アイミタガイのレビュー・感想・評価
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死者と背中
予告やチラシから「これは、絶対いい話に違いない!」と思うと同時に、強引に感動させられるのはイヤだな…という警戒心も。けれども、いざ蓋を開けてみたら、なんとも塩梅よい。ちょうど良い加減で、観る人の背中を押してくれる良作だった。
まず、おお!と思ったのは、大好きな俳優さんたち(名バイプレイヤーと呼ばれる人たち)が次々に登場すること。「あの俳優さん出てくると、(悪人が善人か)どっちかなーってハラハラするけれど、今回は大丈夫だったね」と、同伴者とほくほく振り返ることができた。もし、「いつもヤな役ばっかりやってるよな」と思う俳優さんがいるならば、ぜひ本作で新たな面を見つけてほしい。個人的にいちばん嬉しかったのは、「Cloud」でぶっ飛んでた吉岡睦雄さん演じる車谷さん。ちなみに同伴者は、「ラストマイル」で翻弄されまくっていた安藤玉恵さん!とのことだった。
友人の・家族の死を受け入れ、新たな一歩を踏み出すまでに、様々な人の「ちょっとした」言動が絡み合い、大きなうねりとなっていく本作。急逝された佐々部清監督さんが脚本に名を連ねていることからも、本作は死にまつわる物語といえる。佐々部さんの思いが若手に受け継がれ、みずみずしい物語が生まれた。死はつめたく悲しいだけのものではなく、あたたかく広がり、人と人を繋げていくものであると素直に思えた。それから、これまで地名しか知らなかった桑名の町並みも魅力的で、佐々部監督の「六月燈の三姉妹」が思い出された。古びた家が連なり、川が流れ、あちらとこちらを繋ぐ橋がある。初めてなのに、懐かしい感じがして、物語とよく馴染んでいた。
なんてことないやり取り、思い付きの行動が、ちいさな偶然と結びつき、誰かの人生の背中を押すかもしれない。そう思うと、ちょっと背筋が伸びる。本作は、そんな「背中」にまつわる物語でもあった。
あれこれシーンを思い返すほどに、自然に顔がほころぶ。そのまま少し顔を上げ、背中をピンと伸ばして歩きたくなる。時には誰かと手をつなぎ、時には一人でスキップなんかして。
「情けは人の為ならず」と「ペイ・フォワード 可能の王国」
「相見互い」の語義は広辞苑によると「同じ境遇や身分の者は互いに同情し合い助け合うべきであるということ」だそう。映画の原作である中條ていによる同名の連作短編集は未読ながら、映画「アイミタガイ」の趣旨は本来の語義通りではなく、むしろ「情けは人の為ならず」に近いと感じた。他人へのちょっとした親切、手助け、心遣いとったものが、めぐりめぐっていつか自分に還ってくる。これに近い趣旨でハリウッド映画でも「ペイ・フォワード 可能の王国」(2000年)があったが、あちらは子供が始めた小さな善行が大きな社会運動になっていくといういかにもアメリカらしい派手な感動ストーリーだった。
一方こちらの邦画は、ごくごくささやかな他者への思いやりだとか、ちょっとした勇気で人を助けたことが、わずかではあるが関わった人々の心を温かくする、コミュニティーを良い雰囲気にするといった、いかにも日本的な情緒を感じさせるエピソードに、大切な人をなくした喪失感とそこからの再生をからめた切なくも愛らしい珠玉作になっている。派手さはないもののよく練られたシナリオだと思ったら、市井昌秀監督(「箱入り息子の恋」「台風家族」)が脚本の骨組みをつくり、佐々部清監督(「チルソクの夏」「半落ち」)が企画を温めていたが2020年に他界、最終的に監督を務めることになった草野翔吾が脚本にも名を連ねている。この映画の製作自体にも多くの人々の思いがバトンのように託されて実現に至ったバックストーリーがあるようで感慨深い。
相見互いであれ、情けは人の為ならずであれ、昔から受け継がれてきた美しい心のありようが、この映画を通してまた多くの人に広がっていくと素敵だなと思う。
「なにか、いろいろうわって」
この作品がなぜ賞レースに絡まないのか?
映画館で、何度も何度も押し寄せる感情に耐えられず、泣いてばかりの映画だった。
wowow での放送あり、またまた同じように泣いた。
大きな事としては、若い女性が不慮の事故で亡くなるのみ。
あとは、亡くなった人を巡る人たちの普通のよくある日常が描かれてるだけなのに、
本当に何気ないシーンで泣けて泣けて仕方のない映画。
派手な事、病気の人、心が壊れた人、特定の状況など何もない、本当に普通の設定で
これだけ感動をもらう映画は早々にない。
素晴らしい作りだと思う。
なのに、賞レースに殆んど名が上がらなかったのが残念でたまらない映画。
正体がわからず、自閉症とたたかうなど特定の設定あれば作るのは、そこから話を膨らませれば良いのだけど、この映画は違う!
ありふれた設定の中での物語、それで感動させられる映画を作る事の方が難しいと私は思う。そういう基準でも賞を選考してもらいたい。
あったかい気持ちになるね
必要以上に、潔く、低評価にしてみました
最初は次々に新しい登場人物が現れ、それぞれの生活が描かれるので、し...
アイミタガイと自分にも言い聞かせる
いい人しか出ない
というレビューを見てしまい、そんな事があるんかい?
と期待して選ぶ。
中村蒼さんのファンなので、それもあり。
この人、歳、幾つなんだろう。
まだ高校生の役とかできるかも?中村蒼さん。
引いた画でスーツ姿も綺麗でした。
藤間爽子さん、白鳥玉季さんが輝いていて、本作の煌めく光のようだった。
ピアノの音色に様々な想いが。
消えない痛みが僅かでも、やわらいでいきますように。
アイミタガイ。
そういう趣旨の作品なので素直に感動し泣きました。
ただ、ですね。
こじらせ主人公は本音(彼氏さん)と建前(世間など)の使い分けをする人で、声や態度までわかり易くて、
基本こういう人が僕はニガテなので嫌悪感が最後まで消えない。
しかも黒木華さん(の顔や演技など)が完璧ニガテなので(やっぱりコイツ裏表あるよな?)(裏表ある演技まんま?)と心の声が騒ぎだす度、
アイミタガイアイミタガイアイミタガイと呪文のように自分の心に唱えました。
そう、何事も、アイミタガイですよ。
世間って、広いようで狭い
夜明けのマイウェイ
相見違いな相見互い
けなしてますのでスルーしてください。世評がいいのでいいづらいのですが個人的にはへどがでる映画でした。登場人物がみんな善良で何らかの悲しみを背負っていることと、登場人物が相関してくる展開に嘘くささを感じました。なんで日本映画ってどいつもこいつもかわいそうでございますエクスキューズをならべてよろこんでるんだろうな、と思いました。
製作のこころざしに罪はないでしょうし、がんらい非難するような映画じゃないのもわかります。悪人がいなきゃだめとも、毒がなきゃだめとも思いませんし、バラバラだった群像が重なってくることや、お涙頂戴じたいに罪はないとも思います。が、世界も人も出来事も生活水準もロケーションも単純すぎるし、とってつけたような死亡フラグと遺されたキャラクターたちがしんみりと哀愁な人生論を展開するのが恥ずかしくて見ていられませんでした。
しかし、このような善良とか悲哀とか、製作動機の誠実な映画というのは、プロダクトそのものが悪評にたいする防護壁をもってしまうのです。
日本映画によくある現象・マーケティングなので再三言うのですが心のこもった演技とか魂を注いだ企画とかそういう装幀はつまんなくても冷評されないわけです。だって心のこもった演技や魂を注いだ企画をけなすなんて不人情じゃないですか。キャストスタッフさんたちの頑張りを貶めるなんてひどいじゃないですか。当初監督予定者が急逝されていることもあり、つないだバトンというタイトルの弔い訴求記事も見ました。そんなハートフルなプロダクトを冷罵するやつは人間じゃねえわ・・・。というわけで日本映画は製作現場込みでアピールをはかるアマチュア精神によって、作り手と観衆が一体化し、ほんわかとした優しい世界の映画評を勝ち取るわけです。
この映画アイミタガイはまさにそんな優しさマーケティングの見本みたいなプロダクトでfilmarks4.0、映画コム4.1、他サイトも軒並み高得点でした。
また、ここの草笛光子さんはとってつけたような銃後戦争キャラクターだったし、演出がぎこちないから他の出演作に比べてうまくもなかったです。草笛光子さんがレジェンダリーな俳優であることやご高齢にもかかわらず元気で美しいことに異論はありません。が、レジェンドをクオリティの免罪符にしている気配がありました。
それから小倉さん(草笛光子さんの役名)の住居はAVにも流用されてます風な家屋で安藤玉恵さんが学校みたいな雑巾がけをするのが超違和感でした。映画は全体として実生活感皆無でした。
なんかいろいろ非現実的なのに、なにしろ強引に泣かす装置としてのアイミタガイへもっていきたいというドラマ展開と丁寧な暮らしキャラ達が嘘くさすぎて、ずっと恥ずかしかったです。なにがアイミタガイだよ。しゃきっとしろよしゃきっと。見てるあいだじゅうあちこち掻きまくって血ぃ出ちまったわ。です。
全員しっかりした俳優さんなのは知っていますが、魅力なかったと思います。映画も演技もぜんぜんでした。あとセリフききとりにくいです。真心アピールではなく基準値満たした映画制作であってほしいと思います。なんかやなことがあったから映画にあたってるわけではなく率直な感想です。
純粋に「いいお話」
自分の中に残る物がある映画かと聞かれたら
普通の映画だったのが残念
監督が草野翔吾。初めて作品を見たけど、前半はとても素晴らしく、映画らしい映画の香りのする映画で、これは!っと思ったけど、後半になるにつれ、普通の映画になってしまった。
ストーリーがありえないほど繋がっていることをとやかく言うつもりはないし、ストーリーはご都合主義でも構わないのだけど、映画としての力がそのストーリーを通して喚起されていたなら、ご都合主義のストーリーでも正解のストーリーだったと思うけど、ただ単に普通の映画だったのが残念。
色々と、役者がいいとか、あれこれいいとこを上げることはできるけど、同じような感じの映画を過去に見てきたものにとっては、過去作を超えるかそれと同等のものでなくては納得できない。
まあ普通の映画だった。
佐々部清監督のお名前
昨年末、桑名市に遊びに行き半日ブラブラしてました。その時、至るところにこの作品のポスターとか、ロケ地の案内があって頭にはインプットされていたんですが、その時は佐々部清監督が絡んでいるとは知らず、観に行きませんでした。
先日、本当に偶然にこの作品のチラシを手にして目を疑いました。佐々部監督が脚本だ。早速観に行きました。
わたしは佐々部監督の大ファンです。人間の描き方がとにかく優しい方だと思います。人間が本来持っている優しさ、心の豊かを描いて、時には泣いてしまうこともありますが、必ず温かい気持ちにさせてくれる作品ばかりでした。
急逝は本当に驚きました。どこかのホテルで新作の準備中に急死とのこと、時期的にこの作品の打ち合わせだったのかもと考えるに至ってます。
アイミタガイと言えば、今作の監督3名のバトンなども当てはまるんじゃないんですか。とっても良い作品でした。やっぱり、人間と人間はどこかで繋がっていて、助け合っているんですよ。こうした、言葉で説明できない、今流行りのエビデンスなんて全くでて来ないような、偶然というか不思議な出来事は実際にあるんだと思います。一生懸命に生きていれば、必ず起きる出来事ばかりでした。
トモロヲさんと西田さんと黒木さんが出会う歩道橋(?)のシーン、泣けてきました。
黒木華さん、これまで余り好きではなかったんですが見直しました。藤間さんと白鳥玉季ちゃん似てますよね?どちらが先に決まってたんだろうと考えてました。中村さんはやっぱり佐々部さん繋がりですか。中々の不器用さでいい感じでした。草笛光子さん貫禄、風吹ジュンさんも負けてません。豪華に揃ったなと思います。升さんもやはりこの設定では欠かせません。
映画を先に見ていたら必ず桑名でロケ地巡りしましたね。残念です。
見事な群像劇でした。大満足です。
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