「副題のセンスのなさは絶望レベルだが、ヘリ一機で何とかなる海難事故もあるのでセーフ」エア・ロック 海底緊急避難所 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
副題のセンスのなさは絶望レベルだが、ヘリ一機で何とかなる海難事故もあるのでセーフ
2024.8.20 字幕 MOVIX京都
2024年のイギリス映画(91分、G)
海に墜落した飛行機に取り残された人々を描いたパニックホラー
監督はクラウディオ・ファエ
脚本はアンディ・メイソン
原題は『No Way Up』で、「上には行けない」という意味
物語は、ロサンゼルス国際空港にて、メキシコのハバカリフォルニアに向かう一行が描かれて始まる
州知事の娘エヴァ(ソーフィー・マッキントッシュ)は、恋人のジェド(ジェレミアス・アムーア)とその友人カイル(ウィル・アッテンボロー)とともにバカンスに行こうと考えていた
だが、父の言いつけでボディガードのブランドン(コルム・ミーニー)が同伴することになっていた
その便には、祖父母と旅行するローザ(グレース・ネトル)がいて、祖父は元軍人のハンク(ジェームズ・キャロル・ジョーダン)、祖母は陸軍看護師だったナナことマーディ(フィリス・ローガン)だった
彼らの乗った便は順調に航行するものの、沖合に出てわずか数分のところでバードストライクに見舞われてしまう
機長は平穏をアナウンスするものの、突如右翼のエンジンから炎が吹き出し、機はコントロールを失ったまま、海へと墜落してしまった
大陸棚を滑走し、海溝の手前で止まった機体は、壁面に大きな穴が空き、前方部分にわずかなエアロックが残っている状態だった
生き残ったのは、ブランドン、エヴァ、カイル、ジェドと、ローザとマーディ、客室乗務員のダニーロ(マヌエル・パシフィック)の7人だけ
ブランドンは救助が来るまで動かない方が良いというものの、みるみると酸素は減っていく
そこで、医療用のボンベを持った客のことを思い出したブランドンは、それを回収するために水没したエリアへと向かう
だが、そこには人喰いサメがいて、ブランドンはその餌食になってしまうのである
映画は閉鎖空間パニックスリラーで、尽きてくる酸素、周りには人喰いサメという状況に追いやられる人々を描いていく
助けが来るまで耐えるかどうかと考えていたが、外の情報は一切わからない
だが、被害者の中に州知事の娘がいたことで、捜索は入念に行われ、それによって墜落現場を発見するに至った
ツッコミどころ満載の映画で、人生を振り返る人から死んでいくというお約束も展開される
ご都合主義に満ちた展開で、主人公補正、少女補正などもあるのだが、役に立たないダニーロが何もしないまま助かってしまうのは不思議だった
彼は常に冷静だがほぼ自分では動かないキャラで、それが功を奏したのか、トラブルには巻き込まれずに済んでいる
このあたりが何となくリアルにも感じてしまう
緊張感があるので91分は楽しめるが、観終わったあとに色々とツッコミどころがジワる作品だったりする
パンフレットでは、このような状況になった時の対処法みたいなのが載っていて、暗に映画の真似をしないでくださいねと補完しているようにも思えた
いずれにせよ、州知事の娘捜索にヘリ一機というレベルなので、見つかったこと自体が奇跡だと思う
海域のことを知っているはずの救助ダイバーがサメに襲われて死ぬという設定ありきの内容はアレだが、そのあたりは物語の展開ありきなので野暮な追い討ちなのかもしれない
酷暑を映画館で凌ぐにはちょうど良い映画だけど、配信で観たら寝ると思うので、初動だけが頼りの興収になってしまうのかな、と思った