「郷土の歴史の一端を見た思いがしました。」十一人の賊軍 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
郷土の歴史の一端を見た思いがしました。
新発田市は位置的に新潟県の下越の中心になります。この新発田市が、どうも周りの地域から少し疎まれていたのは何故なのか知らなかったのですが、この映画でその意味が良くわかりました。官軍と幕府軍との内戦(結局破壊と創造の歴史だと思います)は、悲惨であったことは周知の事実ですが、新発田藩は幕府軍につくと見せて、実はギリギリのところで官軍に協力します。故に幕府軍は致命的な壊滅を余儀なくされたのです。ただ、その裏切りのおかげで、新発田の民は戦争に巻き込まれなかったことは、大きな救いだったのでしょう。その歴史の中に11人の賊軍(10人は犯罪者)を絡めたあたりは、まさに真実の歴史を際立たせるドラマチックさに満ちていると言えるでしょう。この11人は新発田藩の家老(阿部サダヲ)の策略で、幕府軍を騙すために生贄になりました。ですから、最後には生きてハッピーエンドになることはできません。観ている方は悲しくて本当に辛かったです(2人だけは生き残れたのは幸いです)。たった11人では官軍に勝てるわけはないのですが、それでも何度も助かる道がありました。しかし、その道を閉ざしても義に生きようとする人たちの姿に滂沱の涙です。思うにやはり一人一人がこの世でなすべきことは決まっていて、それに抗うことはできなかったのでしょうか。彼らが生まれ変わった時、その時こそ幸せになることを祈らずにはおれませんでした。
追記 山田と仲野の演技は、リアルで本当に秀逸でした。また、アクションが見事でした。155分があっという間!新潟の訛りも懐かしい!!