「韓国製かと思いきやアメリカ製。物語はちょっと大味だけどテンポが良くて楽しい!何より音楽がめっちゃイイ!」KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ 盟吉津堂さんの映画レビュー(感想・評価)
韓国製かと思いきやアメリカ製。物語はちょっと大味だけどテンポが良くて楽しい!何より音楽がめっちゃイイ!
闇の世界に巣食い人間の魂を糧とするデーモン族は、いつの日か人間界を支配すべく虎視眈々とその機会を伺っていた。
一方、人間の側は太古の昔より一世代ごとに三人の歌姫を選び、彼女たちに武術の技と、人々の心を一つに繋ぐ歌の技を伝え、デーモン族の侵攻に対抗してきた。
そして、時は流れ…。
大人気のKPOPガールズ「ハントリックス」こそが実は武術と歌の技を伝授された現代のデーモンハンターであり、彼女たちの武術と歌のパワーによって辛うじて人間界の結界は保たれていた。
しかし、デーモン族の首領グウィマは彼女たちの人気を失墜させ、そのパワーを失わせるため、デーモン族のイケメン5人によって結成された男性アイドルグループ「サジャ・ボーイズ」を人間界に送り込むのだった!
…って、こうしてあらすじを文章に起こしてみるとデーモンハンターが三人の歌姫だという設定はともかく、世界の命運を左右するのが光と闇のアイドル対決という辺りがいかにもティーン向けアニメという感じで、もし本作を中途半端にセーラームーンやプリキュアみたいな日本のアニメっぽい絵柄で作っていたら大惨事になっていたんじゃないかとあらぬ想像をしてしまった(笑)。
でも本作はソニー・ピクチャーズ アニメーション製作、Netflix配信。
製作費に1億ドル以上かけたアメリカ製のCGアニメ大作であり、ハイクオリティなCG映像と地に足の着いた脚本、手堅い演出によって本来の視聴対象であるティーンエイジャーだけでなく大人が観ても楽しめる仕上がりになっている。
共同監督の一人マギー・カンは韓国系カナダ人の女性監督なので、韓国の風俗習慣などもきちんと描かれているようである。
ただアイドル三人娘のキャラクターが、性格はそれぞれ三者三様の個性があって面白いのだけれど、彼女たちの出自や結成秘話、それぞれの得意技を身につける過程などが端折られてしまっているためイマイチ感情移入しづらい。
特に物語の鍵となるルミの両親がどういう人達だったのか全く描かれないというのはいくらなんでも端折りすぎじゃないかと思う。
デーモン側のイケメンアイドルグループもセンターのジヌ以外の4人は人数合わせのマネキンみたいで、もうちょっとそれぞれ個性のある存在として描いてほしかった気がする。
デーモン族も霊的な存在なのか、人間との婚姻も可能な生物的な存在なのか曖昧で、イマイチどういう種族なのか分かりづらい。
上映時間100分という時間的な制約がある中で仕方のない部分もあるのだろうけれど、全体としてちょっと大味な印象になってしまうのは否めない。
なんだか色々クサすようなことばかり言ってしまったけれど、色々と端折ってるぶん物語のテンポはすごくイイ。
デーモン族のイケメンアイドルのムキムキの体に三人娘たちがポーっとなって、彼女たちの目からポップコーンが吹き出すという、わけのわからんギャグ表現なんかも楽しい(笑)。
さらに、作品の大味さを補って余りあるのが音楽の素晴らしさである。
音楽がもう、めっちゃイイのである!
劇中で使用される楽曲が全てイイ!
自分の中でミュージカルは「音楽が9割」と思っていて、音楽が良ければ物語の多少の粗さなどは吹っ飛んでしまうのである。
本作はその好例と言える。
余談だけど、デーモン族の首領グウィマが人間を籠絡するときのやり方が相手の「恥」につけ込むというもので、それがなんか儒教文化圏っぽくて興味深かった。
あと、デーモンハンター三人娘の部屋着とか普段着が微妙にダサい感じで、なんだかすごく共感できて親近感が持てた(笑)。
