劇場公開日 2024年6月15日

「分かり合えない、けれどつながっている。」リンダとイリナ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0分かり合えない、けれどつながっている。

2024年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2023年。ギョーム・ブラック監督。同じ高校に通う二人の女生徒は親友だが、一人はこの夏で引っ越すことが決まっている。その後の交友があやふやになるなか、話せば話すほど溝ができていく二人。間に入った友人と三人で海に行くことにするが、という話。
激しい展開はどこにもないのに、リズムがすばらしい。「引っ越したら連絡しない」という発言は聞く方にはショックだが言う方にはそれなり理由がある。お互いに別の人間であり家族関係も経験も違うのだから考えていることが違うのは当たり前だということに気づきながら認められない二人の様子が切ない。ところが、話しても理解し合えない二人が海辺で横に並んだとき、退屈しのぎに砂をいじるその右手の動きがほとんど同じなのだ。ここに感動しない人はいない。分かり合えない、けれどつながっている。言葉や意識のレベルでは理解できないつながりが二人にはある。それだけで素晴らしいではないか、といっている気がする。切なさマックスです。

文字読み