「味のある我らが兄貴!」犯罪都市 PUNISHMENT 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
味のある我らが兄貴!
我らが兄貴、マ・ドンソクがパワフル刑事に扮した名物シリーズ第4作目。
昨年2月に3作目が公開されたが、9月に早くもこの4作目が公開。驚きのハイペース! 韓国では一年置きだが、それでも続けざまなのには変わりない。
それにしても、あっという間にもう4作目。昨今のシリーズ物は2作目や作られても3作目までが多い中、4作も続けばこりゃもう立派な“人気シリーズ”。
8作目まで想定しているらしいから、ちょうど折り返し地点。これまで一話完結だが、いずれ次回へ続く!…みたいな壮大な展開になったりするのかななどシリーズの今後を想像しつつ、今回も楽しく鑑賞。
さてさて、今回兄貴が正義の鉄拳をお見舞いするのは、初めての敵。
前作に続きソウル地方警察広域捜査隊のマ・ソクト。
麻薬密売事件を追う中、取引に扱われるアプリを知る。
アプリの開発者であるプログラマー、チョ・ソンジェを突き止めるが、フィリピンで殺されていた。
アプリはソンジェが過去に作成したオープンソースをベースにしており、開発自体には無関係。が、遺体と対面した母親はショックから自殺。“息子を殺した犯人を罰して下さい”と遺書を残して…。
ソクトは母親の遺影の前で必ず犯人を捕まえる事を約束する。
アプリを開発したのは、フィリピンに拠点を置く違法オンラインカジノ“皇帝カジノ”。
プログラマーを拉致・監禁・暴行し、運営させていた。逃げ出したソンジェはその被害者…。
仕切るのは冷酷非道な男、ペク・チャンギ。
オーナーは“ITの天才”と呼ばれるIT企業のCEO、チャン・ドンチョル。
違法な方法で利用者に金を使わせ、自らは大金を稼ぎ、さらには殺人まで犯す卑劣な組織であった…。
これまでマフィアや日本ヤクザも相手にしてきたが、今回兄貴が立ち向かうのは、デジタル。
しかし言うまでもなく、兄貴はアナログ人間。デジタルの事などちんぷんかんぷん。
そのカジノは何処で“店”を開いている…? おーぷんそーすって、どんなソース…?
サイバー捜査隊の協力や皇帝カジノに手を出した事のある小峠似のお馴染みのイスも強引に。
イスには秘密警察“FDA(ポリス・ダーク・アーミー)”のバッジを。意気揚々と協力するイスだが、スペルにご注意を。ラストの爆笑オチ。
チームワーク、ユーモアは勿論。
黒幕は田中圭似のオーナーのドンチョルだが、どうも小物感。
ITの天才として顔も知られ、華やかな表舞台や裏の世界とも通じる時代の寵児だが、自分の地位や威勢を張ってるだけで、兄貴に一発でのされそうな…。
脅威なのはチャンギ。
目的の為なら人を殺す事を何とも思わない。組織を逃げた者、邪魔な者、不要な者、さらにはただその場に居合わせた全く無関係の掃除のおばさんまで…。
元特殊部隊。残虐殺人で解雇された過去を持つ。
ドンチョルの下でカジノの仕切りや汚れ仕事をしていたが、配当金や不信などからドンチョルと関係悪化。ドンチョルもチャンギを消そうとするが…。
格闘にも長け、擁護の余地ナシの極悪さ。
刑事として犯人を逮捕する為に多少手加減する兄貴だが(してるのか…?)、今回はやり過ぎてしまうかもしれん。
いや、やり過ぎていい。極悪犯に怒りの拳をお見舞いしろ! やったれ、兄貴!
兄貴無双は今回も炸裂。
パンチ一発で相手をKOしたり、軽々投げ飛ばしたり、鍵の掛かったドアを突き破ったりは当たり前。
パンチ一発で相手の骨を粉砕し、鍵の掛かった鉄格子を破壊。
何てったって兄貴のパンチ力は、パンチングマシンMAXオーバーの9999!
寅さんと渥美清やロバート・ダウニー・Jr.とトニー・スタークのように、マ・ドンソクとマ・ソクトももはや一心同体にしか見えない。
ただの筋肉馬鹿怪物刑事ではなく、頭も働く。
一網打尽にある策を。奴らの“独占欲”を利用して、偽のオンラインカジノを作って誘き出す。
なかなか進まぬ捜査に次長から担当を外れろと。
捜査継続を直訴。その熱意に打たれて、その場に居た長官が承諾。長官から有難い言葉。犯罪は常に法の先を行く。味のある刑事だ。
強くて、茶目っ気があって、正義感あって、熱くて、人情味がある。
だから我々は、この兄貴に惚れて惚れて堪らないのだ。
ED恒例の事件解決しての打ち上げシーンはナシ。
でもあの墓参りの後、皆で行ったんだろうなぁ。
今回もお疲れッした~!