劇場公開日 2025年5月2日

「研ナオコが表情が命綱」うぉっしゅ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5研ナオコが表情が命綱

2025年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ソープ嬢が認知症の祖母を介護することになるというユニークなテーマ、そしてその祖母役を研ナオコが演じるという点に惹かれて観に行きました。

まず驚いたのはキャスティング。研ナオコ以外では、ソープ店の店長役として出演していた「ニューヨーク」の嶋佐和也くらいしか見覚えがなく、主演の中尾有伽をはじめ、他の出演者の方々も失礼ながら存じ上げませんでした。私は新宿ピカデリーで鑑賞したため、あまり意識していなかったのですが、実際にはいわゆる“単館系”のインディーズ作品だったようです。研ナオコが出演していることで、もっと商業的な作品かと思い込んでいたのですが、その思い込みは覆されました(内容とは関係ありませんが)。

さて肝心の内容ですが、ソープでの仕事のシーンはごくわずかで(そこは少し残念💦)、主に描かれていたのは、ソープ嬢同士の会話や、家事を依頼しているハウスキーパーとのやり取り、そして祖母・紀江(研ナオコ)を孫の加那(中尾有伽)が1週間介護する様子でした。

タイトルの「うぉっしゅ」は、ソープで客の身体を洗う行為と、介護で身体を清拭する行為を掛けたもののようで、この2つを対比させて映像化していたのは、本作の見どころの一つだったと思います。ただ、それ以外の部分では、タイトルとの関連性はあまり感じられませんでした。

作品の主題であろう「認知症介護の大変さ」については、加那が慣れない介護に苦しみ、一度は投げ出してしまうものの、気を取り直して再び向き合い、祖母との“絆”のようなものを感じていく、というハッピーエンドで締めくくられていました。コメディタッチでありつつも、真剣なテーマを描くというスタンスは理解できますし、それはそれで良いと思うのですが、現実はそこまでうまくいかないのでは…という思いも拭いきれませんでした。

お目当ての研ナオコについてですが、認知症の役柄ということもあり、セリフはほとんどありませんでした。それでも、前半の呆けた表情は見事で、加那の愛情あふれる介護を受ける中で、徐々に表情を取り戻し、普段の研ナオコらしさが垣間見えるようになる過程はとても印象的でした。彼女の“表情”が、この作品を支える大きな柱となっていたのは間違いありません。

そんな訳で、本作の評価は★3.6とします。

鶏
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