「ゆっくりとゆっくりと流れるノルウェーの毎日」ヒューマン・ポジション yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆっくりとゆっくりと流れるノルウェーの毎日
今年391本目(合計1,483本目/今月(2024年10月度)42本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
ノルウェーを舞台とした、療養・両方明け(リハビリ等との併用を前提とした勤務も含む)の女性を主人公にした、小さな新聞社に勤める、その彼女のストーリー。
全般的にセリフが少なく、「映像で見せるタイプなのかな」といったところです。どなたか「インスタの写真の寄せ集めみたい」という趣旨で書かれていましたが、それがぴったりくるところです。セリフはまぁまぁ出るといえば出ますが、個々あまりつながりがないし、理解できなくても大丈夫ではと思えます(明示的に章立て形式ではないですが、いくつかテーマがあってそれごとにお話が分かれているというようにも思える)。
途中から彼女の元に舞い込んでくるニュースが、外国人移民とその移民の労働問題といったやや「重いテーマ」になるのですが(日本でいうと、行政書士と社労士の共管業務かな)、それも話題の一つで、ノルウェーにおいて「移民がありかなしか」みたいな問題提起の内容になっていません。
日本からノルウェーの文化がいくつか知られるのと同様、ノルウェーから日本文化もある程度知られているようで、柔道や日本ドラマ(ただし、著作権の関係か、映像は流れない。音声のみ)、五目並べ?囲碁?(この点後述)などいろいろ出てきます。多少は誇張した部分はあるのだろうと思いますが、上述したようにインスタの切り貼りのような「写真で見せる」タイプの、明示的に章立て形式はされないもののそのようなフシがあるこの映画で、日本文化が出てきたのはわかりやすかったかなといったところです。
そうした事情があるので、若干わかりにくい点はあるとしても、日本から遠く離れたノルウェーのゆっくりとした時間を映像として(というより、本映画では「写真として」見るといったほうが表現は良いかも)見る作品は、「ストーリー性には乏しいかもしれないが、癒し系映画としては」推せるといったところです。
採点は以下まで考慮していますがフルスコアです。
-------------------------------------------------------------
(減点0.2/五目並べか囲碁かをしているシーンについて)
まず、五目並べでないことはぱっと見てわかります(当該シーンの右下ですでに「五」が完成しているため)。
では囲碁(日本ルールによる囲碁)かというと、多少知識があるとわかりますが、その可能性は低いです。なぜなら、盤面上の真ん中あたり(ルール上はこの位置(中心位置付近)を「天元」という)に石が何個もおかれているからです。囲碁のルールの性質上、自分の石(黒石か白石)を連結させることが有利になるので、周囲をすぐに囲まれるこの位置に序盤から打つ理由がほぼなく(このことは囲碁の一般的な動画でも初歩の段階でも説明される)、そう考えると囲碁の可能性もなく、じゃ何なんだろう…というのも気になります(中国式ルールの囲碁だとしても、上記に述べた「中心に序盤から打ちあう展開は通常存在しない」ため、やはりその可能性は低い)。
ただ、おそらくこの部分は深く監修がされなかったのであろう点であり(囲碁を本格的に扱う映画ならともかく、日本文化の一つとして出てくる囲碁(←厳密には中国発祥)が出ているだけであり、その不自然な点に関しては別に囲碁の監修などもされていないでしょうし(←「でしょうし」については、ノルウェー映画なので、エンディングロールがまるで読めないので確認もできない)、そこがどうであろうが、一応指摘はしますが(不思議なゲームやってるなぁ、くらいで、そんな論点突っ込むもアレか…)、採点幅はこんなところです。
なお、柔道をしているシーンもありますが、本格的に試合や練習といった部分もなく、柔道服を着てヨガ?をやっているような感じであり、ヨガが精神集中の一つによく取り入れられるように、ここも柔道かヨガかというのも本質論ではないような気がします(柔道という字幕は出るが、本格的に練習をしたり大会に出たりという展開にならないため)。
-------------------------------------------------------------