「温かい語り口で紡がれる「お仕事映画」」本日公休 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
温かい語り口で紡がれる「お仕事映画」
小学生の頃、先生が「世の中で一番、生産性を上げにくいのは散髪屋だ」と言っていたことを思い出した。(当時は子ども相手でもそんな七面倒くさいことを話す教師がいた。ひょっとしたら機械化しづらいっていってたのかもしれないけど)
その効率の悪い商売を40年続けてきたアールイおばさんの秋から冬にかけての物語。常連さんの一人、歯医者さんの散髪をするためおばさんが車で遠方まで出向く部分がハイライトだけど、これもエピソードの一つであって、お話の主体はおばさんの三人の子どもたち、そして次女リンの元連れ合いであるチュアンとの絡みが中心。
おばさんは腕が良く、客あしらいもうまい。常連さんとの付き合いを何よりも大切にしている。ここが子どもたちとやっぱり違うところ。仕事というものは丁寧で心がこもってないとね、ということがひしひし伝わる。
フー・ティエンユー監督のお母さんがモデルで、実家の理髪店で撮影をしたそうである。画面を通して映画の舞台や登場人物への愛情、リスペクトが感じられ実に好ましい。昭和ノスタルジーとかいって血の通わないCG画像で昔を再現したと称するどこかの国の映画とは大違い。
最後に「山本頭」ですがあれは山本五十六風の髪型ということで五厘刈りに剃り込みが入るものだそうですよ。リンが勤める(経営する?)QBハウスでは注文できるかしら?
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