「K-POPアイドルで魔物ハンター…?! 私たちは最強!」KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
K-POPアイドルで魔物ハンター…?! 私たちは最強!
クールでちょいワルなゾーイ。
キュートで明るいミラ。
真面目なリーダーのルミ。
3人から成るK-POPガールズグループ、ハントリックス。
ライブは常に大盛況。曲を出せばすぐさま大バズり。3人のバランスも絶妙。
あらゆる世代からカリスマ的超人気。時代の寵児。
そんな彼女たちもファンや世界を守っている。…その言葉通り。
魔物の王、グウィマ。遥か昔から人々の魂を喰らってきた。
代々選ばれし3人の女性が魔物と戦ってきた。
歌う事によって強力なバリアを。
世界や人々を守り、魔物を滅ぼす為に。それまで後一歩。
決着は3人に託された。
そう。彼女たちは超人気アイドルグループで、魔物ハンターだった…!
K-POPと魔物退治アクションをミックスさせたのがユニークで斬新。
一見合わなそうだが、そこは『スパイダーマン:スパイダーバース』を手掛けたソニー・ピクチャーズ・アニメーション。アクション映画としても音楽映画としてもエンタメとしても高クオリティー。
Netflixで配信され、同社オリジナル・アニメ映画としては過去最大のヒット(視聴者数)。Rotten Tomatoes支持率も驚異の97%!
オリジナル楽曲もビルボードTOP10にランクイン!
配信前から新作ラインナップで存在は知っていたが、一旦保留。ここまで大評判なら、見ない訳にはいかないでしょう。
うむ。スルーしないで良かった。
とにかく本作、掛け合わせたジャンルも異色ながら、たかだか100分弱の中に、要素が盛りだくさん。
K-POPとアクションの他に、ハイテンション・コメディ、悪魔学とダーク・ファンタジー、個人の苦悩と秘密、ロマンス、善と悪とは?…などなど。
かなりブッ飛んだ作品になるかもしれない…とクリエイター談。
確かにブッ飛んでいるが、それが独創性あり、それでいて破綻もしていない。
見事な手腕。本作の発起人(原案)は、監督二人の内一人、韓国で生まれカナダで育ったマギー・カン。
韓国文化をしっかり取り入れ。
K-POPアイドルをただビューティー&クール&セクシーだけじゃなく、人間味たっぷりにも。食いしん坊でイケメンに目がハート、ギャグ顔にもなったりする。
それらと美少女バトルアクションは、『美少女戦士セーラームーン』。
魔物退治は『鬼滅の刃』。ハントリックスが鬼殺隊で、グウィマは無惨、ライバルボーイズグループは十二鬼月…?
日本アニメの影響もそこかしこに。
日本人が見れば馴染み感も。
話も面白い。
人気と活躍のハントリックス。
追い詰められた魔物たち。使えぬ部下に激昂するグウィマに(本当に無惨みたい)、一人の魔物が名乗りを上げる。
人間から魔物になったジヌ。
ガールズグループにボーイズグループを結成して対抗。
自分たちも人気者になりたい!…じゃなくて、ファン(魂)を奪う。
ハントリックスに匹敵する人気になるジヌ率いるサジャ・ボーイズ。
この両グループの対決がアクションバトルとしてではなく、グループ人気の音楽バトルとなっているのが面白い。
目指すはアイドル界最も栄えあるエンターテイメント賞。
ハントリックスもサジャ・ボーイズも一歩も引かぬ人気。
そんな時、ルミが喉に不調が…。
また彼女はゾーイとミラにも秘密にしている事が。
実はルミは、ハンターの母と魔物の父の間に生まれたハーフ。身体の魔物の痣が濃くなってきている。それ故二人と銭湯にも行けない…。
魔物を倒し使命を全うすれば、自身の秘密も消え解放される。
が、その秘密をジヌに知られ…。
秘密を抱えるルミと悲しい過去を持つジヌ。いつしか二人の間に…。
それを許さぬグウィマ。ジヌに過去を思い出させ、苦しめる。
ルミも仲間二人に秘密を打ち明けられぬまま…。
迎えたエンターテイメント賞発表の日。
再び敵として立ちはだかるジヌ。
罠に嵌められ、自身の正体が二人にバレたルミ。
自身の葛藤、グループとしても、この世の危機も絶体絶命…!
終始ノリノリな作風かと思いきや、しっかりドラマ性も。
自身の苦悩、仲間との絆。
人の魂を喰らう魔物は恐ろしい。が、魔物はただ恐ろしいだけの存在なのか…?
悲しい過去によりグウィマに服従させられているジヌ。魔物にも“心”は…?
一応勧善懲悪であるが、善悪も問う。
個性的なキャラ、サブキャラの倒れた植木鉢が気になる虎(それとも猫…?)や帽子を被った三つ目のカラス、スピーディーな展開、迫力のアクションはエキサイティング。
それを最高に盛り上げるのが、数々の楽曲。
ハントリックスの『ゴールデン』『テイクダウン』。
サジャ・ボーイズの『ソーダポップ』。
楽曲は本当に魅力。ノリノリポップだったり、しっとり系やバラードもあり、劇中同様TikTokでも流行りそう。いやもう流行ってる…?
たくさんのアーティストが参加。ハントリックスの歌を担当しているのは、TWICE。
レコーディング風景を収めたEDクレジットもお見逃しなく。
本作一本だけでK-POPをたっぷり堪能出来る。
映画ファン、アニメファンだけじゃなく、音楽ファンや韓国文化好きも必見!
グウィマとの決着があっさりだったり、予定調和もあるが、爽快感や面白さは充実。
米アカデミー長編アニメ賞にノミネートされてもいいくらい。この面白さ斬新さ、多様性、Netflixアニメ映画の評価の高さから可能性は決して低くない。
予想以上の反響&ヒットから、実写化やアニメシリーズ化やスピンオフなど様々なメディア展開の企画が。
でも一番見たいのは、本作の続編。
ハントリックスの次なるさらなる活躍と魅力を。
K-POPアイドルにして魔物ハンター!
向かう所敵ナシ!
私たちは最強!