「夫婦で撮り上げた作品はまさに夫婦漫才？」デッドストリーム　クラさんの映画レビュー（感想・評価）

バネッサ・ウィンター＆ジョゼフ・ウィンターの夫婦コンビが贈る、POVホラー。「V/H/S/99」でもその才能を発揮したコンビだが、今回は主演まで務めてしまうのだからビックリである。迷惑系YouTuberが崖っぷちに追いやられ、起死回生の心霊屋敷にやって来るという物だが、迷惑系YouTuberながら憎めないキャラクターであり、配信をしているから"ちゃんとやらなきゃ"と思う一方でビビり倒す描写は夏のホラー特番で心霊スポットで一人残される芸人と同じである。配信系のホラーだと韓国の「コンジアム」の方が圧倒的に怖いが、明るいノリと軽いテンポでサクサク進み、90分弱を余す所無く描いている為非常に好感触だった。

ジャンプスケア等の定番の驚かせ方しか無く、（それ以外に驚かしようが無い気もするが）少々ノリが軽すぎる為、本気で怖いホラーを観たいファンにはどう映るのか。個人的にはもうお腹いっぱい作られたフェイク・ドキュメンタリー形式の作品においては、この様な新しいアクセントも必要だと考えている。POVが出回ったのは、"限られた情報の中で非情にやって来る暴力"を臨場感たっぷりに描けるからである。その様な怖さに特化した作品の数々の中で笑いに転じたのは今回が初かも知れない。
ブルッとしたいのならば、興行的な面ではやや静かだったリメイク版、「ブレアウィッチ」と合わせて観ると同じPOVてここまで毛色が違うかと感心させられるかもしれない。

終盤に出てくる亡霊たちはもはやクリーチャーであり、個性的で愛嬌を感じる。ホラーが苦手な人からすると亡霊に愛嬌もクソも無いだろと言われるだろうが、そういう所も注目してほしい作品だ。、