「夢にSanté」グランメゾン・パリ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
夢にSanté
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TC PREMIUM THEATERで鑑賞(舞台挨拶生中継付き)。
テレビドラマは視聴済み。
連ドラでの尾花夏樹は、皆を導き、道を示す役割を担って来た。だが今回は違う。徹底的に打ちのめされ、焦りから一層傲慢になってしまった尾花を仲間たちが救うのである。
独善的な振る舞いが目立っていた尾花が仲間の意見を聞き、共に手を取り合って一丸となり、フレンチの本場パリでの三ツ星獲得に向けて進み始める様はかなり感動的だった。
ようやく尾花が「主人公」となった感がある。だが他者の料理に素直に「おいしい」と言わないところは、相変わらず負けず嫌いのかわいらしさがあって、なんだか憎めない。
味わった挫折、直向きに傾け続けた情熱、仲間との絆。積み上げて来た全てをかけた挑戦に心震えっぱなしだった。何かに夢中になること、夢を諦めないことの尊さが沁みた。
しかしながら、「映画」としてはどうなのだろうと疑問が残る。「グランメゾン★東京」は1クール全11話で三ツ星獲得までの人間ドラマを描き切った。だからこその厚みがある。
本作は、まるで総集編を見せられているような感覚が否めない。倫子のコロナによる味覚障害など、一話丸々使って取り上げて掘り下げて欲しいくらいの題材ではないのかと思った。
ストーリーがあっさりしているわけではないのだが、正直物足りなさがあった。尾花の成長を描く点ではシリーズの集大成もしくは完結にもってこいの内容なだけにかなり惜しい。
撮り方もドラマ的で、スクリーン映えするスケール感は皆無だ。IMAX版を上映していることに疑問を感じる。ビスタサイズだから画面は大きいだろうが果たしてそれだけでは?
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