「ファンムービーとしてはOKなんだろうけど、学園恋愛映画で見たかったのかはわからない」あたしの! Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンムービーとしてはOKなんだろうけど、学園恋愛映画で見たかったのかはわからない
2024.11.14 TOHOシネマズ二条
2024年の日本映画(102分、G)
原作は幸田もも子の同名漫画(集英社)
同じ人を好きになってしまった親友を描いた青春ラブコメ映画
監督は横堀光範
脚本はおかざきさとこ
物語の舞台は、光和学園高等学校
小学校のあるエピソードにて仲良くなったあこ子(渡邉美穂、幼少期:宮地美然)と充希(斉藤なぎさ、幼少期:山田詩子)は、高校2年では別のクラスになってしまった
そんな二人は、学園イチの人気者・直己(木村柾哉)に憧れを抱いていたが、雲の上の存在で、関わることもないと思っていた
だが、あこ子のクラスに留年した直己が来たことによって、手の届く距離まで近づいて来てしまった
物語は、カラオケ店での歓迎会を機に一気に距離を縮めることになったあこ子が描かれ、同時に充希も恋愛感情を抱いていく様子が描かれる
友情と恋愛に悩むあこ子が充希の本心を聞き出すと、彼女は直己には恋愛感情を持たないと言う
そこであこ子は玉砕覚悟で突き進むのだが、直己には過去の恋愛に悪い思い出があって、彼女の思い通りにはいかないのである
映画は、同じ人を好きになった親友の友情を描いているものの、恋愛に割くシーンの方が多くなっている
原作未読だが、おそらくはあこ子と充希の関係がメインで、恋愛はそれを阻害する障壁として登場しているのだと思う
そんな中でも、二人が本音を曝け出し合うことによって、さらに友情が深まるという物語だと思うのだが、映画では「あこ子の恋愛はどうなるのか」が強めに描かれているように思えた
また、直己と成田(山中柔太朗、幼少期:青木鳳)の小学校時代のエピソードも登場し、その関係性はあこ子と充希のものと同質であることが描かれる
直己と充希はハブられる側で、成田とあこ子は人目を気にせずに相手を思いやっている
この関係性を考えると、あこ子の恋愛感情の奥底には「守りたい」という意識があって、直己の奥底にも「憧れ」というものがあるように思う
この根底があって恋愛が成立するのかは何とも言えないのだが、小学生の時から成長し、憧れの追いかけっこが終わりを告げている時期でもあるので、この恋愛がそれを後押しするのならば悪くないのかなと思う
だが、それを踏まえるするならば、直己とあこ子だけでは片手落ちなので、充希と成田の関係性も進めても良かったように思う
充希の成長を感じた成田が「守りたいもの」から変化したところを受け止めるという感じになるのだが、映画ではそこまで尺を取れないのでスルーされているのかも知れません
いずれにせよ、わかりやすい恋愛ドラマなのだが、見た目が高校生に見えないけど行動が中学生以下に見えるというのが一番のネックのように思える
イマドキの高校生がこんなに幼稚とは思えないので、漫画だと許容できても、実写になるとさすがにキツい
これらの問題は邦画ラブコメあるあるなのだが、それを打開するにはアンダー20の役者にチャンスを与える以外には方法はないと思う
その年齢で映画の主演を張れるほどの知名度と言うのは難しいのだが、そこで冒険できれば、新たな道が開けるのかな、と感じた