「退屈な映画かもしれないが是非。」コール・ミー・ダンサー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
退屈な映画かもしれないが是非。
今年421本目(合計1,512本目/今月(2024年11月度)27本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
まずこの映画はここの紹介にもある通りドキュメンタリー映画です。今のコロナ事情勃発直前までが描かれるので、ごく最近のことまで登場します。
習い事の中でも体力差や年齢差、あるいは経済力や国力(この映画はインド映画。ただしインド映画おなじみの例の謎の警告表示ほかは一切出ない)等によってこれら芸術活動は一定の「差」が生じますが、発展途上国と先進国の中間点的な位置にあり、一方で根強い経済格差や宗教論争が絶えないインドという国において、やはり「体力差」など個人にはどうしようもない(この点で、そろばん等と異なる習い事)「バレエ」という(踊るほう。球技のバレーではないので注意)競技、あるいは習い事に挑戦した男性の軌跡を描くドキュメンタリー映画です(娯楽的要素は一切ないので注意)。
前半はインドにおける経済格差、あるいは最初にも書いたようにそもそもの体力差、年齢差から生じる「国内での差」のレベル、後半はうってかわってイスラエル、アメリカ等といった国で生じる人種、宗教問題からくる序列、そして最後には冒頭にも書いた通りコロナ事情の勃発という色々なハードルを抱えつつも一定の成果をおさめ、またライバルや指導者の今(2023年?2024年?)の近況も伝えられたところでおしまい、というタイプのドキュメンタリー映画です(娯楽性は一切ないので注意)。
バレエ映画の中でも特に男性のそれに関してはもともと少ないバレエ映画の中でもさらに少なく(性自認をテーマにして7~9歳くらいの「男の子」がバレエに挑戦する作品もあったかな。タイトル忘れた…)、なかなか貴重な作品かなというところです。
上記で述べたかかる趣旨の一部(体力差うんぬん)は日本でもかかる趣旨が妥当し、一方で日本では通常ほぼほぼ存在しない「都市レベルでの技術力格差」(日本では、だいたいの県庁所在地でほぼ最上級に近い教育を受けられるし、何なら東京なり大阪なりに来ることも比較的容易)の論点、さらに日本ではそもそも無関係な「人種・宗教問題」と色々混ざっており、同じ競技一つとっても国が違えば違う角度からなのだろうなといったところです。
採点に関しては特段気になる点までないのでフルスコアにしています(まぁインド映画なので例のお得意警告表示見たかったけど…)。 ←今週もうひとつインド映画がある?
また、コロナ事情においてテレワークやビデオ会議といったものは国によって差はあっても急速に普及しましたが、IT国家といえるインドにおいても、いくらIT国家といってもテレビ・ビデオ会議にも向き不向きがあるところ、「バレエ」という一見まるで向いていないものにまで登場したのはさすがインド、技術力が違うなといったところです(日本だとせいぜいスロー再生してまねてやってみようかな程度にしかできない)。
映画に「娯楽性」を求める立場かどうかによっても見るみないはかわりますが、教養のたかまる作品でもありますし、85分ほどと短めでもあるのでおススメ以上です。
…今週(11月5週)大荒れ確定しそうなのが「正体」なのでしょうけれども、それはそちらにて(そちらのレビューにて)。