ザ・バイクライダーズのレビュー・感想・評価
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言い尽くせぬ儚さとノスタルジーが込み上げる
ジェフ・ニコルズが創り出す映画にはノスタルジーを感じさせる映像の美しさとアウトサイダーの心理模様が同居する。私はバイクへの憧れなど微塵も持たない人間だが、それでも本作が描く60年代、疎外感を抱えた個々がバイクに思いを重ね、繋がりあい、価値観や居場所を共有する生き方には共振を覚えるし、一方でそれが制御を失い道なき道を暴走し始めた時の恐怖や危うさもわかる気がする。そうした目で見た時、この映画には何かしらの普遍性と、もう二度とはそこに戻れない儚さや痛みがあふれているのを感じた。まるで古いアルバムをめくるような感覚というべきか。ニコルズ監督流の落ち着いた語り口と構成、ベニー、ジョニー、キャシーが織りなす両者一歩も引かない人間関係も親しみを抱かせる要因となろう。特にトム・ハーディの役柄にはマッチョな体の中の繊細なハートを感じた。過去を美化するのではなく、現在地も含めて人を包み込む視点がここにはある。
バイク乗りでも、異端児でもないけれど。
jeff
俺達は男である、そしてそれは致命的
バイク乗りのリーダーと鉄砲玉の若い男の暗闇での密談の様子がほぼキス、セックスとして機能している映画で、それを画面で見せられたらもう信頼するしかない。
男性性をここまで気持ち悪く、近寄りたくないものとして描き、そして映画的に気持ちよく見せる映画は本当に稀有だ(他にありますか?ポール・トーマス・アンダーソン作品はそうか)
女性たちは母親として消費され、男たちは破滅の中でエクスタシーを感じている気持ち悪さ。
システムを作るのに長けている男性性、運営するのに長けている男性性、そして都合の悪いことに目を背けることに長けている男性性(一瞬、コンマ数秒だけ女性から目を逸らす、その演技、演出が秀逸でしたね、これだけでこの映画を見る価値が十分あります)、変化にクソほど弱い男性性。
まるで俺を見ているようだと、思わせる映画。
素晴らしかったです。
映画は最初の数ショットを見ればこの映画の楽しみ方がわかりますが、この映画は最初から緊張感と美学と気持ち悪さを感じさせる映画でした。
バイク乗りに憧れました
バイクは自由なのに、何故か群れる不自由さ
僕はもう50年近いバイク歴ですが、バイクの何が一番の魅力かというと、体を外気に直接さらして風を受けて一人で走る自由さにあると思っています。自動車には束縛を感じてしまいます。だから、バイクに乗りながら群れて走るという人の気持ちが理解できません。でも、世界中のどこでも、ライダーは群れていつしか「暴走族」になってしまうんですよね。
本作は、1960~70年代にシカゴに実在したアウトローズ・モータサイクル・クラブをモデルとした物語です。バイク好きの気の合った若者のグループが徐々に大きな組織となり、そのヘゲモニーを巡る争いへと発展していくというお決まりの展開。でも、その遣る瀬無さをメンバーの妻の眼を通して描く事で、勝手な自己憐憫から少し距離を置いて描けているのがよかったな。
ワイルドだね!オースティン・バトラー
配信(アマゾンレンタル)で視聴。
一番観たかった作品がやっと観れて良かった。オースティン・バトラーがワイルドなバイク乗りで革ジャンを着る姿はなかなかかっこいい。アメリカの1960年代の話だが、時代背景、社会が思い浮かび観ごたえがあった。オースティン・バトラーをはじめ出演者の演技も良かった。ただ、バイクに興味がない方は辛い作品。
飛行機で視聴
理屈じゃないんだよね、ハートだよ。
いい俳優のいい仕事ぶりが観れる
これは大好きだった
主役三人の魅力が堪らん
マッドマックス的な?暴力要素もありつつ、主要三人物の関係性がいい塩梅で描かれている良作!
新年一発目。本厚木kikiで鑑賞。
トム・ハーディ演じるジョニーがハマり役。
口数が少ない無骨な役が似合う。
本作の語り部キャシー役のジョディ・カマー。クラブの外側からの(一般人のドン引き)視点、ベニーへの感情に翻弄されながら自身の強さもみせる魅力的な役。
そして主役のオースティン・バトラーはDINE2のフェイド・ラウサでしか知らなかったけど、紙を生やすと超絶男前。無口でケンカっ早いが魅力に溢れるベニーにフィットしてた。後半出番があまり無いのが残念。
演出面では、カットの繋ぎでの音楽の使い方が絶妙。これでシームレスに次の場面に繋がる。
サントラが欲しくなった。
実話ベースなので、結末はスカッととはいかないが、余韻を感じれるいい映画だった。
一点、自分が観た劇場の都合なのか、元々の映像がそうなのかは分からないが、スクリーン上下に余白が入ったのだけは残念。
画で魅せる映画なので、そこがノイズになるのは勿体無い。画面がとても小さく見える。
トム・ハーディの男臭さ
バイクの魔力と陶酔感をシーン一つで理解させてしまう一作
実在のバイク集団「ヴァンダルズ」の誕生から変質までを描いた作品。ヴァンダルズのリーダー、ジョニー(トム・ハーディ)と若きメンバーのベニー(オースティン・バトラー)、そしてベニーのパートナーであるキャシー(ジョディ・カマー)の関係を中心として物語が展開します。
タイトルやキービジュアルから連想するほどにはバイクを乗り回す場面は多いわけではなく、むしろヴァンダルズを構成するメンバーの人となり、あるいはグループとしてのやや粗暴で破天荒な行動原理の描写に重点を置いています。
ひたすらバイクを乗り回す映画を予想しているとちょっと意外な方向性に思うかもしれませんが、時間的には短いバイク場面の迫力は尋常ではありません。白眉はキャシーがベニーとともにヴァンダルズのメンバーと並走する場面。
キャシーがこれまで全く興味を持っていなかったバイクの魅力に目覚める重要な場面なのですが、鳴り響くエンジンの鼓動は、4DXでもないのに全身を揺らすほどの迫力で、キャシーの陶酔感を観客もダイレクトに共有できます。ごく短いこの場面で、「もう料金分の体験できた!」と思ってしまうほど。
バイカー達の、ほんとに拳しか語る言葉がないんかい、と言いたくなるような粗暴だが妙な明るさのある振る舞いは、その後の変質を踏まえると妙な寂寥感にも満ちてもいました!原案となったヴァンダルズの写真集もぜひ見てみたい!という気にさせてくれる作品です。
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