悪い夏のレビュー・感想・評価
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いきなりの三文芝居?
生活保護の不正受給者、受給者を食い物にするワル、受給者の弱みに付け込むケースワーカー、そして、本当に生活保護を必要とする困窮者が入り乱れる社会派ドラマです。
冒頭から抜群の切れ味・緊張感が途切れない展開で、「さすが城定秀夫監督」と感心して見入っていたのですが、最後の最後のドタバタ三文芝居で「えっ、ここ笑っていいの?」と急に放ったらかされた気分になりました。劇画的展開もコメディ転調もありだけど、本作ではその繋ぎが余りに唐突過ぎました。俳優さん達も魅力発揮のいい作品だっただけに残念無念。
そして、これは僕自身も迷う点。この映画って、本当に生活に困窮し保護を受けようとする人達への偏見を広める事にはならないだろうか。或いは、保護申請を躊躇させる要因にならないだろうか。生活保護の不正受給者は全体の0.3~0.4%と言われています。逆に、受給資格がありながら適正に受けられない人々が多く居ると報じられています。不正受給をクローズ・アップした方が物語を作り易いのだろうと思いますが、本当にそれでいいのかな。と、ちょっと気になるのでした。
本当の恋
2025年。城定秀夫監督。生活保護を担当する公務員の男は、先輩が対象者の若い女性を脅して性的な関係を迫っている噂を聞きつけて、上司と共に調べ始める。先輩に非を認めさせて辞職させた後、その対象者の幼い子供の相手をしているうちに関係を持つようになるが、実はその背後には生活保護をめぐる陰謀が張り巡らされていて、という話。
いいように扱われてしまう若くて貧しい女性と、いいように食い物にしようとする悪い奴ら、そして人生に何も期待していない公務員、という登場人物では本当の恋など起きようがないはずなのに、本当の恋が始まってしまうというのがミソ。逆にいえば、罠にはめられて土壇場に追い込まれなければ、恋など生まれないし、たとえ生まれたとして気づくことなどないのだ。自然に生きて小さな欲望で満足している限り、恋とは無縁の人生を生きるだけなのだ。この映画はそのような深遠な真実が刻印されているので、最後の最後に現れるその姿を目に焼き付けなければならない。それは男の優しさについ企みを忘れてつぶやく「どこにも行かないでね」という消え入るような声だったり、自暴自棄となって心中を図る男に対して「いいよ死のう」と平然と答える声だったり、とてもかなわない相手に嵐の中で突っ込んでいって、包丁で足を刺される姿だったりするだろう。見逃すな。
誰にでも落ちてしまう可能性はある
見終わった後「悪い人とは関わらない人生を歩もう」「真面目に生きよう」と強く誓った。
生活保護問題ってどうしても他人事に感じてしまうけど、だからといって私には何もできないのでしっかり働いて税金を納めて、それが本当に困ってる人に正しく使われればいいなと思った。
金本みたいな人に関わったことないはずなのに「こういう怖い人いるよね」って思わせるくらい窪田正孝の演技がすごかった。女を見下してそうで梨華のことも大切に思ってなさそうだったのに、刺された時ちゃんと心配してたのが意外だった。
冒頭の佐々木と山田のシーン。山田が「飯はコンビニ、服はユニクロ」って言ってる時点で本物の貧困層じゃないんですよね。本物の貧困層からしたらコンビニ飯もユニクロ服も高いんですよね〜。
佐々木が女体に興味なさそうな感じだったから、実はロリコンで愛美の娘が目的なのか?とも思ったけど本当にただの童貞で肩透かし食らった。登場人物全員悪というならもう一癖欲しかったかも。あんな裏切りされたら闇落ちするのも当然の結果だしな〜という感じ。まあ佐々木に1ミリも非がなかっとは言えないですよね。最初の時点で子供にクレヨンを与えるのもアウトでは?他の受給者と平等じゃないし。来年も祝おうって言うならその時点でプロポーズでもして結婚しちゃえばあの映像流されても許されたのに。
愛美も梨華も夫に逃げられてたけど、本当こういうの罰してほしい。子供作ったら養育費払わないと探し出されて罪に問われる社会になってほしい、子供のためにも。佳澄みたいに夫が死別した場合は生活保護受け取れるようにしてほしいけど、受け取れないこともあるし子供を持つ親は死亡保険かけるべきですね。
大人たちが揉めてる時子供が隣の部屋で大人しく絵を描いてるのが気になったけどあまり子供を巻き込むとコンプラ的によくないからなのかな…。
現代日本
後半、キャラものと言っていいくらいエンタメるけど、自分的にはそれで...
確かな
窪田正孝木南春夏がいい
登場人物、全てカス‼
本年度のアカデミー賞で、横浜流星が主演男優賞を受賞した『正体』と同じ、染井為人の原作のサスペンスを、城定秀夫監督が映画化。原作も既読だが、ほぼ同じような内容で、一言でいうなら、後味の悪いイヤミスな物語。出てくる登場人物全てが、常軌を逸し、心を蝕まれた、カス人間ばかり。哀れなのは、そんな大人の醜い世界に翻弄された子供たちだった。
もちろん中には、運にも見放され、シングルマザーとなった者や、信じた人の裏切りの果てに、悪に染まった者もいるが、その後、堕ちる所まで堕ちたのは、身から出た錆。全く同情する余地はなく、特にラストは、悪の巣窟に引き寄せられたカスども達によるテンヤワンヤの修羅場劇場。しかし、失笑してしまう様な、コミカルなシーンでもあった。
主人公は、生活保護の福祉課職員で気が弱く、至って真面目な佐々木守。同僚の気の強い女性職員・宮田から「先輩職員の高野が、担当の生活保護者の若いシングルマザー・林野愛美に、肉体関係を強要している」と告げられる。そして、高野の行動を調査を始める佐々木は、林野の所を家庭訪問し、高野の悪事を聞き出すうちに、次第に林野への同情と共に、彼女の魅力に惹かれていく。
しかし、林野のバックには、裏社会に生きる金の亡者の金本の存在があった。高野の悪事を林野から知った金本は、高野を呼びたし恐喝して、市からの生活保護不正受給を企むが…。生活保護の不正受給者や裏社会に幅を利かせる男とその女、貧困のシングルマザー等が絡み合い、真面目だった佐々木が、いつしか裏社会へと足を踏み入れ、奈落の底へと突き落とされていく。
実際には、こうした登場人物の様な貧困と暴力の日々に身を縮め、社会の底辺を這いずっている哀れな者もいるのだろう。しかし、それも結局は、易きに流れた自分の選んだ人生であり、登場人物の誰にも同情も、共感できず、「アホか!?」と言いたくなる。
キャストは、主人公の佐々木守には、普段はカッコいい役の多い、北村匠海が務め、珍しく汚れ役の男を演じていた。佐々木が心惹かれるシングルマザーの林野には、先日のアカデミー賞で主演女優賞を獲得した河合優実が務めている。河合は、『あんのこと』『ナミビアの砂漠』そして本作と、どれも心が荒んで、社会の底辺を蠢くような女性役が続く。そして、窪田正孝が裏社会のボス金本を演じ、痩せ面の中に秘めた、金への執着や目の奥底に漂う狂気とも言える怖さが伝わってきた。
裏の主役にアッパレ
まさにパーソナルポリティクス
北村匠海氏の演技の新境地を観た。
感想
現代社会の福祉における救済システムを逆手に取り金を収奪しようとする小賢しい悪人が精神の自立が出来ていない人間を脅かし自己を見失わせ唆し、詐欺まがいな税金泥棒として犯罪の片棒を担がせ、本当に救済を必要とすべき人間の生命をも脅かし危険に晒してしまう。さらに自身の醜い欲に溺れた考えと行動により人生の辛酸を舐める事になってしまった人々の顛末が描かれる。世の中の不条理とはこういうものだ。という気持ちを心に噛み締めながら人間は気持ちの持ち様で愚かで恐ろしさを持つものなのだと半ば自戒気味に鑑賞した。
演出・脚本・配役
北村匠海氏演ずる佐々木は人間誰しもいつ起きてもおかしくない悪が仕掛けてくるトラップに引っ掛かり、思い掛けなく人生を棒にふり奈落へ墜落する男をリアルに演じている。観客に時に自我の弱さを痛感し警鐘を促す如く意識させイライラさせてしまう演技が素晴らしかった。演技的に新境地を開拓している。
河合優美氏演じる林野愛美。この手の役柄のオファーが多くなるのは実力と人気(旬の時期。ブーム到来)の証でもある。掴みどころのない役柄の雰囲気を自然体で落ち着いて表現しており良かった。本作に出演の他の女優陣に比べても明らかに違いを見せつけて前途揚々たる気風を感じる。日本を代表する女優になって欲しいと感じる。
窪田正孝氏はそこら辺によくいる金本の様な人間を自然体で寧ろ生き生きと演じていた。金本龍也自身完全な悪人ではなく半グレであり、何が彼をそうさせたのか。金本がこうなってしまった原因が必ずあるのではないかと思わせるキャラクターで前日譚を描くスピンオフがあれば窪田氏の演技で観てみたいと感じさせた。それ位窪田氏の演技と金本龍也が合っており自然な演技で素晴らしかった。
その他、毎熊克哉氏、竹原ピストル氏、クセが強い嫌らしい役を其々見事に演じていた。木南晴夏氏は本作の被害者の代表を演じていて上手い女優さんだと思うしどのように絡んでくるのかが楽しみであったが今回の脚本では最後まで具体的に絡む事なく結果のみが会話の中にでてくるだけなので残念であった。
場面展開時の描写も素晴らしいもので監督の演出は各登場人物の描写については良く出来ていた。しかし問題なのは脚本であると感じる。何か、とにかく纏めなければいけないという心理規制の掛かったストレスでもあるかのような纏め方で最後はコントのような驚くほどお粗末な展開になっていた。俳優陣の演技が素晴らしかったので残念である。原作は未読であるが、今回の脚本が仮に原作通りであったとしても映画化の場合は原作の骨は残しながらも話をデフォルメするべきと感じる。
作品自体は⭐️3(内訳演出2、脚本1)
俳優陣の演技に⭐️0.5加点
蟻地獄・・
テンポがイマイチでつまらない
救いようの無い話と言うよりも、、
今自分の周りに居る人。置かれてる環境。
全てとは言わないけど、それは自分の人間性や今まで生きてきた中での行いによって作られているんだなぁと実感‼︎
佐々木も、いくらみそらちゃんが可愛くてもあんなに入れ込むのおかしい。
しかもその前に高野がひどいことした相手に。
結局あいみを傷つけている。
だからあんな騒動に巻き込まれた。
因果応報とまでは言わないけど、結局自分に返ってくるのかな、、
ラストの落ち着いたシーンは、私的にはいらなかったー!
クズしか出てこないって言うからなんかもうそういうの期待して観に行ったので、最後のややハッピーエンド的なのは期待してなかった。
ところで北村匠海くん大好きで、拓海くん目当てで観に行ったけど、結局窪田正孝かっこよすぎるってなりました笑
え、あのプペルで私を泣かせた窪田くんだよね?
今回はもう、、悪い奴なんだけどかっこよかったー
生活保護は本当に困っている方へ
城定秀夫監督、今年2作目。
フットワーク軽くて観客のコチラも観やすい。
前作よりは面白かった。
生活保護の闇を扱ったといえば、 真面目で哀しい『護られなかった者たちへ』を思いだしたが、
城定監督がそんなヤワなモノ撮るわけないよなぁ〜 と楽しみだったが、
原作脚本があるので、これが限界かもしれない。
俳優さんは皆さん魅力的だが、定番の存在感と演技。
新鮮さはない娯楽映画である。
己の言葉は己を返ってくる。
潔癖さを訴えるケースワーカーは己の不倫を正当化して 罪悪感の欠片もない。
なにが潔癖さなのか、
僕のなかで笑いが止まらなくなった。
人間なんて、そんなものである。
み〜んな悪い人間ばかりである。
僕の人生のなかで福祉の仕事をしていた時期があり、僕の感覚では理解が追いつかない事があった。
母子寮でケースワーカーとして働いていた後輩が、
入所していた、なんと三人の子連れのお母さんに手を出してしまい妊娠が発覚。
愛を前面に出して結婚、後輩は職場をそのまま、四人目を妊娠しているお母さんと子供達はケースワーカーの実家(横浜の一等地)で同居。
そのケースワーカーは現在、年金を満額受け取っている。
世の中なんて、そんなものである。
正直者はバカをみる。
もし窓口で生活保護を断られたら、
本編のように自殺未遂(あくまでも未遂、決して死んではなりません)で発見されたら、
(財産や身寄りがなければ)生活保護を受給できる。
この映画が、本当に困って受給できない(酒やタバコやパチンコもしない)人々の役に立てたら、 いいですね。
クズだらけ
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