劇場公開日 2024年12月27日

「めくるめく「のんワールド」」私にふさわしいホテル ken1さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5めくるめく「のんワールド」

2024年11月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

戦国武将なら、豊臣秀吉。マンガなら、あしたのジョー。競馬なら、オグリキャップと、我々、日本人は、不遇な状況にある者が這い上がっていく雑草魂ストーリーが大好きだ。その背景には、社畜という言葉に代表されるような、強い相手に逆らいたくても逆らえない、いわば奴隷根性のようなものがあるのだろう。だからこそ心のつっかえを取ってくれる痛快な下剋上ストーリーが好まれる。

のん主演、私にふさわしいホテルは、文壇を舞台に無名の作家が、大物作家や業界の慣例に立ち向かい、あの手この手で成功を掴んでいくまさに下剋上ストーリー。それにしても のんは、「さかなのこ」や「私をくいとめて」などいずれの作品でもそうなのだが、驚くほど役にビタっとはまっている。場面ごとに異なるノスタルジックな衣装を纏い、くるくると表情を変える豊かな表現力。言うならば、のっけから最後まで「のんワールド」全開。けれど役にはまっているその本当の理由は、彼女が発する言葉のリアリティなのだと思う。

田中圭演じる担当編集者の胸ぐらを掴みながら、『一緒に堕ちてくれますか!?』と涙ぐんで迫るシーン。その言葉が観客に直に届くのは、我々が強者に対しいつも逃げ腰で、当事者になることを避け、いざという時に傍観者だからだ。『あなたは本当にそれで良いの?』と問われているからこそ、胸の奥を掴まれるのだ。彼女自身がこれまで歩んできた道に思いを馳せれば、その言葉のリアリティと重さに誰もが気づくだろう。しかし、彼女はそれをコメディとして見事に昇華する。後腐れなく。実にスッキリと。

めくるめく「のんワールド」というレビュータイトルにふさわしい映画。ぜひ劇場で確認して欲しいです。僕はまた観に行きます。

ken1
トミーさんのコメント
2024年12月27日

広島ファンなもんで済みません・・

トミー
ken1さんのコメント
2024年12月27日

そうですね!名バイプレイヤー、流石でした!それにしてもトミーさん、例えが昭和すぎですww

ken1
トミーさんのコメント
2024年12月27日

彼女の剛球を受け続けたキャッチャー滝藤さんの功績も大、田中さんは江夏に歩み寄った衣笠か?イメージ的にはショートかセカンドですが。

トミー