「夢を諦めなかった女性の素敵な物語です」パリのちいさなオーケストラ たつのこさんの映画レビュー(感想・評価)
夢を諦めなかった女性の素敵な物語です
ザイアがオーケストラを設立したのが1998年と言うのだからこの物語はそれより以前の話ですね。人種差別、性差別、階級の不平等など今よりもっともっと差別がきつかったでしょうし、まして移民の子となれば尚更だったであろうと想像がつきます。
どの世界でも「女だから」などと言う不条理があるのは知っていますが、指揮者の世界でもそうだったのですね。
「女性は信念がないから指揮者に向いていない」などと言われ諦めるのなら最初から夢なんか追いません。自分の好きな事の為ややりたい事の為に真剣に取り組んで夢を追うのに男も女も関係ないですもんね。
でも一人じゃない。家族や仲間の存在も勿論ですが、やはりチェリビダッケ先生との出会いは大きかった。
厳しい指導の中でも温かく見守ってくれる師との出会いは運命的な何かを感じます。
「皆と一体と感じられたら奇跡が起こるはずだ」など師の言葉の一つ一つが刺さります。
それとやはり音楽が素晴らしいです。
主要キャスト以外の配役は現役の音楽家たちを起用していると言うことで、クラシックの数々の名曲に魅了されます。
世の中の不条理な事や理不尽な事は無くなることはないのかも知れないけれど、寄り添ってくれる人たちだってきっといる。
くじけそうになったら今度は周りが力をくれます。
人と人の出会いの不思議さとその大切さ。好きを貫く努力と勇気。
目指す道を諦めず、音楽と懸命に向き合う姿は美しかったです。
ラストの青空の下での演奏は何と素敵なシーンでしょう。
いい映画を見ました
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