悪い夏のレビュー・感想・評価
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まさしく、悪い夏。
くずだなぁ
中盤までは、どうなるんだろうと面白く見ていたが、後半、関連するキャ...
破壊と再生
第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作の映画化
社会の闇や人間の弱さをリアルに描いたノワール・サスペンスということのようだ。
この作品に感じるのが「クラウド」のような救われない重さだった。
そしてこの原作が受賞した理由としてのミステリーとはいったい何だったのだろう?
マナミの「わかんないの、自分が。私っていつも…」というセリフにその答えが滲み出ているように感じた。
例えば、いいことと悪いこと そうした方がわかっているにもかかわらず、流されてしまうこと その構図から抜け出せないこと これらこそ現在の日本の縮図を表現しているのだろう。
この日本の縮図を「生活保護」というモチーフを使って表現したのがこの作品
単なるミステリーではなく、現代日本の社会構造や倫理の崩壊を描いている。
大どんでん返しに使用されていたのが、宮田と高野の不倫
これがそもそもの発端で、宮田は佐々木を使って高野への復讐を遂げようとした。
最後のドタバタでぐちゃくちゃな泥沼シーンで、宮田は改めて高野への想いを言う。
あの状況 高野はこうなってしまった自分自身をリュウと山田を殺すことで決着するつもりだった。
高野は宮田のことなど完全に過去になっていたが、あの状況が宮田のサイコパス的な愛情を助長させたのだろうか?
市役所で、仕事中に高野に手紙を書いているのが空恐ろしかった。
この描写は、公私の境界が崩壊した象徴であり、同時に「正義感」の名のもとに暴走する人間の怖さだ。
宮田は市役所で主任的立場のようだが、高野との不倫によって完全に自分自身を見失っている存在だ。
物語上、このことが全ての発端だった。
しかし、
このタイトルに感じるのが「他者の所為」
毎年続くようになった異常気象 猛暑や酷暑
この異常気象こそ、異常になった日本のことだろう。
嘘の公約
嘘だらけの政治
政治家そのものによる私利私欲のための政治
失われた30年というが、一向に解決されない。
これがなぜそうなっていて、どうすればいいのかは、新聞やテレビでは知りようもなくなってしまった日本
これがこの作品の背後にあるのだろう。
つまり、
登場人物たちがあのようなったのは、ある意味「他者の所為」なのだろう。
特に主人公佐々木の思考を探っていくことが、一般的な日本人の思考がどこにあるのかわかってくる。
佐々木は生活保護を求めた古川カスミに対し、自身が招いた出来事と公私混同して罵倒した。
佐々木は、宮田に対し彼女の正義感について尋ねた。
「いけないものはいけない」
この後になってわかる彼女の思考
それでは、
佐々木の正義感とはいったい何だったのだろう?
市役所職員としての仕事をこなすこと
高野の不正行為に対する厳正な対応
しかしこれに対し佐々木は、独断での裁量をしてしまった。
高野の家族
高野のしたことを使ったビジネス展開を目論む金本リュウたちの存在を知らないまま、高野を見逃すようにしてしまったことが自分に降りかかってしまう。
さて、
林野マナミ
彼女という人物
彼女から見えるもの
マナミが娘のミソラを見つめるシーンが何度か登場する。
ミソラとは、当時のマナミそのものだったのだろう。
マナミは奇しくも当時の自分自身をミソラの中に見ている。
ミソラに対する言動は、マナミが当時母から受けてきたことと同じだろう。
「それが良いのかどうか、また同じような人生をミソラにさせることになる予感がしていた。
しかし状況は変えることなどできず、もがき苦悩しながらも「わかんないの、自分が。私っていつも…」となってしまうのだろう。
このセリフは、自分自身の本心に背いたときに出る言葉のような気がした。
マナミは絶えず過去の自分自身が感じた心とミソラの気持ちとを重ね合わせている。
ケースワーカーが佐々木になったことで、あの頃憧れていた「家族」との些細な日常の幸せを感じていたはずだった。
マナミの気持ちがマックスに昂ったのは、「一緒に死ぬ」ことではなく、あのドタバタ劇からミソラと一緒に脱出するときに起きた。
その延長線上の金本への一撃
これが彼女が決断してしたことだった。
そこにあったのは間違いなく「あの時母にしてほしかった」ことだったように感じた。
さて、、
もうどうしようもなくなってしまっている日本社会という背景
そこにしたためたマナミの一撃こそ、「破壊と再生」を表現している。
それでも、宮田のように「狂った」人物はまだいるのは間違いない。
しかし、
清掃員となった佐々木が家に帰ってきたときに干してあった女の子の小さな傘
そして妊婦である隣の住人とのすれ違い。
ここに明るい未来があった。
作家は、このどうしようもなくなった日本に対し、「破壊なくして再生なし」を叫びたかったのかなと思った。
なかなか素晴らしい作品だった。
転落は早いものです
大変面白く観ました!
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっていたので数行で短く)
結論から言うと、今作の映画『悪い夏』を大変面白く観ました。
今作は、生活保護にまつわる、不正受給や対応する地方公務員の苦労、本来救わなければならない貧困者など、ほぼ全ての問題が多角的網羅的に描かれていて、非常に良かったと思われました。
市役所の生活福祉課に勤める主人公・佐々木(北村匠海さん)やシングルマザーの林野愛美(河合優実さん)をはじめとして、役者陣の優れた演技も充実していたと思われます。
特に不正受給の首謀者である金本龍也を演じた窪田正孝さんと、シングルマザーでギリギリの貧困の場所にいる古川佳澄を演じた木南晴夏さんの、対照的な演技は図抜けて印象に残ったと思われます。
その他の皆さんも全て素晴らしかったと思われます。
ラストの描写は、個人的にはやややり過ぎの感で、好みとしてはもっとリアリティある着地の方が良かったと思われましたが、それを差し引いても今作は優れた秀作だと、僭越思われました。
今作の面白さとは別に、生活保護で本来助けなければならない人に手が差し伸べられることを、個人的にも強く願っています。
胸糞展開にも関わらず笑ってしまう作品
物語が終わりに近付くに連れて段々と胸糞が悪くなる作品にも関わらず、クライマックスでは笑い声が漏れてしまうというとんでもない映画です。
生活保護という社会的な問題を扱いながらも嘲笑できる演出に持っていってしまう城定監督の手腕にひたすら感服してしまいました。
勿論、女性を撮るだけで艶っぽく見せてしまう城定監督の魅力も内包しています。
河合優実さんが疲れたシングル・マザーを演じているんですが、何処となく生々しい色気を放つ妖しい魅力が全開でした。
そんな中にあって一番目を引いたのが、窪田正孝さんの演技力。
窪田さんは監督や演出家によってその表情をガラリと変えてしまう役者なのだという事を改めて痛感させて頂きました。
城定監督の元、窪田さんは関わりたくないクズをしっかりとものにしておりました。
彼が笑顔になっただけで、関わる者の嫌な未来しか見えてこないから凄い。
彼の演技が物語の見えない裏側を常に支えているのは明らかでした。
画面には出ていないのに影のように付き纏う窪田さんの存在感からも胸糞展開になるのは明白なのですが、前述した通りクライマックスでは笑える展開が待ってます。
あれだけの人物を丁寧に描いた城定監督の勝利だと思います。
胸糞展開が苦手な人でも鑑賞可能だと思いますので、嘲笑できるクライマックスを味わいたい人は是非。
カオス
邦画では珍しい種類の面白さ
悪い奴らばかり、ではなかった
マジメな公務員がいつの間にか悪に手を染めていく話かと思ったら違った。悪に落ちかかったけど善のまま終わった。その意外性がなかった分、星は四つ止まり。でも十分イヤーな感じにさせてくれる、いい作品でした。
女優陣が良かった。エリ役のギャル、うぜー。ああいうのいるわ。よく雰囲気作ってた。最高。ケースワーカーの公務員の女、正義を語るときに目を見開くのが、うぜー。こういうのもいるわ。悪の反対の、いかにも脆そうな正義。これも、いい雰囲気出してくれました。
そして、河合優実がエロい。セブンスターの吸い方がサマになってていい。男が心持ってかれるのも分かる。いい雰囲気出してた。良かった。
窪田正孝の怪演。最初は薄っぺらいかと心配したが、イヤーな気にさせてくれた。ケンカ強そう。頭キレそう。
さて、最後は「破滅」と「愛」で終わるわけだが、前述の通り、ここに意外性がなかった分、減点。みんな集まるのがドラマっぽかったし、ケースワーカーの女の登場が、関係性は予想できたが唐突すぎた。
クレヨンの絵は落ちててほしくなかった。不自然でさめた。女の子が持ってる方が自然だった。最後の雨のシーンが不自然で残念だった。暴風雨なのに背景の木立が揺れてないし。
主人公は、こんなもんかなあ。
貧困ビジネスの描き方に不自然さはなかった。本当にあるかどうかはわからないけど、あってもおかしくない、見ていてさめる要素はなかった。ケースワーカーの人たちは、言い方は良くないが、制度を悪用しようとする勢力のすぐそばで働いてるともいえるわけで(過去にそういう犯罪事例がいくつもあったから)、メンタル含めてサポートが必要な職場なのではないかと考えさせられました。フィクションから学んでも空回しかもしれませんが。
皆がクズばかり
タイトルなし(ネタバレ)
最後めちゃくちゃカオスだったが、結構面白かった。
宮田は、高野と一緒になるために、佐々木に相談したのかな?
高野と林野の肉体関係も、仕組まれてたのかな?
それは流石に違うか。
社会問題こじんまりと提起する小粒作品
生活保護の不正受給問題を軸に、生活保護を担当する役所勤めの公務員と不正受給者と、それぞれの私生活の弱みにつけ込んで、大量の不正受給者を作り出して弱者ビジネスの構築を試みるアウトローの群像劇。
取り扱う社会問題に対しては、切り込みは浅く、登場人物たちの悲喜交々な人間模様を眺める感じですかね。
こじんまりとしながらも、わかりやすいストーリーラインだったので、ストレスも感じなく、普通に楽しめる作品でした。
とはいえ河合優実で保っている感が否めないかなー。
ワルとクズばかり、ラストはスマブラ
市役所の生活福祉課に勤める佐々木守は、同僚の宮田から
「職場の先輩・高野が生活保護受給者の女性に肉体関係を強要しているらしい」
との相談を受ける。
面倒に思いながらも断りきれず真相究明を手伝うことになった佐々木は、
その当事者である育児放棄寸前のシングルマザー・愛美のもとを訪ねる。
高野との関係を否定する愛美だったが、実は彼女は裏社会の住人・金本と
その愛人の莉華、手下の山田とともに、ある犯罪計画に手を染めようとしていた。
といったあらすじ。
生活保護をめぐる低所得者層の現実が生々しく描かれ、
胸が苦しくなる部分もあったけど。。。
予告から推測できる、佐々木がはめられるまでの展開がかなり長い描写。
純粋なやさしさから愛美に手を差し伸べた佐々木だったが、
結局金本にはめられ、追い込まれる。
ここまではよかったのだけど、全員集合で大乱闘となるとは。
スマブラか!笑
そして、中途半端な終わり方。よくわからん。。。
美空ちゃんはこんな大人にならないでね。
主役の佐々木を演じた北村匠海さん、気の弱そうな公務員が闇落ちしていく
姿を見事に演じていました。あんぱん、楽しみです!
シングルマザーの愛美は河合優実さん、こういう影がある役どころ、
ホントうまいよな。とても魅力的。あんぱん、楽しみです!!
犯罪計画の首謀者・金本は窪田正孝さん、悪役とか裏社会の人間とかがうまいなぁ。
スピードの変化が面白い
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