタガイ」の精神、人と人の繋がりなのかもしれない。

そして、この物語は、前に進めなくなった人が前進し始める力を得る物語でもあった。
親友の死を受け入れられず、結婚にも踏み切れない梓。言いたい一言が言えない澄人(中村蒼)。娘の死を受け入れられない親(田口トモロヲ、西田尚美)。人前でピアノが弾けなくなったこみち(草笛光子)。
彼ら、彼女らが前に進む力を得たきっかけは、小さな点のようなものから始まっている。自ら気づき、あるいは人に恵まれた彼ら、彼女らは、それぞれが一歩を踏み出す・・・。

105分という決して長くない尺の中で、丁寧に人を描き、日常を描き、物語を紡ぐ。決して起こらない、でもひょっとしたら起こるかもしれないと期待をさせるような、日常と非日常の間(はざま)を魅せてくれた脚本と、演者達。心を込めて創った作品であることが伝わってきた。

人に優しくしよう、思いやりを持とう、と肩に力をいれる必要はない。心の中で沸き起こった想いを、面倒くさがらずに言葉にして相手に伝える、ちょっと行動に移してみる。「アイミタガイ」でその言葉や行動が自分に返ってこなくてもいい。
そのうちの何分の1かは、点となり、あるいは次の点と繋がるかもしれない。それが、どこかの誰かの日常に、少しの幸せをもたらしているかもしれない。そう考えると、自分の日常にも幸せを感じられるかもしれない。

そう思いたい。
そう思わせてくれる、とても優しい映画でした。

(2024年映画館鑑賞32作目)

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TS

3.0優しい涙が繋がる物語

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

大好きだった「ちょっとマイウェイ」繋がりで劇場に足ヲ運んだ口でしたが、、縁と助け合いを考えさせられるいい作品でした。田口トモロヲもまたいい。

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ケンちゃんパパ

4.0良作

2024年11月17日
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素晴らしい‼︎
素晴らしい脚本。素晴らしい抑えられた演技。素晴らしい音楽。
処どころに散りばめられた小さな記憶。それらが後半に一気に伏線回収され涙が止まらなくなります…

ほのぼのしたい方にお勧めの作品です。

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えーじ