劇場公開日 2024年11月8日

  • 予告編を見る

「分け合えない、分かり合えない」あたしの! サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0分け合えない、分かり合えない

2024年11月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

「センセイ君主」「ヒロイン失格」でお馴染み、幸田もも子の同名漫画の映画化。2つとも大好きな自分にとっては、本作もたまらなく好きな作品だった。序盤から感じる幸田もも子節。監督・脚本が変わっても、この人の独特な雰囲気はいつだって色褪せないんだよね。
今回が長編映画初作品となる監督であるため、あの2つより少し地味で目劣りしてしまっているけど、デジタルカメラ越しのような映像と平成感溢れる演出に一瞬で引き寄せられてしまう。映画という名の漫画。このポップと甘酸っぱさが最高!

こういう女子高生キャピキャピ恋愛映画は、イメージからのギャップが大事。中身のなさそうなコッテコテのラブコメディかと思いきや、めちゃくちゃ本格的かつリアリティで溢れていて不覚にも感動してしまった。そういうのを求めてこういった作品も進んで日々鑑賞しているのだけど、まさに本作はそんな理想を叶えてくれたいい例。
直近の「恋を知らない僕たちは」が大傑作だったがあまりに、正直恋愛パートはどうして物足りなさを感じてしまったのだけど、この映画、恋愛よりも友情に重きを置いており、その友情の描写がとにかく刺さる刺さる...。「交換ウソ日記」と少しばかり似ている。というか、齊藤なぎさすげぇな!今のところ全部いいッ!

直己を演じたINIの木村柾哉とやら人がものすご〜く人気らしく、自分が見た回もファンと思わしき人が半分以上を占めていた。まあちょっと自分にはどこがいいのかよく分かんなかったのだけど、正直こういう映画を見る時にカッコイイ!とか可愛い!とか別に求めてないんで、ファンの人が盛り上がって劇場に足を運んでくれるならいいんじゃない?と思います。はい。演技も上手いとは言えないけど、映画初出演にしてはなかなかに良かった。キャラクターとの若干の不一致が感じられたものの、ラストはいい感じ。でも個人的には、成田を演じた山中桑太郎のほうが好きです。顔もキャラも。炎上覚悟。

にしても、渡邉美穂ビビるほど上手いしビビるほどハマってんな...。初主演とは思えない安定感。ツインテールなのにあざとさを感じさせず、ポップな雰囲気全開でいれる人、なかなかおらんぞ。齊藤なぎさとの掛け合いも抜群によく、まだまだ演技経験が少ないにもかかわらず頼れる座長感がすごかった。いい意味でアイドルぽくない。これから実力派俳優として名を馳せていく予感...。
想像とはかなり掛け離れたスタートだったためちょっとビックリしちゃったけど、秀逸な構成のおかげで冒頭から渡邉美穂の凄まじい演技を見れたから、作品にグイグイとのめり込むことが出来た。こういう演出は大概安っぽく見えるのに、これは良かった。もう、最初から普通の恋愛映画とは違う。

友情も恋愛も、長い時間一緒に過ごしたり、親密な関係になったりすると、自分は相手のことを理解しきっていると勘違いしてしまう。でも、親友だって恋人だって所詮他人であって、何を考えているのか、何を思っているのかなんて分かりようがない。
同じ人を好きになる、というなんとも少女漫画らしい設定ながらに、友情の在り方の真髄を付く本作。女子はこの2パターンに分けられると言ってもいいハッキリとしたキャラクター性で、女の子は特にあるある!と共感できるはず。男でもこういう女子居るよね〜と思える。4人が愛し、愛されみたいなベタすぎるありえない展開に持っていくのではなく、成田というみんなの心の拠り所になる人物を置くことですごく暖かい作品になっているし、友情を語る物語としてとても深みが出ている。

笑えるところが多く、全体を通してみればラブコメと言って相違ないけど、手がうっかり触れてキャ♡みたいなキュンキュンしちゃう系映画ではなく、「こういうのは大事にしたいから」とか言っちゃう結構正統派な恋愛映画なうえに、メッセージ性が強い作品であるためこの手の映画に耐性がない人でもオススメしやすいし、したくなる。
ラストはちょっと駆け足で、綺麗にまとめようとして慌ただしさを感じてしまったけど、痛いところを突きながらも包み込むような優しさのある、すごくいい映画だった。「お、おれがいるじゃないかぁ(デュフ)」の2人が最高におもろい😂

サプライズ
トミーさんのコメント
2024年11月14日

この手に良く在ると思うんですが、主役、ライバルが際立ち過ぎて周囲が空気以前に・・大体あこ子たちは別のクラスでしたよね。

トミー