悪い夏のレビュー・感想・評価
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B級映画のような終盤が残念
生活保護に潜む闇を描いた作品。
北村匠海演じる主人公の佐々木がシングルマザーの愛美に惹かれ少しずつ家族になっていく描写が丁寧で良かったです。
ただ、愛美の裏切りによって闇堕ちしていく中盤以降からチープな感じがして勿体なかったです。
ラストのシーンも台風の日にわざわざ愛美の家に全員集合したのが腑に落ちず、本来なら感じられるはずの緊迫感に欠けました。
前半が良かっただけに終盤の見せ方にもう少し工夫が欲しかったです。
後半、キャラものと言っていいくらいエンタメるけど、自分的にはそれで...
確かな
弱みに付け込む、付け込まれる。
社会保険事務所のケースワーカーである佐々木。生活保護受給者と対峙していますが、一癖もある生活困窮者を相手に正直さと真面目さで勤務しています。腰痛を理由に不正受給していても許してしまう。そんな佐々木が職場の先輩の不正をきっかけに知り合った女性に好意を持ったことから普通の生活から足を踏み外してしまう。
不正受給の小悪党、ヤクザ、貧困のシングマザーが入り乱れて、絶望の淵へ追いやれる展開。原作の既読しているので、物語の刺激性は感じませんでしたが、未読者の場合は、生活保護という社会保障システムとは、貧困生活の生々しさを感じる事となります。
騙され、裏切られた佐々木が自暴自棄となり、ラストのバトル・ロワイアルとなりますが、原作よりかなりマイルドなのでやや緊迫感がありません。原作には全く救いがありませんでしたが、本作品は救いのある終わり方でした。個人的にはこのラストが好きです。
「パラサイト半地下の家族」のように生々しくなく、邦画独特のドロドロもなく淡々とした造りはもっとも評価できるところと思います。
窪田正孝木南春夏がいい
登場人物、全てカス‼
本年度のアカデミー賞で、横浜流星が主演男優賞を受賞した『正体』と同じ、染井為人の原作のサスペンスを、城定秀夫監督が映画化。原作も既読だが、ほぼ同じような内容で、一言でいうなら、後味の悪いイヤミスな物語。出てくる登場人物全てが、常軌を逸し、心を蝕まれた、カス人間ばかり。哀れなのは、そんな大人の醜い世界に翻弄された子供たちだった。
もちろん中には、運にも見放され、シングルマザーとなった者や、信じた人の裏切りの果てに、悪に染まった者もいるが、その後、堕ちる所まで堕ちたのは、身から出た錆。全く同情する余地はなく、特にラストは、悪の巣窟に引き寄せられたカスども達によるテンヤワンヤの修羅場劇場。しかし、失笑してしまう様な、コミカルなシーンでもあった。
主人公は、生活保護の福祉課職員で気が弱く、至って真面目な佐々木守。同僚の気の強い女性職員・宮田から「先輩職員の高野が、担当の生活保護者の若いシングルマザー・林野愛美に、肉体関係を強要している」と告げられる。そして、高野の行動を調査を始める佐々木は、林野の所を家庭訪問し、高野の悪事を聞き出すうちに、次第に林野への同情と共に、彼女の魅力に惹かれていく。
しかし、林野のバックには、裏社会に生きる金の亡者の金本の存在があった。高野の悪事を林野から知った金本は、高野を呼びたし恐喝して、市からの生活保護不正受給を企むが…。生活保護の不正受給者や裏社会に幅を利かせる男とその女、貧困のシングルマザー等が絡み合い、真面目だった佐々木が、いつしか裏社会へと足を踏み入れ、奈落の底へと突き落とされていく。
実際には、こうした登場人物の様な貧困と暴力の日々に身を縮め、社会の底辺を這いずっている哀れな者もいるのだろう。しかし、それも結局は、易きに流れた自分の選んだ人生であり、登場人物の誰にも同情も、共感できず、「アホか!?」と言いたくなる。
キャストは、主人公の佐々木守には、普段はカッコいい役の多い、北村匠海が務め、珍しく汚れ役の男を演じていた。佐々木が心惹かれるシングルマザーの林野には、先日のアカデミー賞で主演女優賞を獲得した河合優実が務めている。河合は、『あんのこと』『ナミビアの砂漠』そして本作と、どれも心が荒んで、社会の底辺を蠢くような女性役が続く。そして、窪田正孝が裏社会のボス金本を演じ、痩せ面の中に秘めた、金への執着や目の奥底に漂う狂気とも言える怖さが伝わってきた。
裏の主役にアッパレ
まさにパーソナルポリティクス
暴力性がもつれた糸の塊をぶった斬る強引な解決
生活保護の不正受給を縦軸にして、生活保護を悪用しようとする人達の蠢きを横軸にして、物語は展開していく。
テーマ自体は興味深かったけれど、エンディングは主要登場人物が全員集合のカオスになって、最終的に暴力性がもつれた糸の塊をぶった斬る、みたいな強引な解決になってしまった。
拡げた話をこういう形で終わらせてしまうのは、物語として勿体ないと思う。
主役の北村匠海さんをはじめとして、出演者の演技は、各々良かったです。
甘い幕
原作は元々気になってたので、城定監督で映画化と知った段階で読んでいた。
必要な情報は入ってたと思うが、かなり駆け足かも。
視点人物を切り替えて群像劇の色もあった原作に対し、本作はあくまで佐々木が主役。
そのため登場人物の背景はほぼオミットされている。
これは仕方ないのだが、愛美だけはもうちょい描写してほしかったなぁ。
佐々木に救われ惹かれているのは、河合優実の演技もあってそれなりに伝わってくる。
しかし、“計画”に対する迷いは薄く、流されるままになる理由については仄めかす程度で残念。
佐々木が愛美にのめり込む様子も物足りない。
また原作でも絡みの薄かった佳澄は、あの扱いなら丸々削ってよかったのでは。
(終盤のあのくだりはモブでもある程度成り立つし)
それ以外の取捨選択は上手かったと思うが、上手すぎて引っかかりもなくなっていたような。
クスリやEDの件などの省略によって展開はやや強引ではあるが、筋は通る範囲なので悪くはない。
話がポンポン進むので、勢いもあると思う。
ただそのぶん、夏の暑さのようにジリジリと苦しくなっていく原作の雰囲気はなくなっていた。
ラストも救いのある形に変わっていたが、個人的には原作通り“ミイラ取りがミイラ”の方が好みかな。
キャストや演技に関しては文句ナシ。
特に伊藤万理華はクライマックス以上に、中盤までの、正義感でも本性でも“正解”に見える芝居が地味に凄い。
原作では最終的に山田に感情移入したし、ピストルもイメージ通りだったので、もっと見たかった。
吉岡睦雄さんは、最近観る作品ほとんどに出てるな。笑
北村匠海氏の演技の新境地を観た。
感想
現代社会の福祉における救済システムを逆手に取り金を収奪しようとする小賢しい悪人が精神の自立が出来ていない人間を脅かし自己を見失わせ唆し、詐欺まがいな税金泥棒として犯罪の片棒を担がせ、本当に救済を必要とすべき人間の生命をも脅かし危険に晒してしまう。さらに自身の醜い欲に溺れた考えと行動により人生の辛酸を舐める事になってしまった人々の顛末が描かれる。世の中の不条理とはこういうものだ。という気持ちを心に噛み締めながら人間は気持ちの持ち様で愚かで恐ろしさを持つものなのだと半ば自戒気味に鑑賞した。
演出・脚本・配役
北村匠海氏演ずる佐々木は人間誰しもいつ起きてもおかしくない悪が仕掛けてくるトラップに引っ掛かり、思い掛けなく人生を棒にふり奈落へ墜落する男をリアルに演じている。観客に時に自我の弱さを痛感し警鐘を促す如く意識させイライラさせてしまう演技が素晴らしかった。演技的に新境地を開拓している。
河合優美氏演じる林野愛美。この手の役柄のオファーが多くなるのは実力と人気(旬の時期。ブーム到来)の証でもある。掴みどころのない役柄の雰囲気を自然体で落ち着いて表現しており良かった。本作に出演の他の女優陣に比べても明らかに違いを見せつけて前途揚々たる気風を感じる。日本を代表する女優になって欲しいと感じる。
窪田正孝氏はそこら辺によくいる金本の様な人間を自然体で寧ろ生き生きと演じていた。金本龍也自身完全な悪人ではなく半グレであり、何が彼をそうさせたのか。金本がこうなってしまった原因が必ずあるのではないかと思わせるキャラクターで前日譚を描くスピンオフがあれば窪田氏の演技で観てみたいと感じさせた。それ位窪田氏の演技と金本龍也が合っており自然な演技で素晴らしかった。
その他、毎熊克哉氏、竹原ピストル氏、クセが強い嫌らしい役を其々見事に演じていた。木南晴夏氏は本作の被害者の代表を演じていて上手い女優さんだと思うしどのように絡んでくるのかが楽しみであったが今回の脚本では最後まで具体的に絡む事なく結果のみが会話の中にでてくるだけなので残念であった。
場面展開時の描写も素晴らしいもので監督の演出は各登場人物の描写については良く出来ていた。しかし問題なのは脚本であると感じる。何か、とにかく纏めなければいけないという心理規制の掛かったストレスでもあるかのような纏め方で最後はコントのような驚くほどお粗末な展開になっていた。俳優陣の演技が素晴らしかったので残念である。原作は未読であるが、今回の脚本が仮に原作通りであったとしても映画化の場合は原作の骨は残しながらも話をデフォルメするべきと感じる。
作品自体は⭐️3(内訳演出2、脚本1)
俳優陣の演技に⭐️0.5加点
蟻地獄・・
テンポがイマイチでつまらない
救いようの無い話と言うよりも、、
今自分の周りに居る人。置かれてる環境。
全てとは言わないけど、それは自分の人間性や今まで生きてきた中での行いによって作られているんだなぁと実感‼︎
佐々木も、いくらみそらちゃんが可愛くてもあんなに入れ込むのおかしい。
しかもその前に高野がひどいことした相手に。
結局あいみを傷つけている。
だからあんな騒動に巻き込まれた。
因果応報とまでは言わないけど、結局自分に返ってくるのかな、、
ラストの落ち着いたシーンは、私的にはいらなかったー!
クズしか出てこないって言うからなんかもうそういうの期待して観に行ったので、最後のややハッピーエンド的なのは期待してなかった。
ところで北村匠海くん大好きで、拓海くん目当てで観に行ったけど、結局窪田正孝かっこよすぎるってなりました笑
え、あのプペルで私を泣かせた窪田くんだよね?
今回はもう、、悪い奴なんだけどかっこよかったー
生活保護は本当に困っている方へ
城定秀夫監督、今年2作目。
フットワーク軽くて観客のコチラも観やすい。
前作よりは面白かった。
生活保護の闇を扱ったといえば、 真面目で哀しい『護られなかった者たちへ』を思いだしたが、
城定監督がそんなヤワなモノ撮るわけないよなぁ〜 と楽しみだったが、
原作脚本があるので、これが限界かもしれない。
俳優さんは皆さん魅力的だが、定番の存在感と演技。
新鮮さはない娯楽映画である。
己の言葉は己を返ってくる。
潔癖さを訴えるケースワーカーは己の不倫を正当化して 罪悪感の欠片もない。
なにが潔癖さなのか、
僕のなかで笑いが止まらなくなった。
人間なんて、そんなものである。
み〜んな悪い人間ばかりである。
僕の人生のなかで福祉の仕事をしていた時期があり、僕の感覚では理解が追いつかない事があった。
母子寮でケースワーカーとして働いていた後輩が、
入所していた、なんと三人の子連れのお母さんに手を出してしまい妊娠が発覚。
愛を前面に出して結婚、後輩は職場をそのまま、四人目を妊娠しているお母さんと子供達はケースワーカーの実家(横浜の一等地)で同居。
そのケースワーカーは現在、年金を満額受け取っている。
世の中なんて、そんなものである。
正直者はバカをみる。
もし窓口で生活保護を断られたら、
本編のように自殺未遂(あくまでも未遂、決して死んではなりません)で発見されたら、
(財産や身寄りがなければ)生活保護を受給できる。
この映画が、本当に困って受給できない(酒やタバコやパチンコもしない)人々の役に立てたら、 いいですね。
クズだらけ
長い夏だった
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