本心のレビュー・感想・評価
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人間の本心はAIのデータには到底入らない。
今まさになりつつあるバーチャル世界とそれを操るAIをもてはやす社会を危ぶむ識者のどちらが人間にとって善なのか。
愛する人の死後、残された者は故人がどう考え、何を思っていたのか、とても気になるが知るすべは無い。それはAIを駆使してアバターとして蘇ったつもりになっても故人の思考は蘇られない。当たり前だけれど。
だから生きてる今をもっと大切に、周りの人と関わり合うことの大切さを知らせてくれる映画。
親孝行したい時には親は無しとは良く言ったものです。こんな昔から言い古された格言、これこそ人間として生まれて来た者の永遠のテーマなのではなかろうか。それは戦前、戦中、戦後、現代、未来、どんなに技術が進み今現在では想像もつかない物が出来、事になっても変わらないのだろう。
だからこそ人と関わり合うことの大切さ、人への思いやり、優しさが大事なんだろう。
愛しい人が故人になる前にしておかないと、いなくなってから後悔することのないように。
でも中々出来ないんだよね。
作品の中身はと言うと今すぐに起こりそうなAIに人間が評価され、AIに人間が指示されて動くようになる仕事は嫌な世界だなと危惧します。そういったことへの警鐘の意味も原作にはあるのかも。
三吉彩花さん、表情だけの演技すごかった!
<まずは、他の人が書かなさそうな事から>
三吉彩花という役名で出てくる女優は、三吉彩花だよね。役名が女優名を使っているのはなんでかな。ただ、三吉彩花さんは単なる「美形のモデルあがりの女優」かと想像していたら、なんのなんの!すばらしい演技でした。特に、セリフなしで表情だけでの演技。顔は口ほどにものを言うといいますが、表情だけで、みるみる心の変化が起きているあの演技力は、すごい評価されそう。
あと気になったのが、「竹内力」という名前が、エグゼクティブプロデューサーとして、エンドロールでクレジットされていたのですが、竹内力って、あの竹内力か?
そして、田中裕子のクレジットは、一人だけロールではなくフェードインで表示されて、ここでも貫禄?を見せていた。 エンドロールもいろいろな情報が入ってておもしろい。
<さて、やっと映画の感想>
時々思う事ですが、映画の予告が、必ずしも映画の本質をちゃんと予告していない事がある。
最近では、シビルウォーがそれ。 この映画「本心」も、予告だけを見れば、近未来のAI に翻弄される人間を描く事が、ストーリーの中心かと思っていたが、あくまで一つの舞台設定に過ぎない。
亡くなったお母さんの「本心」を知りたいと思って、VFを提供する会社の門を叩き、そこから知らなかった様々な側面が出てくる、という部分には予告編との違いはない。しかし、この映画が本当に描きたかった「本心」の姿は、、、、 ぜひ映画を見てください。 暗い話ではなく、最後はハッピーエンドな雰囲気で締め括る、ほんのり暖かな良質な映画でした。
タイトルなし(ネタバレ)
「自由死」と呼ばれる自死制度が認められた2024年の日本。
工場勤務の青年・朔也(さくや。池松壮亮扮演)は、勤務中に母(田中裕子)から「帰ったら大事な話がしたい」というヘンな電話を受ける。
帰途、突然の大雨。
家の前の川は濁流と化し、母がその傍に立ってい、あっという間に濁流にのみ込まれてしまった。
助けようとした朔也も濁流にのみ込まれ、気づいたときには病院のベッド、一年が経過していた。
やって来た刑事の話では、母は「自由死」登録をしていた。
そのため、母の死は事故死ではなく、自死と認定され、自治体から補助金が支払われる、と。
母の死の理由を知りたかった朔也は、死んだ人物の過去の映像・行動記録・他人の証言をもとに、その人を仮想空間上に再現できるというヴァーチャル・フィギュア(VF)という技術を頼ることにした・・・
といったところからはじまる物語で、平野啓一郎による同名小説の映画化(原作は未読)。
ちょっとフィリップ・K・ディックの諸作を思わせる内容であると同時に、日本的なセンチメンタリズムも感じる内容なので興味津々。
期待していたのは、
1)青年が思い続けてきた母親像と作られたヴァーチャル像との乖離
2)ヴァーチャル像の方が実際の母親に近い
3)差異を受け容れた上での、青年と母親の心の氷解
みたいなもの。
なんだけど、なんだか取っ散らかった脚本で、朔也昏睡の一年にAI技術は信じられないぐらい進み、さらに社会格差は進み、持てる者は持たざる者を仮想空間上のみならぬ実社会でもリアル・アバターとして奴隷のように扱うデジタルだかアナログだかわからない蛮行社会となっていた・・・
って、この設定が必要なのか?
ま、仮想空間の名の下で行わる蛮行に、人間の下卑た「本心」が曝け出されるというのはわからなくもないが、本作では不要のように思われる。
この主題、ホラー映画のそれで、既に『パージ』などの人間狩り映画で形を変えて幾度となく描かれているので、鼻白む思いがしました。
まぁ、原作に沿うところだったのかもしれないが、2時間で描けるだけの内容・設定への刈り込みが必要だったはず。
この手の作品は、個人的には許容できないんです。
残念至極。
詰んだ人生の起死回生が「中国に行こうぜ」の連呼とは?
予告で観た、田中裕子さんが何気なく戯けながら踊る仕草と、流れる楽曲が印象的だったので、鑑賞した次第。
多分に原作を読まない限り、映画だけでは本質は掴めないと判断。原作者が書いた分人主義の流れを汲んでいるのかしら? とは思っていたのですが、そのような印象かな。
全般的に、脚本に散りばめられた「各人には秘められた分人が存在する」的な要素が大仰すぎてノイズに感じられて、素直に鑑賞しづらかった。とはいえ、目を引く要素にもなっているんで楽しめる部分でもありました。
しかしなんだろう、このテクノロジーを不穏なモノ、異質なモノとして捉える演出は、いつまでも変わらないもんですねー。
ところでなぜそこまで中国に行きたいんだろう? 本作の世界観設計で唯一わからなかったわ。まー「アメリカ行こうぜ」も今更感は出るだろうけどさー。
池松壮亮と田中裕子あってこその映像化
予告からとても期待していた。
しかし、重いものを観る気分になかなかなれなかったので、公開から一週間が経ってしまった。
時間が合ったので思い切って観ることにした。
良い映画だった。
(予告から、生き返らせてはいけない愛する人を生き返らせたためにとんでもないことになる、ペットセメタリーみたいな話だと思っていた)
母と息子の物語だけでなく、近未来の科学技術、格差社会、自由死など、テーマが広がって興味深く考えさせられることの多い作品だった。
主人公は押し潰されそうになりながら、ある一件によって好転していく。それこそダンスをしたくなる。(良いシーンだ)
しかし、手を差し伸べてくれたイフィーさんによって彼女との生活が壊れようとする。
ゴーグルを付けての告白。本心か。
いや、イフィーの思いを伝えさせられているだけ。本心ではない。
伝えさせられているのは。本心ではない。
このきついシーンから、母親のVFとの会話。
母の本心。それは自分が聞きたかったこと。
重いテーマながら一条の光が差し込むようなラスト。重ね合わされた手に救われた。
池松壮亮と田中裕子あってこその映像化だと思う。
他の俳優が演じていたら、これほど入り込めただろうか。
田中裕子でなかったら母親のVFも嘘くさくなっていただろう。
AIもVFもRAも、使う人間によって、、、当たり前のことだが、、、。
良い映画だった。
simple
is the best じゃないかな。
予告編を観てVFがメインテーマと勝手に思い込んでいた。
技術の進歩によって明らかにされてしまう母親の隠された真実?
それはバーチャルなのか、リアルなのかという展開かと。
だが、本作はもっと複雑で自由死だの、社会的格差だのが入り込んでくる。
そして、そのどれもが中途半端で物足りなく感じてしまう。
それも当然でどれもがそれ単体で映画にできてしまうテーマだ。
2時間しかないのだから描写できる範囲は自ずと限られる。
原作がそうだったのだろうか。
だとしても、それを原作者と折り合いを付けながら取捨選択するのが映画だろう。
とは言え、ラストには涙が滲んだ。
そう、当たり前のことは実際に口にするのは難しい。
でも、自由死のような制度があれば時限だから素直にならざるを得まい。
それにあの手は意味深でBDなら巻き戻して確認したいところ。
もう1回観ろっていうことかなw
三吉彩花も魅力的で心がキュンと締め付けられた。
池松演じる青年は自由死反対派のようだが、
この点をもっと振り下げた作品も観てみたい。
まもなく当時者になるであろう私は大賛成。
大切な人に死ぬ前に本心を打ち明けるためにも。
原作読了後、鑑賞。うーん、よくまとめた!
原作は、やっぱ平野啓一郎頭いいわー
…と、思えるような
相変わらず重層的なストーリー
近未来に更に深刻な問題となりそうなテーマ
テクノロジー技術の進化、気候変動、尊厳死、等々と
そこに翻弄される人間の、
普遍的な心理が複雑に絡み合う
これを、どうやって映画にする?!
ってところに興味津々で映画館へ走った
これがまた、予想以上に見応えあり!
うまく、原作からエッセンスを抽出している
VFと共存する世界
バーチャル空間で共に暮らす…
そんなことが、当たり前の日常となったら
人間はリアルなこの世界を
どう生きればいいんだろう
仮想と現実の境界が曖昧になったとき
人の心はそれについていけるのか…
進化し続けるAI技術に、少し不気味さを感じた
田中裕子、最高!
リアルな母とVFの母を演じ分けられるの
この人くらいじゃない?
池松壮亮も気合い入っててよかった
どこに出てた?と思った窪田正孝
AIの声だったとは!!
衝撃的な隠し事と本心
衝撃的な隠し事が強烈すぎて、それに続くお母さんの本心があまりに個人的で普通すぎて霞んでしまい感動はできない。
映画として面白いかというと最初の段階から引き込まれて、思っていた内容と違うぞと引き込まれてしまう。
よく出来ていると思う反面、近未来として現在とは違う世界線の未来なのだと感じてしまう。
コロナ禍がなく、ZOOMなどの画像会議がない世界線なら、ここまでVRが発達した世界が生まれていたかもしれないと考えてしまう。
世界線が違う近未来として、スマホ並みに発達しているVRの中でのいじめや憤りに自分の生きている世界線と重ね合わせてしまう。
どうやってお母さんを作るのかという疑問で観に行った映画だったので、chatGPTをたまに使うので、データがあり個人レベルなら作れてしまうだろうと、未来感としてよく出来ている。
主人公もお母さんもピュアで、その周りの大人や子供も汚れて見えて、人は多面的だから、その一面からは判断出来ないがよくいる現代的な利己的な大人や子供に思えてしまう。
ヒントとして猫の視点で見ているシーンがあるので気をつけて観るといい。
全役者さんに見応えがありました
一日で徒花と本心立て続けにみてしまった。テーマが少し被っていて頭がごっちゃに。
池松さんは、MOZUとか宮本とか、シン仮面ライダーとか、あるいはCMとかでも、自分の内面に深く向き合う役がとてもしっくりくる、声が印象的な俳優さんですね。つい追って見てしまいます。
対して水上さんが、岡田さんであった頃から、何故かいつも怖いのです。勿論、良い意味で。悪人を演っても、良いお兄さんを演っても、新人刑事をやっても、朝ドラに出てる時でさえ笑。たぶん、濁りのないまっすぐな目が、役柄を歪に強調して、危ういヒリヒリ感を生み出してるんじゃないかと思います。
この映画も、絶妙の危うさでした。
これからも追ってしまう気がしてます。
色んなことを考えながら観てたのですが、エンドロールの窪田さんの名前にまんまと動揺して、とんでしまいました笑。あとからニュースになってたのを知りました…サプライズ!
鏡
発達した技術で亡くなった母親のクローンを作って生活する上で様々な真実が明らかになる…といった作品だと思っていたのですが、バーチャル空間で母親と再会するといった感じで思っていたものとは少し違いましたが、実際にこんな世の中になってきてるんだろうなと考えさせられるものでもありました。
自由死を選択した母を助けようとして溺れて1年間眠っていた主人公・朔也が変わってしまった世界と順応するための生活、その中で発達した技術のVFで母親の本音を引き出そうとするが…といった作品です。
バーチャルアバターの設定は一見便利だし世の中のためになってはいるのですが、そりゃそんな便利なものがあれば悪用されるわなという展開になっていくのは残酷だとなりながらもしっかり観ることができました。
金持ち連中が好き放題指示したり、殴り合いの喧嘩を注文したり、急がせたのに汗臭いってだけで評価を落とされたりだったりとかなーり胸糞な展開が続くのは中々にキツかったです。
自分は配達員系の仕事はやっていないので実際にこんなことが起こっているのかも…と考えたらスキマ時間とかにやろうって気にますますならなくなりそうでした。
コインランドリーで従業員に詰め寄る男性が描かれるのですが、ここでの悪態のつき方があまり怒ったことないんだろうな〜というのが滲み出るシンプル口悪態度悪に描かれていたのは良くも悪くも笑えてしまいました。
そんな身振り手振り使って暴れるもんかねと思いつつ、自分も咄嗟に怒りを感じた時はあんな風になるのかなとも思ってしまいました。
そんな動画が拡散されてバズって有名なVFデザイナーのイフィーと関わり出すエピソードはちょっと余計だったかなと思いました。
単独のエピソードだと見応えあると思うんですが、車椅子生活の流れもなんだか取ってつけたような感じでしたし、イフィーが惚れた三好との恋愛エピソードもこれまた急だったので違和感ありありでした。
そこでの別れイベントと発生なんかもなーんか釈然とせず、ここは丸ごと無くても良かったのではと思ってしまいました。
最後に母の本心を聞けてというラストは良かったと思います。
最後まで裏切りと悲しみの連鎖だったら中々キツいもんですから少しでも救いがあって良かったです。
母親との関係性メインだと思っていたので、母親は要所要所の登場と終盤にかけての登場だったので、そこを期待して観に行った身としてはちょくちょく濁されたなという印象です。
俳優陣は味のある方々ばかりで濃密でしたし、役名と全く同じな三吉彩花さんがとんでもなく魅力的でした。
今までの作品とはまた違ったミステリアスな感じと不器用な感じが同居している感じなのがとても素敵で過去作も振り返りたくなりました。
とっ散らかった印象は拭えませんでしたが、AIを描く上で人間の心理も描いているので十二分に映画として楽しめました。
「愛にイナズマ」は大好きなんですが、今作はちょっと半々みたいな感じに落ち着きました。
鑑賞日 11/13
鑑賞時間 18:00〜20:15
座席 I-9
せつなさと苦しみと。いま生きてる世界は本物か
朔也と彩花だけがリアル
近未来、感情を持つ人間の生きる世界がこんな不条理になるなら、弱者でも感情はあるわけで、感情の持って行き場が無く希望が持てないけれど、
朔也と彩花の感情の動き「本心」が俳優の上手い演技でよく表現されていました。
真面目に向き合う2人のセッションのような心の動きがよく分かります。
原作が良かったので楽しみにしていた映画、原作とはまた違いましたが、不器用に真面目に生きる朔也と彩花を観ていて静かに応援したくなりました。
ただ、登場人物は男性多く、女性は少なく、彩花以外の女性はリアルな深みが無く、
シャワーシーンで彩花の上半身胸を映すのは、男性視聴者サービスでしょうか?
セックスワーカーのトラウマから身体接触に恐怖を感じている彩花なのに、カメラが裸体を撮って赤の他人の視聴者に晒してしまうのは、女性として嫌な感じがしました。
嘘くさい
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