「回復途中の人間」ヒューマン・ポジション 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
回復途中の人間
2021年。アンダース・エンブレム監督。ノルウェーの港町で病気療養から復帰した女性記者と同居する彼女との静かな日々。記者として追いかける話題、椅子の修復をしている彼女との関係、坂道が多くアールヌーボーの美しい建築が多い街並み、などが描かれる。隣の部屋からのぞき込むような構図は開放的な空間が多い日本映画の影響だろう(柔道着や囲碁、見てる映画などからも日本映画へのオマージュは明らか)。
街並みや建物の構図のいちいちに物語上の要請とは異なるきめ細かい美意識を感じる。逆に物語は少々追いにくいけれども。お腹の傷と子どもは関係があるのか?
途中から難民問題が出てきて社会派ドラマの様相を呈していくが、あくまでも主眼は人間関係と映像の(絵画的な)構図にあるのだろう。だったら、より生活に身近な話題、あるいは街並みに由来した話題をエピソードにしたほうが意図がわかりやすいよなあと思てしまった。主人公と彼女との関係に対して、難民問題はあまりにも遠いので。でも静かで美しくてよい映画だった。
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