劇場公開日 2025年5月2日

「認知症患者の介護の実態を明るく、軽いタッチで描く」うぉっしゅ Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5認知症患者の介護の実態を明るく、軽いタッチで描く

2025年5月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

母親が入院することになり一週間ほど認知症の祖母の介護を任されることになったソープ嬢のカナが、自分たちの名前すら分からない祖母との距離を縮めていく物語。そんな設定だが、レーティングは「G」で、子どもに見せられないような場面は一切出てこない。

カナが「職業柄、他人の体を洗うのは慣れているから」と笑いながら祖母の入浴介護について語るように(タイトルはその "wash" から来ている)、往々にして暗くなりがちな認知症患者の介護の実態を明るく、しかも決して不真面目にならずに、軽い笑いを誘うようなタッチで描いている。そこは数々のテレビ番組のコントをこなしてきた研ナオコのコメディエンヌとしての本領発揮だと言えるだろう。

「認知症患者があなたのことを忘れるのではなく、あなたがその患者さんのことを忘れるからあなたの存在が消えていくんだ」「認知症の一番の治療は投薬や運動ではなく、家族が想ってあげることだ」等の心に残る(文言は正確ではないが)セリフが散りばめられている。

親には話せない仕事のことも「どうせ忘れてしまうから」と祖母には話すカナに対して、むしろ偏見を持たずに真っ直ぐに向き合ってくれる。

そして、「毎日、新入生になった気分で迎えられるのなら、認知症になるのも案外いいかもね」と語る友人。

現実は決して甘くないかも知れないが、認知症をポジティブな側面から光を照らし、そこで暮らしてみることで、人を慮り、むしろ自分自身を見つめ直すキッカケを与えてくれる。演出はYouTubeチックな部分も拭い切れないが、ホッコリとする佳作だ。

Tofu
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。