劇場公開日 2024年11月1日

「個性的な面々が団結する流れがいい」十一人の賊軍 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5個性的な面々が団結する流れがいい

2024年11月8日
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鑑賞方法:映画館

時代劇はあまり得意ではない。武士たちの考え方に共感ができないから。主君のために命を投げ出したり、理不尽と感じてもお上の命を守るメンタリティが受け付けない。それでも面白い時代劇はあるのでたまに劇場に足を運ぶことになる。本作を観ることにしたのは、山田孝之と仲野太賀が主演していたから。様々なタイプの人間が協力しながら敵と戦うって話は、使い古されているのにワクワクしてしまう。これは長い映画鑑賞の中で沁みついてしまったもの。
実際、死罪になる者たちが砦の防衛に駆り出されるという流れや、集められた面々が個性的なのがいい。詐欺師や放火犯だけでなく、ちゃんと辻斬りとかの犯罪者も入ってたりする。そして医者になるためにロシアに渡ろうとして捕まった者なんかも。今の感覚からすると、それで死罪?と驚く。
そんな彼らが無罪放免というエサで徐々に団結していく。もちろん各自思惑もあって簡単には団結しない。でもいつの間にか協力し合っていく流れがいい。ひどいことされた相手には力を合わせないと立ち向かえない。ある程度ご都合主義な設定もあったりするが、そこらへんは大きな問題じゃない。必死に戦う彼らの姿に感動した。その対極で、犠牲を出してでも新発田の地と領民を守ろうとする家老の姿も印象に残る。「賊軍」たちの立場だけでなく、新発田藩の立場もきちんと見せていく脚本がよかった。あの状況の新発田藩に何ができたのか、考えてしまう。
やはり山田孝之と仲野太賀が図抜けて印象的だったが、なつを演じた鞘師里保も存在感があった。地味な子だけどいいなと思っていたら、元モー娘。と判明。これはオファーが増えるに違いない。あと、芸人数名が出演していたのも驚いた。演技が下手というほどではなかったが、ナダルは話し方や声を聞いただけで「ナダル」と思ってしまう。シリアスな映画だけにもったいない。

kenshuchu