「この映画の唯一、ダメなとこはタイトル。「 わるいやつら」 に改題すべき!」悪い夏 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画の唯一、ダメなとこはタイトル。「 わるいやつら」 に改題すべき!
いや、原作があるからしょうがないんだけど、悪い夏って何なんだ?そんな文章聞いた事ないぞ?
どの役者も最高の演技だが、木南晴夏が演じるシングルマザーの登場シーンが最高!
この女優、綺麗な人の筈なんだけど、伊藤潤二の漫画の登場人物みたいな変な顔にメイクをしていて、木南晴夏と気付きませんでした。
雨の日に道路を歩いていると、走る車に水飛沫をかけられてびしょびしょになるシーンなんだけど、
もし、オーディションでみすぼらしい役の審査があったなら、登場しただけで優勝してしまうくらい、哀れな顔で思わず笑ってしまいました。
また、この木南おっかさんが、万引きで捕まってパートをクビになり、水道も止められて、公園の水飲み場で飲料水を補充するんだけど、そのさまが哀れでなりません。
意を決して、生活保護申請に行くも北村匠海に説教されて、そのビクビクした顔はもう!何て、可哀想な人なんだー?!貴女は?!ちなみに、木南おっかさんはもっと可哀想になります。震えて眠れ!
主役の河合優実が一番可哀想で、裏口生活保護申請で生活保護受給者になった見返りに、月三万円を相談員から巻き上げられた挙句、相談員がやりたい時に、やられちゃうという生活を続けている元セックスワーカーな訳だ。
生活保護を受けていても、バイト感覚でセックスワーカーカーには絶対に戻りたくないという固い意志があるのに、相談員から月に三万円も巻き上げられていて、無料でやられちゃっているから、もうセックスに嫌気がさしているんだな。
でも、育児放棄気味で食料品は買えなくても、パチンコと煙草だけやるのな?パチカスとヤニカスの役満なので、とても可愛い娘がいてもあまり相手にはしていない。
ひょんな事から、北村匠海が担当している竹原ピストル演じる元タクシー運転手の受給者と河合優実が知り合う事によりマトモだった北村匠海相談員が悪事に手を染める事となる。
元々、北村匠海は河合優実を食い物にしている証拠を掴んだ真面目っ子眼鏡先輩女子の相談員を何とかするのが目的だったのだが、持ち前の真面目さを反社につけ込まれてしまう。
また、河合優実のお絵描き大好きな娘が、クレヨンすら買ってもらえないので、
ピンクのクレヨンじゃなきゃ、駄目なの...。
と、呟くのだ。クレヨンが買えないって...、あまりにも哀れなお子さんにクレヨンを買ってきたのが運の尽き。それに目をつけた反社に嵌められて、北村匠海が闇堕ちしていく。
本当に、生活保護受給者って、碌でもないという啓蒙映画なのだろうか?俺が知っている生活保護受給者は、働いていないと申告しているのに、働いていて、本名でなく偽名で給料を貰っている人がいたなぁ。
何の迷いも無く店長が手書きの偽名が書かれた給料袋を渡していました。あれは、何の罪で誰が裁かれるのだろうか?会社ぐるみで生活保護申請違反をするリスクを何故しょうのか意味がわからんかったとです。
河合優実を食い物にしていた相談員は、警察沙汰にしない代わりに辞職したら、嫁さんにマイホームを取られて追い出されて行き場が無くなったら、反社がちゃんと自分の店で雇ったりするんだよな。何か、この映画、悪党ばかりなんだけど、性根は優しい所が変わっているよな?珍しい映画だ。
これだけ、悲惨なお話しなのに、何か、笑えちゃうんだよな。ところが、ぎっちょん、笑えるシーンは終盤にあるのだが、
いくら何でも、こんな偶然はあり得ない!
と、突っ込んでしまう大団円のシーンは無茶苦茶すぎて最高!劇中で、竹原ピストルが、
何で、今日に限って、こんなにお客さん来るねん!
と、アドリブのような自虐セリフには大爆笑。
まさか、ラスボスがあの人だったとは気付きませんでした。
アノーラの後半シーンが好きな人ならお勧め。面白いぞー?この映画!本当、タイトルで損しているよなぁ?残念だ!