劇場公開日 2024年12月27日

  • 予告編を見る

「ぶっとんだ魅力的主人公の具現化が見事」私にふさわしいホテル 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ぶっとんだ魅力的主人公の具現化が見事

2025年5月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

柚木麻子さんの原作既読。
主人公のキャラが、なかなかぶっとんでて魅力的。

「のん」こと能年玲奈さんは、その主人公を
ものの見事に具現化した。

東十条宗典は、渡辺淳一だと思って読んでいたので、
滝藤さんだといい人過ぎる感じはしたけど、
さすがの芸達者。

堤幸彦監督は、たまに遊びすぎる時があるけど、
今回は程よくハマってた。

ただ、
原作は全6話で、圧縮しなきゃいけないのは当然にしても、
「文学史上、最も不遇な新人作家」である理由が、
東十条の酷評だけでは弱くないか?

そもそも主人公(名前が4つあるので、誰とは言わない)が
マイナーな新人文学賞を受賞した経緯が、

とある元アイドルに受賞させるための目くらましだった、
だからその元アイドルは受賞1か月後に早速単行本を出したが、
もう一人すなわち主人公は、そもそもデビューさせる気など最初からなく、
けんもほろろの扱いを受けた上に、
囲い込みをされて他の出版社から本を出せなくされていた

っていう元の設定と比べると、
ちょっと弱すぎないか?と思われ。

ちなみに東十条の原稿を落とそうという企みは、
そうしないと自分が「小説すばる」
じゃなかった、「小説ばるす」に掲載されるチャンスが巡ってこないから。

あと、結末。
その元アイドルとの因縁がなくなっちゃったので、
カタルシスが不足。

さらに、結末の前。
東十条根性なさ過ぎ。バラしちゃ台無しでしょ。

そうそう、それと、
なんで時代を四半世紀戻して
1984年に変更した?
必然性は、全然感じられなかった。
むしろ「昔話」になっちゃって、
リアリティが減った気がする。

というわけで、いろいろ惜しかったけど、
それでも、登場人物たちのちょっとした表情とかが、
まさしく期待通り、いやむしろ期待を超えて、
行間を見事に表していて、
めっちゃ面白かった♪

ちなみに、一瞬だけ、
「潮騒のメモリーズ」復活🎵

島田庵