劇場公開日 2024年9月20日

「優しさに溢れた眼差しと音楽」本日公休 night runnerさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0優しさに溢れた眼差しと音楽

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

「誰にでも頭はある.だから理髪師は失業しない」←お師匠さんの教え (笑)

2回目は横浜みなとみらいキノシネマで(10月20日).
優しくやわらかく温かい映画.

理容師の母親をずっとみて,お客さんとのやり取りをずっと聞いて育った監督が,自宅の理髪店を舞台にして創った映画.しかも,3年かけて!

主人公の女優さんは「こんな脚本をずっと待っていた」と24年ぶりに銀幕に復帰した大女優のルー・シャオフェンさん(ぴったり).4ヶ月間ヘアカットの猛特訓を経て撮影に臨んだとのこと.
しかも,実際のお店にいる猫も出演.好演.

こんな映画,面白くなくないわけ ないでしょう!(滞在を一日伸ばして観て,本当によかった).

2回目はルー・シャオフェンさんの顔と猫をずっと観てました.

家族,息子,娘,婿.出会う人々,散髪屋さんのお客さん達,登場するみんないい.
台詞もいい.日常に溢れて,そして洒落ていた.

「私の散髪はモルヒネのようだ.習慣性があるって」

「お世話になった以上のお礼がしたい」

「あなたといると自分がわがままにみえる!そんなの私じゃない!!」

「洗濯物の前にポケットの確認を! ……,変わらないのね.優先順位を考えないのね…」

「帰省か……、彼氏とは別れるべきだ」(大笑)

「(髪はご希望どうりにしました…)明らかに違うのは顔だけです」(笑)

「本当に気に入っているなら、中古でも問題ない」

「まっすぐ行って.人生みたいに」

「漬物がないと口寂しい…」

ほーんとに観てよかった.

「本日公休」を掲げて出かけるエピソードがひとつのクライマックスだけど,それだけではなくて最初から最後まで理髪店のお母さんの日々,日常.
「時間はあっという間に過ぎる」→だからこそ、この日常、淡々とした毎日がかけがえなくて.

『この瞬間が永遠なんだ』という言葉を思い出した.

思うようにいかないけど…
みんなが,母さんが,すべての関係がかけがえなく,いとおしい.そんな気持ちになった.

唯一無二の映画.

そうそう,音楽がまた最高なんですよね.

night runner