「優しさに溢れた眼差しと音楽」本日公休 night runnerさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさに溢れた眼差しと音楽
「誰にでも頭はある.だから理髪師は失業しない」←お師匠さんの教え (笑)
2回目は横浜みなとみらいキノシネマで(10月20日).
優しくやわらかく温かい映画.
理容師の母親をずっとみて,お客さんとのやり取りをずっと聞いて育った監督が,自宅の理髪店を舞台にして創った映画.しかも,3年かけて!
主人公の女優さんは「こんな脚本をずっと待っていた」と24年ぶりに銀幕に復帰した大女優のルー・シャオフェンさん(ぴったり).4ヶ月間ヘアカットの猛特訓を経て撮影に臨んだとのこと.
しかも,実際のお店にいる猫も出演.好演.
こんな映画,面白くなくないわけ ないでしょう!(滞在を一日伸ばして観て,本当によかった).
2回目はルー・シャオフェンさんの顔と猫をずっと観てました.
家族,息子,娘,婿.出会う人々,散髪屋さんのお客さん達,登場するみんないい.
台詞もいい.日常に溢れて,そして洒落ていた.
「私の散髪はモルヒネのようだ.習慣性があるって」
「お世話になった以上のお礼がしたい」
「あなたといると自分がわがままにみえる!そんなの私じゃない!!」
「洗濯物の前にポケットの確認を! ……,変わらないのね.優先順位を考えないのね…」
「帰省か……、彼氏とは別れるべきだ」(大笑)
「(髪はご希望どうりにしました…)明らかに違うのは顔だけです」(笑)
「本当に気に入っているなら、中古でも問題ない」
「まっすぐ行って.人生みたいに」
「漬物がないと口寂しい…」
ほーんとに観てよかった.
「本日公休」を掲げて出かけるエピソードがひとつのクライマックスだけど,それだけではなくて最初から最後まで理髪店のお母さんの日々,日常.
「時間はあっという間に過ぎる」→だからこそ、この日常、淡々とした毎日がかけがえなくて.
『この瞬間が永遠なんだ』という言葉を思い出した.
思うようにいかないけど…
みんなが,母さんが,すべての関係がかけがえなく,いとおしい.そんな気持ちになった.
唯一無二の映画.
そうそう,音楽がまた最高なんですよね.