劇場公開日 2024年11月1日

  • 予告編を見る

「相見違いな相見互い」アイミタガイ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5相見違いな相見互い

2025年5月4日
PCから投稿

けなしてますのでスルーしてください。世評がいいのでいいづらいのですが個人的にはへどがでる映画でした。登場人物がみんな善良で何らかの悲しみを背負っていることと、登場人物が相関してくる展開に嘘くささを感じました。なんで日本映画ってどいつもこいつもかわいそうでございますエクスキューズをならべてよろこんでるんだろうな、と思いました。
製作のこころざしに罪はないでしょうし、がんらい非難するような映画じゃないのもわかります。悪人がいなきゃだめとも、毒がなきゃだめとも思いませんし、バラバラだった群像が重なってくることや、お涙頂戴じたいに罪はないとも思います。が、世界も人も出来事も生活水準もロケーションも単純すぎるし、とってつけたような死亡フラグと遺されたキャラクターたちがしんみりと哀愁な人生論を展開するのが恥ずかしくて見ていられませんでした。

しかし、このような善良とか悲哀とか、製作動機の誠実な映画というのは、プロダクトそのものが悪評にたいする防護壁をもってしまうのです。
日本映画によくある現象・マーケティングなので再三言うのですが心のこもった演技とか魂を注いだ企画とかそういう装幀はつまんなくても冷評されないわけです。だって心のこもった演技や魂を注いだ企画をけなすなんて不人情じゃないですか。キャストスタッフさんたちの頑張りを貶めるなんてひどいじゃないですか。当初監督予定者が急逝されていることもあり、つないだバトンというタイトルの弔い訴求記事も見ました。そんなハートフルなプロダクトを冷罵するやつは人間じゃねえわ・・・。というわけで日本映画は製作現場込みでアピールをはかるアマチュア精神によって、作り手と観衆が一体化し、ほんわかとした優しい世界の映画評を勝ち取るわけです。
この映画アイミタガイはまさにそんな優しさマーケティングの見本みたいなプロダクトでfilmarks4.0、映画コム4.1、他サイトも軒並み高得点でした。

また、ここの草笛光子さんはとってつけたような銃後戦争キャラクターだったし、演出がぎこちないから他の出演作に比べてうまくもなかったです。草笛光子さんがレジェンダリーな俳優であることやご高齢にもかかわらず元気で美しいことに異論はありません。が、レジェンドをクオリティの免罪符にしている気配がありました。
それから小倉さん(草笛光子さんの役名)の住居はAVにも流用されてます風な家屋で安藤玉恵さんが学校みたいな雑巾がけをするのが超違和感でした。映画は全体として実生活感皆無でした。
なんかいろいろ非現実的なのに、なにしろ強引に泣かす装置としてのアイミタガイへもっていきたいというドラマ展開と丁寧な暮らしキャラ達が嘘くさすぎて、ずっと恥ずかしかったです。なにがアイミタガイだよ。しゃきっとしろよしゃきっと。見てるあいだじゅうあちこち掻きまくって血ぃ出ちまったわ。です。
全員しっかりした俳優さんなのは知っていますが、魅力なかったと思います。映画も演技もぜんぜんでした。あとセリフききとりにくいです。真心アピールではなく基準値満たした映画制作であってほしいと思います。なんかやなことがあったから映画にあたってるわけではなく率直な感想です。

コメントする
津次郎
PR U-NEXTで本編を観る