「うわぁ、大きくなったなぁ」BISHU 世界でいちばん優しい服 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
うわぁ、大きくなったなぁ
BISHUとは、毛織物産業で知られる(って、僕は全く知らなかったのですが)愛知から岐阜にわたる「尾州」地方のことです。発達障害を持つ少女・史織が友人や姉の力を借りてデザイナーとしての夢を叶えつつ、家業の毛織物工場の立て直しも後押しする物語です。近年、各地で制作されている御当地映画の一つと言えるでしょう。しかし、単なる地域の宣伝になることなく、かなりしっかりした物語が組み立てられていました。
障害のある者・ない者、親と子、有名な者・無名な者、才能のある者・恵まれない者、それらの相克が巧みに織り込まれています。史織の障害についても丁寧に撮られていました。そして、目を惹いたのは主役の服部樹咲さんでした。何とも言えぬ魅力を発するこの人はどこかで観たなぁと思っていたら、『ミッドナイトスワン』(2020) のバレリーナの女の子だったんですね。
「うわぁ、大きくなったなぁ」
と、親戚の子供の成長を見るジイサンの気分でした。
ただ、僕が神経質すぎるのかなと思うのですが、一つ気になる点。本作には史織の他にもう一人発達障害を持った少年が描かれます。彼は史織より社会への適応が少し難しい人物なのですが、彼の障害が物語の展開の為に利用されていると言う風に少し感じられました。やっぱり気にし過ぎかな。
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