「僕はどこに立っている?」ぼくの家族と祖国の戦争 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
僕はどこに立っている?
ナチスの敗色が濃くなって来た第二次世界大戦末期、当時ナチスに占領されていたデンマークが舞台です。ドイツ国内への空襲を逃れる為でもあったのでしょう、デンマークへのドイツ避難民は当時20万人にも達したのだそうです。そんな大量の疎開者を一気に収容する施設などないので、かなり劣悪な環境の場所に成らざるを得ませんでした。そんな場所にギュウギュウ詰めにされるので、ドイツ人避難者の間でやがて感染症が広がり始めます。そんな時、あなたならどうするというお話です。
「たとえどこの国の人間であろうと、目の前で子供達が死んでいくのを黙って観ている訳にはいかない」と医薬品を調達しようとする人が居ます。「そりゃそう思うよな」と共感します。一方で、目の前でドイツ兵に家族や愛する人を殺された人々は「ドイツ人がどうなろうと知った事か」「ざまあみろ」と思うでしょう。それも理解出来ますし、そんな思いを否定する事は難しいでしょう。
しかし、ドイツ人避難民を助けようとする人を、反ナチスの人々は村八分状態にして強く排斥し始めるのです。「愛国心はないのか?」と吐き捨てます。う~ん、これはどうなのでしょう。気持ちは分かるとはいえ、それでいいのかなぁ。
「あなたならどうする?」を本作は厳しく問い掛けて来ます。「自分ならば、この映画の中でどの位置に立っていたんだろう?」観終えても感が続けてしまうのは、本作が強い映画であった証拠です。
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