悪い夏のレビュー・感想・評価
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生活保護は本当に困っている方へ
城定秀夫監督、今年2作目。
フットワーク軽くて観客のコチラも観やすい。
前作よりは面白かった。
生活保護の闇を扱ったといえば、 真面目で哀しい『護られなかった者たちへ』を思いだしたが、
城定監督がそんなヤワなモノ撮るわけないよなぁ〜 と楽しみだったが、
原作脚本があるので、これが限界かもしれない。
俳優さんは皆さん魅力的だが、定番の存在感と演技。
新鮮さはない娯楽映画である。
己の言葉は己を返ってくる。
潔癖さを訴えるケースワーカーは己の不倫を正当化して 罪悪感の欠片もない。
なにが潔癖さなのか、
僕のなかで笑いが止まらなくなった。
人間なんて、そんなものである。
み〜んな悪い人間ばかりである。
僕の人生のなかで福祉の仕事をしていた時期があり、僕の感覚では理解が追いつかない事があった。
母子寮でケースワーカーとして働いていた後輩が、
入所していた、なんと三人の子連れのお母さんに手を出してしまい妊娠が発覚。
愛を前面に出して結婚、後輩は職場をそのまま、四人目を妊娠しているお母さんと子供達はケースワーカーの実家(横浜の一等地)で同居。
そのケースワーカーは現在、年金を満額受け取っている。
世の中なんて、そんなものである。
正直者はバカをみる。
もし窓口で生活保護を断られたら、
本編のように自殺未遂(あくまでも未遂、決して死んではなりません)で発見されたら、
(財産や身寄りがなければ)生活保護を受給できる。
この映画が、本当に困って受給できない(酒やタバコやパチンコもしない)人々の役に立てたら、 いいですね。
クズだらけ
長い夏だった
ここ数年で救われない人々の描写に麻痺してしまったのかもしれない
もうすぐすると義理の兄妹役になる主役の2人がいる世界
「あんぱん」では義理の兄妹役になる北村匠海と河合優実が主役だが心優しいのが仇になって美人局に引っかかって自ら不正に手を出す羽目になった役所の職員を演じる北村匠海と元キャバ嬢でラスボス的な店長?役の窪田正孝に脅されるように利用される河合優実がいい味を出している。「あんのこと」では早見あかりが演じるシェルターの隣人に一万円と引き換えに子どもを無理矢理預けさせられる役だった河合優実は、ここでもキチンと母親役を演じているので「あさイチ」で「子どもを抱く」ではなく「子どもを持つ」と言い放って「おむすび」では母親感ゼロの米田結女王様とエラい違いだ。ヒロインが生活保護を受給するのと引き換えに毎熊克哉が演じる役所の職員とのセックスシーンでブラジャーを外していない。「ナミビアの砂漠」では河合優実は胸を出していたシーンがあったしキャバクラのシーンではキャバ嬢が胸を出していたので不自然。ヒロインの喫煙シーンが多いが「敵」みたいに煙草に口をつけても吸っていないのが分かるのに煙が出ていた。それなら喫煙シーンはいらなかったのでは?最後の修羅場で死人が出なかったらしいので全員逮捕されただろうに主人公2人は不起訴になったらしく職場に不倫がバレたはずの伊藤万理華が演じる役所の職員もクビになっていないのはどうだろう?「あさイチ」で窪田正孝はボクシングが趣味だと言っていたが見た目は細身の優男なのに恫喝しながら殴りかかるシーンは威圧感がある。撮影中に誰かあざが出来たかもしれない。
劇中劇のように同時並行で進む木南晴夏と息子役の話は万引きがバレて職場をクビになるシーンと電気や水道が止められたのが分かるシーンは逆の方が良さそうだ。最低限の生活費はあって派手に遊んでなさそうなのに電気や水道が止められるのは不自然だ。
どうすればよかったんでしょうね
血みどろも、ゴミ屋敷もいらない
チャンス大城が演じるキャラクター、
彼の所作に込められたリアリティが、
本作における、
不可欠な思考の補助線の要素となっている。
どういうことか。
その所作の細部、
単に上半身を曲げるのではなく、
身のすくめ方、
自転車を押す際の緩急のつけ方、
その身体的動作に、
彼のキャラクターの身体性、生々しさとその背景がにじみ出ている。
これらの所作は、単なる演技の一環としてではなく、
その人物が生きた環境、過ごしてきた時間、
そして経験してきた試練を物語っているのかもしれない。
多くの人々を見て、数々の現実を体感してこそ、
ここまで自然に表現できるものだ。
このリアリティを演じるためには、ただの技術ではなく、
感覚と体験が必要であり、
大城はその絶妙なバランスを完璧に捉えている。
ところが、
監督はこのリアリティラインに完全には乗らない。
リアリティラインというのは、
物語の中で登場人物が示す「現実的な限界」のようなもので、
映画のトーンを、世界観を決定づける要素だ。
この映画では、現実に寄り過ぎることなく、
時に意図的に誇張され、または抑制された演出がなされている。
そのラインを意図的に引き、
物語が進行するにつれて少しずつそのトーンが変化していくのだ。
中盤から転調が始まるが、
この転調が映画のリアリティと虚構との距離感を見事に保ちながらも、
観客を引き込む効果を生み出している。
エロ、グロ、ややエロ、身体性、社会性、
それらの要素を自在に操ることができる監督である。
エロやグロといった要素が物語の中に登場する際、
それらがただの刺激的な素材として使われるのではなく、
しっかりとキャラクターの内面的な闇や欲望を表現するための手段として組み込まれている。
映画全体を通して、
そのバランス感覚が変化し、
特に中盤から後半にかけて、
グロテスクな表現が(主に痛々しい生活表現)、
過剰になることを避け、
エロや暴力も控えめに描かれる瞬間が増えていく。
キャラクターがそのリアルなグロテスクさを描かずとも、
その内面にある闇や暴力の兆しを完全に表現できると判断したのだろう。
苦悩や不安、絶望をリアルに伝えるためには、
決して血みどろな映像や、
痛々しいゴミ屋敷の描写が必要というわけではない。
物語における感情的な重みをキャストの演技に委ねている、
この潔さこそが、この映画のリアルさに繋がっていると言える。
そして、その潔さに応えるキャスト陣も素晴らしい。
キャラクターたちは、グロテスクな場面を描写しなくても、
その内面にある激しい葛藤や深い傷、滑稽さを見事に表現している。
リアリティラインを背負うことができるように、
誠実に準備されたであろう芝居が、
映画全体のクオリティを引き上げている、
と言っても言い過ぎではないだろう。
総じて、「悪い夏」は監督の独特な手法、
調律が冴え渡る作品であり、
リアリティと虚構を巧妙に操りながら、
視覚的、感情的、音楽でも強烈な印象を与える映画だ。
その中で最も重要なのは、キャラクターの所作のリアルさと、
それを描くために意図的に動かされるアリティラインである。
映画が進むにつれ、このラインがどのように変化していくのか、
このピンポンは誰、
更にピンポンは何、
と思う時、
その時はもうこの世界観にはまっている証拠だろう。
「なるほど、こういう話か」で終わらない
伊藤万理華の先輩女子いいね。惚れる。
これまで観た伊藤万理華の役って綺麗め要素が控えめだったから、特に良かった。
単純な話なのかなって観てると、一筋縄でいかないようによれるね。
そこのよらし方がうまい。
窪田正孝と比べて、竹原ピストルはアホなんだけど、懸命に考えて儲けようとするんだよね。そこが危うい。
河合優実と北村匠海は互いに本当に好きになった設定なんだけど、これも危ういよね。
童貞がうまいこと誘惑された感は否めない。
でも、そうであっても、本当に好きならいいよね。
互いに好きだからいいかなと思ってると、窪田正孝再登場で、キッチリはめられてしまう。
それで生活保護受給をバンバン決めてくんだけど、これ、この役所も問題でしょ。
そんな簡単に受給が決められてたら「なにかある」と疑わないと。
この作品はテーマに生活保護が設定されてるんだよね。
やり取りのなかで「知り合いで援助できる方がいらっしゃったら、そちらを優先して」っていうのが結構でてくる。北村匠海は「息子さんいたんで、申請を取り下げさせました」って言ってて「やるじゃん」と伊藤万理華に誉められたりしてんの。
でも生活保護って、稼いでいる家族がいても支給されるものだよね。
自助・共助・公助で、「共助があるんなら公助つかうなよ」って役所が言ってるんだけど、それ、どうなの?
そんなことを思いながらストーリーに戻ると、窪田正孝が北村匠海をハメたときに「どんな商売でも客に手を出すのは御法度」って言うんだけど、これ、本当にそうだなと思った。
毎熊克哉も北村匠海も御法度なのにやっちゃうんだよね。だからきついツケを払わされるのは、しょうがない。
いろいろあって破滅的なラストに向かうときは、むしろ、「窪田正孝、この状況をなんとかまとめてよ」と思ったな。この異常な状況で正気を保ってんのは窪田正孝だけなんだよね。異常な暴走より、正常な悪の方が安心できるって、もうほんとダメな状況だな。
よせ玉でみんな集まってくるの面白いよね。「入江悠なのか?」っていうドタバタ感。
でも入江悠よりうまくまとめるね。
伊藤万理華も動機が不純ってことになったけど、それ、いるかな。みんなどっか悪い奴じゃんってことにしたかったのかな。
ラスト、北村匠海はホームに戻り、まあ幸せそうで良かったね。つまらない公務員生活を送り続けるより良かったんじゃない。罪は他の人がかぶってくれる顛末になったみたいだし。
よせ玉のあたりの盛り上がりとか、コメディに寄せたら、楽しくエンディングにいけそうな話でもあったんだよね。しかし、それを暗いペースでまとめるのが、城定監督のテイストだなと思いました。
生保の闇と城定監督テイスト
悪い何か
監督を確認してからにすればよかったー
或いは自分が「当事者」だったら
作品制作のサイクルが早く、とても多作な印象が強い城定監督。それでも毎作品「一定以上の面白さ」が期待できるため、出演者が好みであれば劇場鑑賞する機会も増えてきました。そして本作は主演・北村匠海さん、助演に河合優実さん、窪田正孝さん他かなりの豪華布陣。そのせいもあってか月曜10時35分の丸の内ピカデリーは、(この劇場にしては)まあまあの客入りだった気がします。
今作は生活保護受給(俗にいうナマポ)にまつわる「悪事」をネタに、メインキャラクター8名の少しずつ「ズレ」た関係性で展開されるストーリー。私は今回もあらすじは勿論、予告編も見ずに本編に挑んだわけですが、独特な世界観にもかかわらず、すぐに入り込めて理解が追いつく構成力で「やっぱり巧い」と思える城定監督。
そして、今作も流石の「キャラクター演出」は城定監督の真骨頂。役を演じられた俳優さん、皆さん本当に素晴らしく甲乙は付けがたいのですが、敢えて一人挙げるとしたら山田役・竹原ピストルさん。助演でありながら、繋がりが多いキャラクターのため必然的にスクリーンタイムも長め。そして、中盤以降は混沌化していくストーリーを展開させるキーマン。それぞれ立場によって、相手との対し方を絶妙に変えながらの演技は見ものです。
ところが、ここからは少々苦言として。
まずは、トントン拍子で進むストーリーについて。テンポはいいのですが、イマイチその進展に対して、実際の時間(日数)経過がどの程度なのかが掴みにくい。その為、状況の変化に対し、キャラクター毎の心情やそれぞれの距離感・温度感の変化に、やや強引さや唐突さを感じることも。上映時間114分とけして短いわけでもないので、これは編集の問題なのかな。。ちょっと惜しい気がします。
それと、今作は物語の題材や設定が具体的だからこそ、「リアリティー」について引っかかりを感じる点が少なからず。当然、社会問題を扱ううえで難しいところだとは思いますし、取り敢えずエンタメとして「こういうもの」と割り切り観続けましたが、或いは自分が「当事者」だったら。。原作は未読ですが、フィクションにも守るべき一線はあるはず、、ですよね。
と言うことで、純粋に「エンタメ」として見れば今作も「城定監督らしい」作品として裏切りません。次作も期待しています。
男女8人夏物語
想像を上回る展開がない
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