「ありきたりではないロック・ドキュメンタリー」ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか? PYUさんの映画レビュー(感想・評価)
ありきたりではないロック・ドキュメンタリー
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本作は、BS&Tが、時のニクソン政権の思惑により、ルーマニアやポーランドなどの東欧諸国での公演に行くはめになった顛末を描いている。
当時のロックシーンを支えていたのは、反戦や反体制を背景にしたカウンターカルチャー。ビートルズの「アビーロード」を凌ぐレコード売上を誇っていたBS&Tは、この東欧ツアーをきっかけに、「体制側のロック」の誹りを受け、人気が急落してしまう。
BS&Tが、なぜ米国政府の策略に乗らざるを得なかったのか、東欧でどのような演奏をしていたのか、本当に体制側であったのか否かという観点で、とても面白いと思った。
最後に、最近のロックドキュメンタリーは、当事者や関係者のインタビューを主体に構成されることが多く、画一的な印象がある。その点において、本作は50年代〜70年代初めの社会史を背景に、インタビューを効果的に織り込むという構成となっており、凡庸さを回避している。
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