「なくてはならないものの変化をどう受け止めてどう行動するか。」SONG OF EARTH ソング・オブ・アース しゅま子さんの映画レビュー(感想・評価)
なくてはならないものの変化をどう受け止めてどう行動するか。
これもまた、見た後で考えることで、じわじわと気づきのある映画。
満腹で行くと寝てしまう人もいるかもしれないくらい、静かなトーンでありつつも、怖くなるほどの爆音もある。自然の。冷たい氷河や、地球の凄いパワー感じる水の瀑布の音を聞いていたら、なんだか、孤独感や恐怖も感じるし、静まり返った景色の中に、一本の木がすくっと立っている様子からは偉大なるほどの力強さを頼もしくも思う。
自然の姿はいつも変化しているから、いつも自然に寄り添っていても、その自然から、時には恐ろしいことも、感動的なこと体験するわけで、自然の中で自分の人生の価値も感じる、
ということは、ということは、自然が無くてはならないわけ。
自然を丁寧に感じて暮らしている人たちの、人間を含む自然に対するスタンスは、色んな事でごちゃついている自分たちには正直感じにくいかもしれない。
自分の人生の喜びのためにもなくてはならない自然、なくてはならない人、
どちらも変化するし、失われていく。それを受け止めつつ、自分で考えて、やれることをする。
この映画を見て、自然豊かな国や、北欧への憧れで終わるのは勿体ない気もしたが、興味を持つことで、それを維持するために必要なことを知る人が増えるわけだから、入り口としてもいいと思った。
地球のクーラーの役割もしている氷河が、激しい勢いでどんどん崩れていくのは、ほんと深刻な気分になった。溶けた水の激しさから、海面上昇をも考えさせられるし。地球温暖化が急速に進んでいること、今、画面で観ているこの風景も失われていくこと。
後にも先にも希望としての、シンボルとなる木。
映画の中の音は凄く凝って用意されたものらしいが、音も、映像も一緒になってオーケストラの楽曲を聞きながら、心をその風景の中に持って行くような映画だった。話が四季にわかれているのも、楽曲的。
見る人によって感じ方楽しみ方変わると思うが、自分にはいくつか、心に残る素敵なシーン(暗い山の中に立っている木の姿)や、ガツンとつきつけられるシーン(氷河が崩れる)など、この映画を今後も思い出すだろう、良い場面があって、満足。