「銃一任の賊軍」十一人の賊軍 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
銃一任の賊軍
銃なんか持たせたら、「大軍相手に放免より、侍3人殺して脱走しよう」って奴も出そうだが。
序盤で政をはじめ何人かの罪を犯した経緯が描かれる。
だが、時代言葉や方言に加えてBGMや効果音と被って分かるような分からないような。
これは全体を通して続くし、残りの罪人は台詞で軽く触れられる程度。
本質的な悪かどうか判然としないので、モヤモヤする。
そうこうしてるうちに次々と減っていくのだが、特に思い入れもないので感情も大きくは動かない。
というか、絆を深めるような描写はほぼ無いのに兵士郎は罪人の死にキレまくり、政も危険を知らせに舞い戻る。
死線を共にした連帯感として納得はするが、気持ちは乗り切れない。
罪人だけでも人数が多いし、入江やら御家老まで描くので全体として人物が薄いのが残念。
それ故か、タイトル回収に震えることもなかった。
素人集団の泥臭い戦いぶりは良かった。
ただ、SEが安っぽかったり、鉄砲の命中率が高すぎたり、兵士郎が強すぎたりは気になる。
罪人どもがいつ銃の扱いなんて覚えたのかも不明だし、橋もあんな中央で爆破させる必要がない。
乱戦では誰が何やってるか分かりづらいのも難点。
何人か演技が棒なのもノイズで、ナダルは下手ではないがナダルというだけでノイズ。笑
ナレーションは声なのか読み方なのか演出なのか、何かが浮いてた。
とはいえ長尺ながら退屈はしなかったし、人物を斜めに捉えるなど画づくりに魅力はあった。
爺っつぁんもカッコよかったし。
それにしても、政はよく殺されないなと思うし、引導は最後まで念仏唱えてただけだったな。
史実はともかく、罪人が砦を守る件はふくらませて本を書いたのだろうから、やっぱり溝口は誰かに殺られ観る者に溜飲を下げさせるべきじゃないかと今でも思っています。あと、せいじは単なる賑やかしにしかなってない、賊軍じゃなく単なる賊ですね 笑
コメントありがとうございます。
>3人の侍を除けば、新発田藩としては元々死を免れなかった人間しか死んでないんですよね。
おっしゃるとおりです。そう言い切るのに躊躇いがでてしまって、ぼやかしてしまいました。
せっかく集めたのに罪人達の個性が活かしきれてないようで残念。
コメントありがとうございます。
あそこは仲野太賀さんの何十人斬り?を撮るためだけに用意したので、敵はとことん悪辣な奴として印象付けたかったのだと思います。
戦力不足の小藩なのだから、あんなにたくさんの部下が斬られる前にもっと冷酷にピストルでパン!というのもありかなと。藩を愛する仲野太賀だって、「お前たちは斬りたくない。家老とだけ話させろ!」という心情もあっただろうに。