私にふさわしいホテルのレビュー・感想・評価
全34件中、1~20件目を表示
ポップでアナーキーな反骨の底にある健全な毒気
話が始まってしばらくは、素っ頓狂なヒロインによるただのドタバタコメディ映画かなと思っていたが、さにあらず。
どうもこれは、喜劇とファッションでシュガーグレーズされた、文壇の内情についての赤裸々な暴露話のような気がする。パロディっぽいのがたくさん出てくるし……
原作を読んでいなかったので帰宅する足で原作本を買い、ひとまず石田衣良氏の解説を読むとこう書いてあった。
「この本は、現在人気急上昇中で精力満点の作家・柚木麻子が、身も蓋もなく作家と本の世界の暗黒面を描いた作品だ。」
あ、暗黒面……
全体的にのんだけがちょっと舞台劇のような演技なのだが、それは加代子というキャラクターのせいもあるだろう。よくも悪くもふてぶてしいキャラだが、表情が豊かで、70年代ヒッピー風ファッションから着物やシャネル風スーツまで何を着てもよく似合い、こちらの目を楽しませてくれる。彼女のモデルとしての経験も生かされているように感じた。
冒頭から万年筆の持ち方が気になってしまったのだが、パンフレットを読むと箸の持ち方等監督の指導によるものだそうで、思えば当たり前だが意図的なもののようだ。加代子の破天荒キャラの表現ということだろうか。
舞台となる山の上ホテルのシックで品のあるインテリアにも目を奪われる。今年2月に老朽化のため一時休館したそうだが、長く大切に使われた建物特有の味わいがスクリーンからも伝わってきた。エンドロールまで内装の映像がたっぷりで、山の上ホテルの記録映像、プロモーションビデオとしても楽しめる。
加代子と文壇の大御所・東十条(モデルは渡辺淳一だろう)との掛け合いは、絶妙なコンビネーションだ。加代子は東十条の執筆作業を妨害したり(三島の演説を真似た電話や、文豪コールでシャンパンを振る踊りに爆笑)偽名で彼の家族に取り入ったりするのだが、対立するばかりではなく、遠藤への復讐のために共闘したりもする。結果的に加代子は東十条のミューズのような役割も果たす。
この二人の関係が終始カラッとしているので、途中で業界暴露的要素が見えてきても全く陰湿な印象にならない。
察してくれと言わんばかりのネーミングやキャラの数々には笑ってしまった。「小説ばるす」「直林賞」「文鋭社」あたりはわかりやすいところ。直木賞……じゃなくて直林賞に直結するエンタメ文学賞「鮫島賞」、「プーアール社」。高校生作家・有森光来は綿矢りさを思わせる。原作では、これらに加えて実在の作家の名前も出てくるらしい。
だが、笑って観ている頭の片隅でやはり気になる。大御所作家の「男尊女卑クソじじい」ぶり、担当編集や書店と作家の関係、新人作家への嫉妬や焦り、文学賞の出来レース……
この辺りの描写には妙な説得力があり、うっすらと原作者の実体験や見聞が透けて見えるような気が、どうしてもしてしまう。実際そんな感じなのか、文学界。
パンフレットにある豊崎由美氏のコラムによると、さすがに令和の現代では昭和的風習は廃れ、文壇解体前夜といった様相のようだ。1981年生まれの柚木麻子が書いた原作の時代設定は平成だが、当時新人作家だった彼女は、文壇で何らかの理不尽に出くわし怒りの炎を燃やしていたのだろうか。
石田氏の「暗黒面」という表現がどこまで真に迫ったものか、あるいは半分冗談なのかはわからないが、この物語の底には健全な毒気を帯びた批判精神が流れている。そんなスパイスがピリリと効いた、結構大人向けの喜劇なのだ。
違和感=賞をとるために、書く?
太宰治が芥川賞の受賞を強く望んでいたのは
有名な話しである。
懇願の手紙を選考委員の佐藤春夫に書いたそうだ。
最近の芥川賞受賞者が、如何にして芥川賞をモノにしたかを、
得々と対談で話しているのを読むと、情けない気持ちになる。
話題性
目新しさ
以前からその傾向はあったが、近年は《賞は獲りに行くもの》
傾向と対策を練って・・・
受賞作の一部をAIに書かせた・・・などと聞くと、
自己の文学性を否定しているように思える。
この「私にふさわしいホテル」も、
賞を獲るために書く、
有名な選考委員に酷評された事を恨みに思い、
悔しさを晴らす為のみ、
それが唯一のモチベーションに、
新人作家の中島加代子(相田大樹、白鳥氷、有森樹李)が、
バッシングをバネに鮫島賞を獲り、
有名作家を育てた【山の上ホテル】の真の常連作家になる・・・
そんな架空の話しである。
私を辟易させるのは、
作家・柚木麻子の真っ正直さ、裏の無さ、単純さ、幼児性、
臆面もなく、《鮫島賞》を獲りたい、手段を選ばない、
そこだけに集中して行く。
彼女が《賞を獲る為に》に切り捨てた多くのもの・・・
それこそが【真の文学】なのではないか?
のんは時に厚かましくコメディタッチの大げさな演技だが、
着物姿など実に瑞々しく美しい。
身につけた洋服で性格まで変わるカメレオン俳優ぶりは楽しく、
コロコロ変わる表情や悪態を吐く勇ましさ、
これはこれで楽しい映画だが、
文壇暴露ネタなんて、
文学はそんな“やわなもの“ではない。
猿回しの猿が回してるものは、
なに?
自分ではないのか?
大事な本質を見失っていると感じる映画だった。
コメディだからめくじらを立てるのは大人気ないのかもしれない。
ただ、
文章を書くことと、「文学作品」とは別の話しである。
能年玲奈はコメディが似合うね
あまちゃんのキャラがハマりすぎててそれ以降の作品はなんだかパッとしなかったけど、
これは能年玲奈大爆発だった。
原作が小説だとは知らなかったけど、原作もここまで弾けた感じなのだろうか?
結構漫画ちっくなコメディ映画だったけど。
売れない若手小説家と売れっ子小説家の意味のわからないバトルが延々と続く。
一体彼女らはなんのために戦っているのか、、
本来ならイイ作品を作ることでお互いに鎬を削るはずなのに、相手を別の形で貶めるという
クリエイター魂はどこ吹く風でめっちゃ笑った。
やっぱり能年玲奈の上手いんだか下手なんだかわからない演技には独特な雰囲気があって、
特にキレ芸?にはコミカルさとの相性が素晴らしくキャラだけで見れてしまった。
編集部や新人作家、大御所作家などあらゆる世の中に怒りをぶつけ、
その独特の言い回しの悪口を言わせるためにこの映画はあるんじゃないかと思った。
多分主人公の不満は作者の柚木麻子さんのそのままの不満なんだろうなあと思う。
前回見た「さかなの子」はほんとあまちゃんの焼き直しって感じでがっかりしたけど、
こういう作品に出会えばまた能年玲奈も色々主役で出られるね。
黙ってるとかなり美しいんだけどね。背も高いし。
なんか映画監督や音楽や社長までやってかなり多彩なのでこれからも応援します!
「去年のサンタさんは、こんな大根役者じゃない」
何だこの話。
こんな映画は西洋の映画にはない。
ギャクも古臭いし
セリフもこの俳優たちにふさわしい。
つまり、品が無い舞台劇みたい。また、
セリフが鼻に抜ける(かかる?)のが、この主人公の俳優の良さでもあり、欠点でもあると思う。少なくとも、四谷怪談のお岩の役は無理だろうね。こう言った旧国営放送のコメディとかショートコントの様なストーリー展開にはあっているかもね。
よく見れば、全員がそこ出身じゃん。
なんかテレビっぽい。
こんな映画は西洋の映画にはない。
この映画は
「和製だ」
和製の文学をウマシカにしているから、ノーベルが遠ざかる
追記
しかし
今のライトノーベルは全て編集者の意向があると思うべし。
そして、それが「和製」のストーリーを堕落させているのかもしれない。
出来レースは映画ばかりじゃない。小説も同様。それは分かってるが、で?なにを言いたい
追記
これからやって来る女性の時代に、韓国人の女性が、アジア女性初のノーベル文学賞を取った。
「流石!!」になっちまうよな。頑張れ日本人女性!!
追記
この俳優はやはり、舞台劇をやった方が良いと思う。歌を活用すれば、ミュージカルとかもデキる。脚本家さんが舞台劇の人だから、舞台劇に合うって知っていると思うけどね。絶対にこの俳優はミュージカル出来る。
追記
この俳優は食べ方が物凄く下品だけど、演技なのかなぁ。?
追記
書き下ろし作品は芥川賞は駄目。直木賞も大変に難しい。
編集者が絡んでいるから、先ずは雑誌を必ず経由して小説は評価される。つまり、雑誌の売れ行きの為に小説はあるのだ。特になんとか賞はね。
つまりつまり、映画もそう言う事。
追記
「能年玲○さん」って【のん】って言うのか!
ハリウッドを最初から狙ってないんだね。
だって「NON!」は無かろう。
タイトルなし(ネタバレ)
堤監督作品が好きなので期待して視聴
のんと橋本愛が同じ画面に居るのがアツい
所々くすっと笑えて面白いんだけど、監督の指示なのか好みの問題なのか、のんの演技が「SPEC」の当麻と被って見えて仕方ない
あの独特な箸の持ち方や、どう育ってきたのかという問いから、主人公の過去も描かれるのかと思いきや…
賞を取っても悔しい気持ちがまだ無くならない、で終結
うーん…
原作読んだらまた違ったのかな
文壇を題材にしているが主人公を取り巻く理不尽さは
素直に面白かった。
のんさん、田中圭さん、滝藤賢一さんの掛け合いが善き。
のんさんは、上手いなー、と見直した。滝藤賢一さんの良さを引き出している感じ。
96分の映画なのだけれど、110分くらいの長さに感じた。それは退屈で長く感じるのではなく、話の密度が濃くて展開が速いから。
小気味良い。
映画の最後の最後になってから、この映画は文壇を題材にしているけれど、主人公を取り巻く理不尽さは、のんさんが芸能界で受けてきた仕打ちそのものだということに気が付いた。
主人公の最後の独白で。
それに易々とは気がいかない程に、展開が速くて面白い映画だ、と言えます。
文筆家の愛するホテル
で起きる新人小説家と大御所のバタバタかと思ったらそうでもなかった。のんちゃん見るための映画という感じ。山の上ホテル休業中なんだよね。一度は泊まってみたいな。
軽快なコメディ作品
物語は山の上ホテルから始まる。文学新人賞を受賞したものの、大御所の東十条宗典による酷評を受けて鳴かず飛ばずでくすぶっている新人作家の相田大樹(本名は中島加代子)。日頃の恨みを果たすべく、同じホテルに泊まっていた東十条の執筆を邪魔して翌日が締切日の原稿を落とさせる暴挙に出るが、これが二人の因縁の対決の始まりとなった。やがて有森樹季とペンネームを変えた加代子は自分の作品を売ろうとあらゆる手段を講じ……。
自らが監督・脚本・主演を務めた『ribbon』や『さかなのこ』(どちらも2022年)、あるいは2020年の『私をくいとめて』など、近年はコミカルな場面があっても考えさせられることの多い作品に出演していたのんだが、本作では思いっきりコメディに振り切っている。
とは言え、加代子の境遇を見ていると、朝ドラで大ブレークを果たすも事務所と揉めてさまざまな妨害を受けて作品を発表することができなくなるばかりか、本名すら名乗ることができなくなり、のん名義になってからはミュージシャンや声優、そして銀幕の世界に新たな道を見出している能年玲奈という女優のことを想起せずにいられないのも確か。ある意味、こんな形で昇華させているのかも知れないなぁ。
ちなみに、「カリスマ書店員」だった人が編集者となる25年3月に公開される作品に「有森樹季」先生が登場するそうだ。
主人公は私だ!
劇中劇の主人公みたいだなと思ってみてたら、そのまんま劇中劇の主人公だった。
ともあれ、とても勇気づけられる作品。
彼女はとてもパワフルで、不屈の闘争心で立ち上がってくる。小説家って言う種類の人にはそう言う夥しい熱量が必須なんだろうなと思って見ていたのだけど、何の事はない。彼女は自分の夢を諦めず、ひたすら自分の可能性を信じ、誇示しただけの人だった。
それがどれほど難しいのかは言わずもがなではあるのだが、自分の人生に責任を持てるのは自分だけだとの核心をついていたように思う。
自分の人生の主人公は自分なのだ。
そんなメッセージを大声で主張し続けていたのが彼女だったように思う。
原作は知らないけれど、物語の展開もスピーディーで飽きる事はないし、演者の掛け合いもすこぶる楽しい。特にのんvs滝藤氏のシーンはどれも秀逸だった。俺的にお気に入りなのは滝藤氏のウィスパーで、空間と状況を的確に捉えていて楽しかった。
往々にして芝居という前提の元に無視される周囲の環境を彼は無視せず、積極的に取り込んでいたようにも思う。
のんさんは、初見で芝居がかった芝居をしてんなぁとも思ったのだけど、不思議と馴染む。そしてラストカットで腑に落ちる。やっぱ稀有な才能の女優さんだと思う。状況がそうさするのか、役の性格がそうさせるのか、説得させられるし、納得してしまう。
何気に文学界の闇を突いてるのも面白かった。ホントかどうかは知らないけれど、編集者や作家が語るそれらには「あるかもな」と思わせられてしまう。
田中みな美さんのママも良かったわー。
キャスティングはそれぞれ抜群だった。
鑑賞中は大いに笑ったし、芝居巧者の皆様を堪能できて、とても幸せな時間だった。
笑顔
のんらしいコメディ全快の映画。
可愛い服を着て、洋装も和装も似合う七変化。
トナカイにもなるし。
その服装が代わる代わるのように嘘を連発。
まるで息を吐くかのように。
文豪コールは笑った。そして原稿にシャンパン
をかける姿は痛快である。
真っ直ぐで諦めない精神が彼女らしく
また本来の彼女、のんの生き様とも
かぶった感じもした。
あの受賞した時の雰囲気と美貌。見事だね。
より化けた。
性格の悪さは愛嬌。彼女の魅力を最大限に引き出した笑顔はキュートで眩しい。
面白い文壇下克上コメディでした。
あえて作家論として見ると
のんさんを見ていたい気持ちには十分応える映画だった。お話として納得し切れないのに、引きずりこんで見せる勢いは素晴らしい。
落ち着いて作家論としてみれば、新人が2作目を生み出すことの苦しみとか、ベテランが書き続けることのモチベーションが他者へのやっかみであることなど、掘り下げると面白いテーマがいくつかあった。
書きたいという純粋な気持ちより、怒りが作家を動かすというのは真理かもしれない。
その割に最後はベテランがデビュー作と同じ気持ちで執筆に臨むのがよしとされるのはそれでよいのか。途中に出てくるイノセントな高校生作家は邪念が無いので書けなくなってしまったのか。もう少し説明が欲しい。
編集者は作家と同じところまで落ちてこいと煽られてましたが、受賞スピーチでのんさんに感謝されるようなことを何かしましたっけ。
以上のような面での納得感は誰も求めない映画だと思うが、画面から伝わるのんさんの怒りには本物感があるので、もう少し何らかのメッセージがあれば余韻が残る映画になったのではないか。
「言われなくたって、書きますよ」
文壇の大御所ベテラン作家とデビュー作以降は鳴かず飛ばずの新人作家。妙な接点から始まる二人の作家の人生模様を、暖かくもコミカルに描いた人間ドラマです。
主演がのんということで、今年の初鑑賞はこの作品かな? と
思ってました。「山の上ホテル」にも興味があったので、それ
も後押しして鑑賞してきました。・_・☆
作家二人(新人作家♀とベテラン作家♂)+編集者♂一人。
中心となる登場人物は、3人と言って良いかも です。・_・
その3名とは
★新人作家♀ = のん こじらせ作家を好演。…怪演?
★ベテラン作家♂ = 滝藤賢一 出版界への影響力が大なヒト。
★編集者♂ = 田中圭 文芸誌の編集者。能力はあるが…
新人賞を取ったものの、そのデビュー作を散々にこき下ろされ
それ以来鳴かず飛ばずの若手女流小説家を演じたのが「のん」。
自分を貶した作家への「復讐心?」に燃える女。 …こわー @_@
人気作家の「缶詰」気分を味わうため、自腹で山の上ホテルに
泊まっていたところに、大学時代の先輩が乱入してきた。
ロビーでたまたま見かけたと言うのだが、山の上ホテルに来た本来
の訪問先は、スイートルームに宿泊中のベテラン作家♂。
創刊50周年を迎えた文芸誌に、50名の作家の小説を載せる企画
の目玉となる小説を執筆中だ …と口にする編集者♂。
どうやら原稿の締切りギリギリらしく、落とされたらマズい、とも。
それを聞き悪いコトを思いつく新人作家♀。 目がキラリ。
” 万が一原稿が落ちたら、代わりが必要ですよね ”
かくして、原稿執筆を邪魔してやれ大作戦が始まった。
ベテラン作家♂ は、無事に原稿を書き上げられるのか?
新人作家♀は、見事に本懐(?)を遂げられるのか?
というお話。…かと思って観ていたのですが…。
それはこのお話の、冒頭のエピソードでした ・△・ あら
無事(?)原稿を落とすベテラン作家先生。 激怒。
代わりに新人作家♀原稿が掲載されることに。 やったネ
怒り心頭のベテラン作家。
” …この代わりの原稿の作者、邪魔したアイツだ! ”
その後も、名を変え作家家業にいそしむ「のん」。
単行本を出版する話がベテラン作家の横やりで潰されたり
候補に上がった文芸賞審査員にベテラン作家♂が居たりと
熱く、時にはコソクな手段でバトルが繰り広げられる訳で
何ともコミカルな雰囲気のストーリーでした。
のん観たさの鑑賞だったので、その点でまず満足したのですが
物語としてしっかりした作品だったので、なお満足です。・_・v
観て良かった。
※パンフレット売り切れで買えなかったコトだけ残念。むう。
◇
全体振り返ってみると、のんの面目躍如な作品。でしょうか。
くすっと笑ってしまう軽妙な会話が全体を通して散りばめられていま
すが、ベテラン作家と新人作家の関係性が次第に変化していく様子の
描写がなんとも言えぬ味わいで、良かったです。
一筋縄では行かないこじらせ女を演じたら、のんはやはり素晴らしい
そう改めて感じた作品です。
それにしても冒頭からラストまで、いったい何年経過したのでしょう?
◇あれこれ
■正体(…というか複数のPNの由来)
作中では、のんの名前が(ペンネーム)がころころ変わります。
中島加代子、相田大樹、白鳥氷、有森樹李… @△@;
(覚えきれませんでした。↑は、このサイトの紹介文より抜粋)
ペンネームの由来それぞれ何かあるのかな? と思案中。?-?
※白鳥氷は分かります。なんと氷の彫刻から…って あれ)
それにしても、デビュー直後から名前を変え続けるのって、
作者にとってデメリットにしかならないような気がします。
※どう考えても、名前を覚えてもらえないデス…
複数のPNを使い分けた現実の作家さんというと
栗本薫さん(あるときは中島梓さん)くらいしか思い浮かびませんが
他にもいるのでしょうか? はて
■ダサい装丁
のんが何度もこき下ろした「本の装丁」。もしかしたら
「カリスマ書店員(橋本愛)が装丁デザイン者」??
と、ハラハラしながら行方を見守ってしまいました。
装丁や表紙イラストで ” この作家はこれでしょ ”
というイメージが定着するケースもあると思うのですが、作家側から
「この人に依頼したい」という要望は出せないのかな? とも。。
…はっ もしや のんが自分でデザインしたのか? (自虐)
■虚構と現実
現実世界と非現実世界。
その境界の上をフラフラと歩いているような、一種の危うさを感じ
させるストーリー構成だったような気もしています。
あれだけ同じカオの女性が登場しても「他人です」と言われると
「そうなのかぁ?」と納得(?)する東十条先生。大物です。
ギリギリの範囲内で、現実世界の話に踏みとどまる、絶妙なバラ
ンス感覚を感じました。こういうのも、悪くないです。
■選ぶか選ばないか。それが問題だ
東十条センセイ。文芸賞の選考委員として誰の小説を推すのかな? と、
話の行方を見守ったのですが
「審査会の会場に現れない」
という選択肢でした。
それがありましたか…。なるほど。
ワザとか、もしくは創作意欲に火がついて、本気で審査会のコトを
忘れてしまったか。 うん。東十条先生。大物です。
■レッテル貼り
見つけた素材にレッテルを貼る。そのことの功罪にも触れていました。
” イノセントな才能 ”
” 君ならできる ”
” 絶対に書ける ”
そう言われれば言われるほど、期待に応えられない無力感を感じてし
まうタイプの人って、確かに居ると思います。
あの新人高校生作家が、いずれまた小説を書く日がくればいいなぁ。
■本は凶器(…狂気?)
逃げる万引き犯に向かって本を投げつけるのん
ハードカバーの本って、カドの部分が当たると痛そう…
さらに、本が当たって倒れた相手へのマウント&ラッシュ。おお
過剰防衛(?)で訴えられないと良いのですが… ・△・;
◇最後に
わざとらしい設定の場面で、芝居がかったセリフを口にする。
それでも白々しくならないタイプの役者がいると思います。
この作品の主役は「のん」ならばこそ、と感じました。
やはり「のん」は、希有な才能の女優さんです。・_・
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
のんさんの魅力あふれる秀作だと思われました、気になっている人は是非‥
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作を大変面白く観ました。
特に、主人公・中島加代子(相田大樹/白鳥氷/有森樹李)を演じた、のんさんの魅力があふれる秀作になっていたと思われます。
今作の映画『私にふさわしいホテル』は、作品内容としては以下の3点の良さが個人的にはあったと思われます。
1.主人公・中島加代子の、文学(あるいは対立する大物作家・東十条宗典(滝藤賢一さん))に対する深いリスペクト
2.1のリスペクトありながら、あくまで主人公は自分だと、自分発信に変換するこだわり
3.(自身の具体的出自ではなく)表現された作品こそが重要だとの主張
まず、私的感じた作品の1点目の良さの具体的内容は以下だったと思われます。
主人公・中島加代子は、相田大樹の著者名で新人賞を取るのですが、大物作家・東十条宗典からその作品を酷評され、以降の作家生活に苦労し、東十条宗典への恨みを晴らすことを誓います。
しかし一方で、主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典の作品を全て読んでいて、東十条宗典の好きな歌まで把握していて、根底には東十条宗典への、あるいは文学全般に対しての、≪リスペクト≫があります。
この、主人公・中島加代子の、その≪相手や場への多大なリスペクト≫が、1点目の作品の良さだったと思われます。
私的感じた作品の2点目の良さは以下です。
しかし、主人公・中島加代子は、相手や場への多大なリスペクトがありながら、決してその相手や場への【依存的な態度】は取りません。
主人公・中島加代子は、相手や場へのリスペクトを、あくまで[自分発信へと常に置き換え]、自分からの表現に転換して行きます。
この(1点目の、相手や場へのリスペクトとは真逆とも思える)、あくまで[自分発信へと常に変換する]主人公・中島加代子の表現のやり方が、2点目の良さだと思われました。
そして、私的感じた作品の3点目の良さが以下だと思われます。
主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典と一時休戦をして、2人を蔑ろにする発言をしていた編集者・遠藤道雄(田中圭さん)に反撃するために、クリスマスの日にトナカイとサンタの扮装をそれぞれして、遠藤道雄の子供たちを騙して彼のホテルの部屋に乗り込もうとします。
その作戦は遠藤道雄の子供たちに嘘サンタだと見破られ失敗するのですが、その帰りの歩道橋の上で、大物作家・東十条宗典は、主人公・中島加代子の出自を聞き出そうとします。
しかし主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典の作品の中の愛人の子供だと嘘のかわし方をしながら、<出自よりも作品の方が大事だ>、との趣旨の主張をします。
この場面での、主人公・中島加代子の、<出自よりも作品の方が大事だ>との主張は、私には優れていると感じられました。
なぜなら、どんな人もそれぞれの出自を持っていますが、いざ人々の関係性や社会の中に入って行くとそこで歪みが生じます。
そして、その人の(出自そのものではなく)出自と、関係性や社会とを、<橋渡しする歪み>の方が重要になると思われるのです。
つまり、1観客の私には、個人の出自と、関係性や社会とを、<橋渡しする歪み>こそが、<表現であり作品>であり、その<(出自と、関係性や社会を橋渡しする)表現や作品>の方が大切じゃないか!と主人公・中島加代子は主張していると、感じられたのです。
[2.自分発信の強さ]と、≪1.相手や場へのリスペクトの深さ≫は、それぞれ真逆ですが、両者が強く深くあればあるほど両者の歪みや矛盾は増大し、<3.両者を取り結ぶ表現>は強度と深度の要求を増して行くと思われます。
その(個人の出自と、関係性や社会とを)<橋渡しする歪み(矛盾)である表現(作品)>こそ重要なのだ!、という主人公・中島加代子の主張は、今作を通じて根底の一貫性があり、私達の普遍性にも通じていて、静かな感銘を受ける内容になっていたと思われました。
以上の私的感じた作品の3点の良さが、今作の映画『私にふさわしいホテル』を全体を通して優れた作品にしていると思われ、さらに、主人公・中島加代子を演じたのんさんの強さと深さと幅のある説得力ある演技によって具体化され、今作を秀作にしていると、僭越ながら思われました。
惜しまれるのは今作の時代背景が1980年代の話であった所で、仮に今作の設定が現在に置き換えられ、今の文学状況も踏まえた上での現在の私達をリアルに突き刺す内容になっていたとすれば、今作は(私的)傑作にもなり得たとは、一方で思われました。
しかしそれを差し引いても今作は、のんさんの魅力も爆発している素晴らしい秀作であったと、僭越ながら思われました。
残すにふさわしいホテル
「たった一つの酷評から鳴かず飛ばず・・・」から物語はじまる、SNSの現代では「1つの書き込みから・・・」からと考えるとレビューを書くのも身が引き締まるというのは思い上がりだろう。
この映画、痛快文壇下剋上、痛快逆転ストーリーだけではない。
細部に堤監督の演出と、出演者のみなさんのこだわりの演技、周到に計算された細部の仕掛けにも注目したい。
例えば、山の上ホテルで、多くの文豪の頭の中で繰り広げられてきた思考の世界、産みの痛み苦悩、文豪を支える編集者、家族との関係、著名な文豪もそれぞれがライバルであったり、リスペクト、ファン心情。
そんな世界が、東十条と中島との掛け合いの中から感じとれる。
滝藤は豪快な文字で文豪を、のんは、男勝りの殴り書きで怒りと、綺麗な文字で小説に向き合う真摯さを、二人の役者は文字までも演じて見せてくれる。
「東十条の作品はデビュー作から全部読んでいます!ライバルですから」という中島は、東十条の1番のファンではないか。もしかすると東十条のほうが中島の才に惚れ込んだファンなのかもしれない。
その尊敬する東十条から酷評されたショックと、ファンとして、東十条には評論より、
作家として作品を作ってほしいという思いを感じさせる。
また、東十条と中島にの駆け引きや、目まぐるしく変わるファッションに気を取られ、
見過ごしていた隠れた演出、仕掛けに、不覚にも3回目の鑑賞でやっと気づいたのである。
最後のシーンの原稿の日付二〇ニ四年二月十二日、山の上ホテルの休業前日。
そして、赤いベレー帽は小説の中の中島、最初のシーンと最後のシーン、途中の原稿を天井に投げるシーンのベージュの帽子は現実の中島、黒電話のベルとスマホの着信音による時点の変化、机の違いで401号室と501号室と時点の違いを表す。つまりは、2024年2月12日に「私にふさわしいホテル」を書き上げた中島の頭の中の空想を通して、山の上ホテルで数々の文豪の頭の中で繰り広げられてきたであろう空想の世界を見ているのである。
普通ののんちゃんが見たい
滝藤さんが好きなので見てみました。
うーん、自分とは合わなかったかも。
ずっと笑っている方もおられたのでハマる人にはハマるのでは。
のんちゃん奇抜な役が多いけど普通の役も見てみたい。
とっても魅力的な女優さんなので。
思わず笑ってしまうドタバタコメディ
小説家が周りの人達の力を借りながら、逆境を自らの行動で覆していく。とにかく売れたい、という世俗にまみれた夢を叶えるため、のんが泥臭く、執念深く立ち向かう姿に勇気と笑いが込み上げてくる作品。人間臭いキャラ好きよ。
周りにはたくさん迷惑もかけるけど、なんだかんだ彼女を見捨てず、むしろ彼女に影響されていく。エネルギッシュな人は見ていて魅力的ですよね。
ただ相当振り回されるので、一緒に仕事をする勇気はまだないなぁ笑。遠藤さん、尊敬します。今度から尊敬する人を聞かれたら遠藤さん(田中圭)と答えようかな。
色んな意味で、新年1作目を観に行った"私にふさわしい映画"でした。サブスクで観れるようになったら、家で声出して笑いながらまた観ます。
山の上ホテルの映像は良かったです
のんが主演で、トリックやTV版のセカチューの堤幸彦監督。
80年代後半から90年代の文壇で、のん演じる新人作家が、滝藤賢一演じる大御所と対立しながら、文芸賞を取るコメディ。
コメディか、というと、のんや滝藤賢一の演技は一本調子で、出来の悪いドタバタ劇に終始しており、微妙。
では、出版業界ものか?というと、う〜ん、90年代って村上春樹がいて、宮部みゆきや東野圭吾がガンガン書いて、たぶん雑誌を含め書籍が最も売れていた時代。そんな雰囲気は微塵も感じられないですね。
唯一の救いは昨年2月に閉館した御茶ノ水に「山の上ホテル」が様々なシーンで出てきます。記録映像としては貴重なのでは?と思います
君にふさわしい共犯者
珍獣キャラを演じさせたら、のんの右に出る者はいない。
表情も衣装もコロコロ変えながら、バタバタと動き回るだけでもう楽しいのだ。
白々しい芝居も愛嬌たっぷりで嫌味がない。
大人げなさがコミカルでありつつ、純粋さを思い出す後半にも繋がる東十条のキャラも秀逸。
加代子との関わりが逆に執筆意欲を刺激している、という関係性も絶妙。
彼がやり返す展開も見たかったなぁ。
遠藤のスタンスは読みづらかったが、基本は職業に従順で、面白い作品に弱いというところか。
田中みな実は『はたらく細胞』の深キョンと並ぶ適役。
服部稀咲や髙石あかりはもっと見たかったし、光石研はムダ使い過ぎるだろ。笑
終始可笑しみに溢れているのだが、個人的には加代子と東十条の共闘パートが好き。
夢を与えてるつもりが与えられてたり、仮装のまま外に出たり、トナカイの後ろ足のシュールさとか。
のんのテーブルクロス引きと滝藤の霧吹きも見もの。
ただ、最初の書評が単なる本音で圧力などかけていないとしたら、恨むべきは出版社では。
最後の賞に関しても、「私のを選べ」ではなく「純粋に評価しろ」とすべきだ。
カリスマ書店員の件も含めて、あれでは中身で評価されたとは捉えづらい。
お陰で痛快さの面では物足りなかった。
最後40年(1984→2024年)経ってるのに加代子の見た目が変わってないのは、全部小説の話でしたということ?
鑑賞動機:あらすじ8割、楽しそうな映画で一年を締めくくりたい2割。
やっぱり1年の最後はいい感じで終わりたい。
突飛なキャラクターだし、正直自分の周りにはいてほしくないけど、映画の人物として見る分には楽しい。ときどき東十条自身はともかく、彼の小説は全否定しているわけではないことが垣間見えて、ただの性悪ではないのがよい。氷の例えとか、そこ繋げるかとちょっと感心したり。
東十条との攻防にしても『大いなる助走』とか考えたら、かわいいもんです。
外したギャグもまたよし。
あっ、明後日の方向にハイレベルな箸の持ち方!
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