「どこまでがネタバレ?」徒花 ADABANA TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
どこまでがネタバレ?
甲斐さやか監督、前作『赤い雪 Red Snow』も劇場で鑑賞しましたが正直あまり好みではありませんでした。ですが、今作のキャスティングを見ると自分が好きな俳優が多く出演されており、では「もう1本観てみよう」と思い直して劇場鑑賞を決定。公開週でしたが、シャンテはSCREEN1ではなくSCREEN2が割り当てられており、若干モヤモヤしつつもポイントを使ってチケット購入。で、実際のところ客入りは、、寂しい感じでした。。。
で、観終わってレビューのことを考えながら「本作はどこまでがネタバレなんだろう?」と思い、まず映画.comのあらすじを確認。続いて(初めて)予告編を確認してみたところ、「あぁ、ここまで言ってるのか」と。確かに、この世界の特異な設定ついては、映画内でも冒頭に文字情報でのみ簡潔に情報あり。逆に言えば「こういう世界だから」とそれ以上の説明や映像的な視覚情報は一切なし。そこは重要じゃないのでしょうが、観続けると結局は「なんでこんな不確実で不経済、不平等にもかかわらず、生産性も高いとは思えないことを国家がやるんだ?」とひっかかざるを得ない。とは言え、それは言わない約束だとしたら、せめて序盤のシーンももう少しシステマティックにするか、或いはこのシーン一切なくてもいいような気も。。なおこの作品、甲斐監督は20年以上の歳月をかけて練り続けてきたとのことですが、作品性としてはこれ以上ないくらい古典的な話。死を目前に、人生や生命について考え、悟り、そして語りだせば当然自ずと哲学的になり、そして「今更?」に倫理を気にし始める。何?この壮大な矛盾と言うかマッチポンプ。
とまぁ、ついついネガティブな意見が止まらないのでポジティブに捉えられたことも一点、この世界でいう「最新技術(一応ぼやかしておきます)」の構造を、新次(井浦新)の自分の立場を使った大いなるルール違反(ああ、またネガに振れる…)によって鏡越しに対面させ、「自己への否定と肯定」を見せるやり方はまさに本作の象徴的シーンであり、面白い表現方法だと思います。(そこから、感化された彼女の越権行為もセキュリティー緩々すがw)
それにしても、20年以上かけてこれ完成させたのか、、甲斐監督お疲れ様でした。プロデューサーは、、ああ、こういう作品作ってきた人なのね。うーん。。
申し訳ないけど甲斐監督は私的に次回はないかな。。ごめんなさい。