劇場公開日 2024年9月27日

「古い記憶を手探りのように」ビートルジュース ビートルジュース Paula Smithyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0古い記憶を手探りのように

2024年9月9日
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始める前に...

After he made the 2019 version of Dumbo, Tim Burton thought
he was done making movies.

彼の信奉者ではないけど、一人の異色なクリエーターとして活躍してきた人が言うのには寂しくも悲しい。

個人的考えなので...
彼の映画のイメージだけを取り上げるのは、滑稽なのかもしれない。でも、何故か? このリブート作(※あたしの前作の記憶が曖昧過ぎて、一般では続編とされている。言い訳です。悪しからず)を拝見しようとした時に... つい、過去の作品のイメージだけが、ミニチュアと現実との共時性との懸け橋のようなフィルム・スコアと場面ごとの一見すると黒澤明の『どですかでん』における、あたかも無関係のような原色に近い色のコントラストであったりと、そのスタイリッシュなビジュアルと音楽との独創性があたしの脳タリン・リンの脳ミソ・ウニに直撃し、そして、うずきからヒー・ヒーとなってしまう。(※多少、イツワリがあります。)

Janitor: Hey, Toots, you're not suopposed to be back here.
    Don't make me tell you twice.

Delores: Where is Beetlejuice?

映画も始まって間もなく...
彼、ビートルジュースをも恐妻にさせるドロレスが復活するショットが、バートンらしいと言えばいいのか? 『シザーハンズ』で見せたような人造人間だからと言って、人を人とは描かず、血が乾いたような、または冷血のような描き方は今でも通じるものが、あたしには感じる。

ところで... 作中
偶然知り合ったジェレミーとの会話でアストリッドがこのように

Astrid: I only believe in things that I could see. You know
   science, facts. (※見るからにハンサムさんで優しさから生まれたようなジェレミーさんは... 曲者なので後ほど...大変なことに!? )

だから...
本作『Beetlejuice Beetlejuice』の支配的なサブジェクトとしては、"生と死の世界をつなぐ扉" が存在そのものとなっている。それは、監督のバイオから分かるように彼が育ったカリフォルニア州バーバンクでは死について口にするのもはばかられる環境だった。しかしそれでも彼は、そのタブーをなぜ描くのかは、ヒスパニック系、ラテン系で見られる "Día de Muertos (死者の日)" を体現してきた事によるところかもしれない。(あたしにとっては、違和感でしかないキモイ...ディズニー映画『Coco』がシンボライズしているかも!?)

ある意味、サブプロットの役割を果たす...

     DEPARTURES

08 35  THE GREAT BEYOND  ON TIME
09 22   PEARLY GATES   DELAYED
09 54  FIRES OF DAMNATION DELAYED
10 13   ELYSIUM FIELDS  DELAYED

        08 35

"あの世行き"特急列車号の行き先は本作では上記の4つだけらしい。

残り三分の一になった時ぐらいから場面展開もシナリオ自体も勢いが出てくるけど...
その中でもラスト近くでビートルジュースとリディアとのダンスシーンでは、
♪MacArthur Park というグラミー賞も受賞した曲が使われていたけど、この曲を作ったジミー・ウェッブは曲に関して...

"Everything in the song was visible. There's nothing in it that's
fabricated...(略)... And so it's a kind of musical collage of
this whole love affair that kind of went down in MacArthur Park."

そして付け加えるならこの語り掛けるような歌詞は、ウェッブ自身の恋の終わりをも示唆している。で... ビートルジュースの次のようなセリフに繋がる。

Beetlejuice: You know, Bob, long distance relationships can
      be difficult, especially when one of you is dead
      and the other is ignoring you for thirty years. But
      Lydia and I, we have definite psychic connection,
      and I'll tell you something, she definitely saw me
      that last time. I felt a little tingle.

というのは...
このウェッブのロマンティックな恋の話は続きがあって、別れた彼女との関係は、彼女がほかの男性と結婚した後でも友人関係として変わらなかった... という事らしい!?

いわゆる...
過去に製作された『チャーリーとチョコレート工場』や『不思議の国のアリス』などの作品における肥大化したプロットとは違いビジュアル的には、ミニチュアを代表するように過剰なCGIに頼るのではなく手作り感のある映像を基に、1980年代のオリジナルのアイデンティティを活かすためだけの独創性や創造性に限定し不必要に複雑にしていないシンプルさが、ビートルジュースのセクハラまがいのお下劣さを控えめにしたことでグロでゴアでブラックなユーモアあふれる映画に活かされ、そのことは三世代の家族構成に表れている。デリアはマイナーなアーティストとして、またリディアはゴス系の幽霊と交信するオザナリ屋さんで、娘のアストリッドは心の一ページでは母を慕っているのに現実主義を振りかざすティーンの孤立したアクティヴィストだが、彼女たちはある種、その立ち位置から感情の及ばない無意識な相互認識によって結ばれており家族として成立している。

突然ですけど
日本の映画監督、山本 晋也という人は "ポルノ" と "お笑い" を初めて合体したパイオニアで彼の作品に描かれる強い女に虐げられる弱い男の嘆きの構図は "監督" が恐妻家であることから来ているらしい。メタファーとしたら的外れなのかもしれないけれど水と油の関係とするなら、だから...
バートン監督が一般的に忌み嫌う人の "死" と相反する "コメディ" をただ融合させるだけでなく、ブラックなテイストを加味することでより一層、オリジナリティあふれる映像媒体となっている。

そして彼の復活はカナダ放送協会の "CBC Arts" による見出し記事とインタビューより

Tim Burton says Beetlejuice Beetlejuice reminded him
why he loves making movies (よかった、よかった...見出し記事)

インタビューの抜粋より
"The idea of exploring the three generations of these women
— mother, daughter, granddaughter
— that was the emotional anchor for me," Burton says.

そして彼の本作への思い入れの本質としての言葉
"Their attitudes towards life and death just seemed so much
more appealing and fun and interesting," he says. "It shows
you that dynamic, that life and death are both to be celebrated."

何の縁か知らないけれど... 「ロミー・シュナイダー映画祭2024」が開催されるという共時性より、主演を演じた、彼女もまた過去の... これ以上はご勘弁を
(※この映画祭に嫌みを一言。あたしの大好きな彼女のキャリアの初期の名作がございません。ドロンちゃんねぇ!? 失礼しました。)

よく知られた話で
1988年の『ビートルジュース』では、この役の候補となった若手俳優には、ブルック・シールズ、サラ・ジェシカ・パーカー、ジュリエット・ルイス、ダイアン・レインなどがいた。しかし、それはバートンがライダーと出会う前のことだった。ライダーのバートンとのファースト・インプレッションとは
“I remember I made my mom wait in the car because I wanted to
do it alone,” she says of her first encounter with the unruly-haired
auteur.(ファッション・マガジンのAnOtherより、ただし、この話には...続きが)

そして、監督と絶えずリディアについてコンタクトをとっていた彼女が今製作に関わっている作品を中断してまでも本作に出演したのが彼女の次の言葉で

“You can’t shed who Lydia was, but the beauty of it is we all know
what happens
– life happens”

あたしは、そんなに本作のことは好きではない。ないけど始めは☆5にしてたけど
☆4にしました。だって、
こんなに彼氏を待ったことはありませんから... 30年間って...

何か?

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Paula Smithy