「「地味」とラベル貼り」ボレロ 永遠の旋律 kencom21さんの映画レビュー(感想・評価)
「地味」とラベル貼り
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私の好きな本で古今のクラシック作曲家を大胆不敵にも、かつ音楽理論的に彼等を天才か秀才かに分類•分析したものがある。しかしそこにラベルの名は一行の批評すらない。そして今まで映画史上、彼の生涯がテーマとして取り上げられたことはなかった。彼をディスっているわけではない。「ボレロ」は実際名曲だしM.ベジャールが振り付けJ.ドンの舞ったバレエは圧巻であった。上記の原因はラベルの性格と衰弱していった精神にあったのではないか。日常生活において万事、地味、抑圧的、秘密主義あるいは禁欲的でヒーローとしてのエピソードに乏しいのである。だから「ボレロ」完成以後ストーリーはスカスカで正に「印象」だけの役者(彼は良い)の力量のみで持たせていた。ラベルに関わった女性は何人か登場するが性的な匂いは殆ど無い。手袋フェチも中途半端。マザコンから生じたゲイ(母と同じ性に手が出せない)なのか。今は亡きケン•ラッセルに監督させたら面白い怪作が出来上がったろう。何しろあの学者然としたマーラーをバスターキートンのように走り回らせたのだから。
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kencom21さんのコメント
2024年9月25日
役者もそうですが己の肉体が表現手段である芸術家はそのナルシズム、表現における両性的存在、マイノリティーに属している孤独感、そこから生じる自己承認欲求はゲイそのものですから
オプンチアさんのコメント
2024年9月18日
ガーシュインがラヴェルを表敬訪問しお互いを褒めあうというゲイ同士の邂逅エピソードを挿入すれば、この映画のもやもや感が晴れるような気がするけど、まあ、その“キモ”を曖昧にするのが欧州スタイルなので……