「最悪の夏が始まった・・・」悪い夏 ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
最悪の夏が始まった・・・
見るからに暑い。不快な夏の描写から始まる。
如何にも不正に生保を受給している山田(竹原ピストル)を担当している佐々木(北村匠海)。気の弱い真面目な性格から、不正と疑いながらも給付金を止めることができずにいた。
そんな時に同僚の宮田(伊藤万理華)から、先輩の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の女性、林野(河合優実)に肉体的関係を強要しているらしいと相談を受ける。
生活保護の不正請求については、闇金を扱った漫画なんかでよく見かける。実際にあり得そうな話で、市役所の職員も苦労してるだろうなって勝手に思ってしまう。
無論、そんな不正行為はしていないにしても、世の中色んな人がいるから、職員に対して抑圧的に話す人もいるんだろうな。逆に、職員にも抑圧的な人がいるかもしれない。
そんな事も考えながらこの作品に魅入ってしまった。
何かこう・・・エネルギッシュと言おうか、打ちのめされる感じがする。出演している役者さん達がホンっと素晴らしい。
【ネタバレかも】
生活保護を受給しながら、風俗で遊びまくる山田の卑屈ないやらしさ。最後も逃げたままで終わる竹原ピストルさん、ピッタリでした。
追い詰められていく北村匠海さんも見応えありましたね。
高野を調査している中で知り合った林野親子。最初は娘のことを気にかけて接していたのだが、親の愛美との愛が育まれていく。(親を演じた河合優実さんも素晴らしい。「不適切にもほどがある」の頃から注目してるけど、本作も体当たり演技で魅せてくれました)
ところが、この2人の純愛を悪事に利用しようとする輩が現れる。「ラジエーションハウス」ではオドオドした善人のレントゲン技師を演じた窪田正孝さんが、本作ではどうしようもない暴力的なワルを見せ付けてくれます。ホンっと恐ろしい。
子供を使って愛美を脅し、佐々木を罠に掛け、弱みを握って生保の不正受給の手伝いをさせる。
自分の中では陽気なイメージのある木南晴夏さん、このお母さんも切なかったですね。
万引き常習者になったことから職も失い、生活保護を受けようと市役所を訪ねて、佐々木から話を聞くことになる。
ここで、精神的にも追い詰められていた佐々木から罵倒されてしまう。
これが本作品で言いたかった事なんだろうか?ものすごい熱量だった。正しい事なんだろうが、言い方によって暴力にもなりうるんじゃないだろうか。
この母子が自殺未遂したことによって、佐々木も壊れてしまう。まぁ、ここはちょっとやり過ぎ感があったかな。愛美と死のうと思っていたところへ、全員集合して修羅場になってしまう。高野を追求しようとした宮田も、実は愛人だったことが判明して、ホンっとシッチャカメッチャカ。
結局、この事件のおかげで全てが明るみに出て丸く収まったって感じかな。
ラストはみんな厚着になって、普通の冬が迎えられたようだった。
佐々木の「ただいま」の声に救われた気がした。
共感ありがとうございます。
思惑が大渋滞!嵐の夜はもう笑える位でしたね。窪田くんの彼女もブクブク太って残忍で・・不用心過ぎる北村くん含めほとんど共感出来る人が居ませんでしたね。

