劇場公開日 2024年9月27日

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「血と汗と涙は名盤だが、。」ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか? アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0血と汗と涙は名盤だが、。

2025年2月5日
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鑑賞方法:映画館

1967年秋、アル・クーパーが結成したBS&Tは翌年2月に1stアルバム「子供は人類の父である」を発表したがセールスが振るわず、ボーカルが弱いと言われたとかで、当のアル・クーパーは3月にあっさり脱退。ボーカルを探すなか情感も声量もあり存在感溢れるD.C.トーマスを発掘しメンバーに合流させ2ndアルバム「血と汗と涙 BLOOD,SWEAT&TEARS」を発表し、こちらが大ヒット。遂にはビートルズ「アビイ・ロード」を押しのけグラミー賞まで獲ってしまった。
2つのアルバムを改めて聴き比べたが確かに、2ndアルバムの方がブラスロックとしての完成度が高い。躍動的な楽曲が多くヒットしたことも納得できる。1stアルバムも良いのだがアル・クーパーのやりたい事を詰め込んだソロ作品と揶揄されたことも頷ける。
映画は政府にハメられ(D.C.トーマスの在留と引き換え)東欧でのツアーを受けたことにより、帰国後は体制に屈したアーティストとして迫害され、人気が凋落していったとの話であった。当時のアメリカとロシア及び東欧諸国との関係性も当然理解するし、BS&Tは被害者だったのだろう。だが、BS&Tが同時期に同じブラスロックからスタートとした「シカゴ」と圧倒的に差がついたのは自らのバンドに対する熱い思いとか拘りとか商業的に成功に導く為の戦略とかあらゆることに負けてたからに他ならない。シカゴもメンバーの入れ替わりはあったがちゃんとオリジナルメンバーのロバート・ラムが仕切り続けていた。BS&Tにはそのようなリーダーが存在しなかったことも大きいのでは?と思う。
だが、50年以上お蔵入りしていたフィルムを基にこのようなドキュメンタリーを作ってくれたことは素晴らしい。大変興味を持って観れました。関係性の皆さんに拍手をおくりたい、。

アベちゃん