「イタリア国境のアルプス山中のちいさな町。 難民施設から逃げ出した難...」越境者たち りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
イタリア国境のアルプス山中のちいさな町。 難民施設から逃げ出した難...
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イタリア国境のアルプス山中のちいさな町。
難民施設から逃げ出した難民たちが使われていない山小屋に身を隠している。
アフガニスタン人女性チェレー(ザーラ・アミール・エブラヒミ)も、そのひとり。
難民たちは地元の不法移民排斥者たちに追われることが、しばしばだった。
一方、事故で妻を亡くしたフランス人サミュエル(ドゥニ・メノーシェ)は、リハビリ期間も終了し、職場復帰直前だった。
しかし、復帰する意欲もわかない。
ひとり娘を友人に預けて、妻との思い出の山小屋へひとり向かうが、そこにはチェレーが潜んでいた。
彼女は、別れた夫を探して、フランス側の難民施設を目指していたのだが、厳しい寒さとともに不法移民排斥者たちにも追われているのだった・・・
といった物語で、90分ほどの映画。
尺も短く、引き締まったつくりなのだが、サミュエルがチェレーを助けて、越境するための道案内をする心情がわかりづらいのと、不法移民排斥者たちとの攻防が同じような場面の繰り返しで、映画的には水増し感が拭えない。
サミュエルがチェレーを助けるのは、そもそも妻を亡くした事故の原因がサミュエルにあり、今回の山小屋訪問は思い出に浸るためではなく、自殺するためだったというのがわかって来るのだけれど、そこいらを掘り下げてのドラマが薄く、そのため、「死んでもいい」男が「死にたくない」女を、「死んでもいい」という自暴自棄の思いでの救いの手が、結果的に彼女を助けるという皮肉な展開が活きてこなかったように感じました。
ちょっと惜しい出来。
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