劇場公開日 2024年11月1日

「カラーだけど東映集団時代劇ってこともあり工藤栄一監督っぽい」十一人の賊軍 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0カラーだけど東映集団時代劇ってこともあり工藤栄一監督っぽい

2024年11月19日
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鑑賞方法:映画館

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2024年映画館鑑賞109作品目
11月17日(日)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
監督は『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』
『凪待ち』『ひとよ』『孤狼の血 LEVEL2』『死刑にいたる病』『碁盤斬り』の白石和彌
脚本は『アンダルシア 女神の報復』『任侠ヘルパー』『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』『孤狼の血 LEVEL2』の池上純哉
原案は『日本侠客伝 血斗神田祭り』『仁義なき戦い』『愛・旅立ち』『玄海つれづれ節』『肉体の門(1988)』の脚本家の笠原和夫

時代は慶應4年(1868年)戊辰戦争
江戸時代最後の年
この年の9月には明治に
舞台は新発田藩(現在の新発田市)

粗筋
新政府軍が官軍で旧幕府軍が賊軍
勝利目前の官軍側につきたい新発田藩ではあったが巻き返しに躍起な賊軍である奥羽越列藩同盟に加勢を求められ苦しい板挟み状態
そこで賊軍の長岡藩の旗を掲げ国境に砦を作り官軍に立ち向かうふりをして奥羽越列藩同盟に安心させ新発田藩から出てもらい狼煙をあげて決死隊を藩に戻し官軍を迎える計画を立てた
藩士だけでは足りず罪人の寄せ集めで結成された決死隊
砦を守り抜けば無罪放免になると聞かされた罪人たちは決死隊に参加したがそれは嘘だった
蜥蜴の尻尾切りで藩士はともかく罪人たちは口封じでやはり殺される運命
罪人たちと新発田藩剣術道場道場主鷲尾兵士郎は初めそれを知られされていなかった
それでも特別な配慮に期待し砦を守る決死隊

155分だが長くは感じなかった
それだけ自分好みで娯楽映画として楽しめたということだろう
長いからといっても例によってトイレに行きたくならなかった

設定としては大砲や花火による爆発の数々は迫力がある
特撮ヒーローものの爆発は間抜けな感じがするがこっちはなかなかスリリング
なぜだろう

元前頭豊山が引退し俳優に挑戦している
罪人になった経緯は辻斬りでなく相撲部屋寄りの大罪にした方がしっくりときたのだが

こういう内容だから男性俳優に比べ女性俳優は地味な役割
決死隊の中では紅一点の女郎なつを演じた鞘師里保がなんていうか大変失礼だけど顔が薄い
家老の娘・加奈を演じた木竜麻生がずば抜けて美人だと感じたが新発田出身

作品としては極悪人という位置づけであろう阿部サダヲ演じた策略家城代家老溝口内匠
しかし新発田を戦火から救った英雄の1人として民衆から高く評価されたことだろう
人間には良い面もあれば悪い面もある
政事となれば綺麗事ばかり言ってられない
倫理で国民の生活は改善しない
国民民主党玉木代表の件や斉藤兵庫県知事再選の件でますますそれを感じた
野口英世も美談ばかりの自分の伝記を読んで「あれは作り話だ」と不愉快になったエピソードは有名だし

こんなこと書いちゃ失礼だけど女とバカが長生きする理由が改めてわかるような気がする作品である
それぞれ理由は全く違うんだけど

新発田は「しばた」って読むんだよね
子供の頃は今より教養がなかったから「しんはつだ」と誤読していた
「しんはつだ」じゃまるで「ケンちゃんラーメンしんはつだ」
いかりや長介じゃなくても「ダメだこりゃ」と嘆かれそう

配役
妻さだを手篭めにした新発田藩士を殺害し罪人となるが砦を守り抜けば無罪放免と言われ決死隊と共に戦場に駆り出されるも度々逃げ出す駕籠かき人足の政に山田孝之
家老の命により砦を守る決死隊となる剣術道場の道場主で直心影流の使い手の鷲尾兵士郎に仲野太賀
政と共に死罪になる予定だったが砦を守り抜けば無罪放免になる条件で決死隊に参加したイカサマ博徒の赤丹に尾上右近
子を堕ろされた恨みで男の家に放火した罪で死罪になる予定だったが砦を守り抜けば無罪放免となると聞き決死隊に飯炊きとして雇われた新発田の女郎のなつに鞘師里保
捕えられた政を死んだ兄と思い込み逃がそうとした脱獄幇助の罪で捕えられたが兄と慕う政と共に決死隊に参加する新発田の花火師の息子で知恵遅れのノロに佐久本宝
檀家の女を手籠にした罪で死罪になる予定も砦を守り抜けば無罪放免になると聞き決死隊に参加した生臭坊主の引導に千原せいじ
医学を学ぶためロシアに密航しようとした罪で死罪になるはずだったが砦を守れば無罪放免になると聞き決死隊に参加した医師の倅の「おろしや」に岡山天音
一家心中をするが自分だけ死ねず死罪になるはずだったが砦を守り抜けば無罪放免になると聞き決死隊に参加する貧乏な百姓の三途に松浦祐也
侍の女房と姦通した罪で死罪になるはずだったが砦を守り抜けば無罪放免になると聞き決死隊に参加する新発田随一の二枚目に一ノ瀬颯
新発田の村で多くの村人を斬り殺し死罪になるはずだったが砦を守り抜けば無罪放免になると聞き決死隊に参加した相撲取りのような辻斬に小柳亮太
新発田で地主への強盗殺人で死罪になるはずだったが砦を守り抜けば無罪放免になると聞き決死隊に参加する長州出身の剣術家の爺っつぁんに本山力
家老の娘加奈の婚約者で決死隊隊長の入江数馬に野村周平
罪人と共に決死隊の一員となった新発田藩士となるも罪人との対立が深刻化し板挟みとなった入江に粛清される荒井万之助に田中俊介
罪人と共に決死隊の罪人と共に決死隊の一員となるも官軍による大砲の爆撃で瀕死の重傷を追う小暮総七に松尾諭
藩を守るため様々な画策を企てる新発田藩の城代家老の溝口内匠に阿部サダヲ
新発田藩御城使の寺田惣次郎に吉沢悠
新発田藩の御用人の里村官治に佐藤五郎
新発田藩の藩主でまだ10代半ばの溝口直正に柴崎楓雅
政の妻さだを手篭めにし政に刺し殺される新発田藩士の仙石善右エ門に音尾琢真
溝口内匠の妻の溝口みねに西田尚美
入江数馬の許嫁の溝口加奈に木竜麻生
耳が不自由な政の女房のさだに長井恵里
兵士たちにおにぎりを配る新発田の村娘にゆりやんレトリィバァ
柴田藩を官軍に取り込もうとする官軍先鋒総督府参謀の山縣狂介に玉木宏
官軍先鋒総督府軍監で山縣の右腕の岩村精一郎に浅香航大
岩村の側近の杉山荘一郎の佐野和真
官軍先遣隊隊長の世良荘一郎に安藤ヒロキオ
世良の腹心の水本正虎に佐野岳
世良の腹心で正虎の弟の水本正鷹にナダル
新発田藩に官軍との戦いを迫る奥羽越列藩同盟新潟総督米沢藩士の色部長門に松角洋平
新発田藩に官軍との戦いを迫る奥羽越列藩同盟新潟総督参謀米沢藩士の斉藤主計に駿河太郎
ナレーションに塚本誠浩

野川新栄