ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
全77件中、61~77件目を表示
最高の10秒を味わう
漫画に描かれていた熱量や狂気的な雰囲気はなく、丁寧で綺麗な作品になっています。
そこを期待して見に行くとがっかりするかもしれません。
でもそんなことはどうだったいい。
たった10秒。されど10秒。
すべてが詰まった10秒を味わえた。
細かいことはいい。シンプルに考えよう。
私にとって最高に満足できる10秒だった。
原作好きにはオススメできない。陸上好きはぜひ見て欲しい。
作画は素晴らしいが、原作改変が凄まじい。
原作で描写されていた、走ることへの「熱意」や「執念」が大幅にカットされていて、それぞれのキャラの個性が無くなっていた。
「陸上」という競技の映画として見れば、臨場感、没入感があり素晴らしい出来だと思った。
原作が好きな人は覚悟して見てほしい。
らしさ
今年のアニメ映画の中でもトップクラスに期待しており、予告にあらすじにどんどんワクワクさせられました。
映画を観る前に原作を読もうか迷いましたが、映画を観てから漫画のコースを選択しました。
特典は色紙風ビジュアルカードでした。
最っっ高でした!
100m走に己をぶつけ、全てを賭けたキャラクターたちの熱い生き様、頭脳の良さとメンタルの維持の仕方、それぞれの選手の100m走に挑む姿勢、100m走の魅力と狂気、競技時間は10秒と少し、その時間のために紡がれた濃密な時間をこれでもかってくらい味わえて昂りまくりでした。
小学生時代での出会い、中学生時代のスランプ、高校生時代のトラウマの払拭、社会人として挑む競技への苦悩、原点に立ち返った最後の100m走。
てっきり天才を追いかける方が主人公かと思ったら、天才であった側が悩み生き抜く様子を鮮明に描くというのが強烈に面白かったです。
小学生での100m走で負け無しのトガシが、転校生で走る事で嫌な事を忘れている小宮と出会い、常に本気で走る自分とのスタンスの比較や、中学生トップの仁神との競走もあり、小宮との本気の100m走でゾワっとさせられるという小学生パートから濃厚でした。
こんなに考えまくってる小学生すげぇなと思いましたし、小宮が狂ったように走る練習をし、その上でしっかりと速くなっていく様子も描かれていて、人の速くなる過程を短時間でかつしっかりと魅せられたパワーがエグかったです。
小学生の時が間違いなく足の速さで地位を勝ち取っていたといっても過言ではなく、自分も5・6年生で運動会でクラス代表リレーに選出された時はめちゃんこ嬉しかったですし、マラソン大会で大逃げを打って沸かせたりするのが好きでしたし、1番走りに熱が入っていたのは小学生時代だったなと思い出しました。
中学生で思っていた以上に記録が伸びず、そのまま陸上の道を諦めてしまったトガシ。
高校生になってから陸上部の浅草さんに勧誘を受け一度は断るものの、試しに一度本気で走ってみたら、昔感じた感覚をビシッと取り戻し、陸上部存続のためにリレー大会への出場、かつての中学生チャンプの仁神も同じ学校という事が判明してから部員4人でのリレー大会に挑み、存続を掴み取るというパートをバンバン描いてくれるので爽快感満載です。
リレーは今作の本筋とはまた違いますが、リスクのあるバトンパスを用いてタイムを縮める地道な作業や、走る時にホロスコープを起用していて、より人間らしいフォームで走っているのが見応えがありましたし、あっという間に追い越していく様子なんかは遠目に見ても臨場感がありました。
感覚を取り戻したトガシがガンガン大会を勝ち進んでいくところに、九州で密かに牙を研いでいた小宮が大会での記録を打ち出していき、トガシとの直接対決で難なく打ちのめす様子は一瞬だからこそズシッとのしかかるものがありました。
ひたすらに自主練で足を速くしていく中で、一度本気で走った時に負った怪我の感覚が抜けず、スタートセンスは抜群なのに後半は失速してしまい、尚且つ走る時のフォームは崩れまくり、それでもスピードは上がり続けるというアンバランスな状態の中で、高校陸上の記録保持者の財津の言葉に感銘を受けて、リスクを恐れず突き進むスタイルになった事により覚醒した小宮パートは淡々と狂気を感じさせるものになっていました。
そこからあっという間に10年の月日が経ち、会社勤めをしながら陸上を続けていたトガシは記録に伸び悩み、若手の台頭もあって少し苦しんでいる中で、同じ会社の先輩の海堂の現実に対する姿勢を指摘されてから再び吹っ切れて、モチベーションも記録も向上させていくパートも熱かったです。
そんな中で肉離れを起こしてしまい、競技から一時期離れないといけず、会社との契約も切れてしまうという残酷な現実が襲ってきてしまい、公園で人目もはばからず泣きじゃくってしまうパートは胸が痛くなりました。
トガシの努力を全部は観ておらず、映画の中での出来事しか目撃できていなくても、夢や理想が潰える直前の瞬間がまじまじと映されているのはとてつもなく残忍です。
でも、それでも諦める事はなく、大会での100m3本を走り抜けて競技生活にピリオドを打つという大胆な選択をしたトガシの姿は悲哀なんて全くなくイキイキとしていてカッコ良さが増していました。
大会でのぶつかり合いもヒリヒリするものがあり、実力のある若手よりも先着して存在感を示したトガシ。
2番手3番手に甘んじていた中で全力本気をぶつけて財津と小宮を打ち負かした海堂。
記録にこだわらない人に負けた事を悔しがる小宮。
引き際を見つけた財津。
それぞれの姿勢が静かに、それでも確かに熱くぶつかり合っていました。
最後の10秒間もドラマチックに、そしてトガシが最初に発言した「100m走を1番速く走ればなんでも解決する」を体現した2人の清々しいまでの笑顔で幕引いていくのがもう完璧すぎて震えました。
声優陣はほぼ本職で、松坂桃李くんと染谷くんは俳優としての参戦ですが2人ともキャラにベストマッチしていて最高でした。
普段の2人の声でありながら、このキャラにはこの声以外見つからないんじゃないってくらいの存在感を示していてナイスな起用でした。
熱さを秘めてるトガシと冷淡に熱い小宮の対比もこの2人だからこそ出せたんじゃってくらい完璧でした。
本職陣も大熱演で最高で、内山さんの財津の恐ろしいまでのクールっぷりにはゾクゾクさせられました。
コメディ極ぶりに杉田さんの安心感たるや。
髭男の主題歌も作品を一気になぞるようなスピード感あるものになっていて良かったですし、岩井澤監督らしく音楽での緩急の付け方がエグかったです。
作画も高クオリティで、ヌルヌル動くのが人間らしさに繋がっていて良かったですし、キャラの表情も必死さがバンバン伝わってきて最高でした。
最高の100m走追体験でした。
映画館の大スクリーンで味わえる確かな熱、これに勝るものはないだろうというくらい感動しました。
間違いなく今年ベスト候補です。
鑑賞日 9/19
鑑賞時間 17:10〜19:05
10秒の終わりに始まる試合ーー作品が突きつけてくる哲学
この作品を貫くのは、驚くほど単純で、同時に過激なルールだ――「大抵のことは100mを誰よりも速く走れば解決する」。子どもの頃なら、この言葉は真理のように響く。徒競走で一番なら周囲の尊敬を集め、足の速さこそが揺るぎないアイデンティティになる。しかし、大人になるとその単純さはむしろ呪いに変わる。速さを与えられた者は常に勝ち続けることを求められ、追いすがる者は限界を超えなければならない。『ひゃくえむ。』は、この才と努力の交差点に生じる葛藤や孤独を、緊張感ある描写で掘り下げていく。
だからこそ本作は、単に「速さ」を競う物語ではない。むしろ「なぜ走るのか」を問う物語だ。才能も努力も、勝利も敗北も、すべてはわずか十秒に凝縮される。その十秒に意味を見いだせるのか――これはトガシや小宮に限らず、観客自身に突きつけられた問いとなる。決勝レースでは、スタートと同時に「試合開始まで10秒」のカウントダウンが始まるという大胆な演出が導入される。つまり、レースが終わると同時に“試合”が始まる。ゴールとスタートが重なり合うこの逆説は、終わりが同時に新しい始まりになるという人生観そのものを象徴している。
この哲学性をさらに強調するのが、脇役たちの存在だ。海棠や財津は、勝負の意味を相対化するような哲学的な台詞を放ち、観客に「走るとは何か」「勝つとは何か」という根源的な問いを直球で突きつける。彼らの言葉は競技解説ではなく、人間存在をめぐる思想的断章のように響き、物語を単なるスポ根の枠組みから解放している。
声の演技についても特徴的だ。俳優が声優を務めたことで、“説明くささ”や“棒読み感”が目立つ場面もある。しかしそれすらも作品世界に馴染んでいる。むしろ不自然さこそが哲学的な台詞と噛み合い、現実的な熱量よりも思想的な響きを前面に押し出す効果を生んでいた。観客はキャラクターの会話を「物語内の台詞」としてではなく、「思想そのものの朗読」として受け取ることになる。結果として、この“ぎこちなさ”は異化効果となり、作品の哲学的トーンを補強していた。
さらに、リアリティを支えたのが撮影方法へのこだわりだ。実在のスプリンターのフォームをロトスコープでトレースし、スパイクが地面を蹴る音や雨天での水しぶきまで実際に収録。わずか十秒のレースを「身体感覚」として観客に追体験させる工夫が随所に施されている。その徹底ぶりが、速さの刹那をただの映像ではなく「生きられた現実」として迫らせる。
『ひゃくえむ。』は、十秒の走りを通じて人生を凝縮し、「あなたにとっての十秒は何か」を問いかける作品だ。速さという祝福であり呪いでもある才能、努力することの意味、勝利や敗北を超えて生きるとはどういうことか――すべてがトラック上の十秒に集約される。そしてその問いは、映画を見終えた観客自身の胸の内に、重く、しかし鮮やかに響き続ける。
原作は知らなかったが
原作は知らなかったが、スポ根好きのおっさんにとって、とても良い映画だった。絵もストーリーも、10秒の中に詰まったそれぞれの人生を感じさせるものだった。自分の人生とも重ねながら、あっという2時間弱だった。本気になる事の幸福感をもう一度体感したくなる作品だった。
スポ根ではなく生き方を描く物語
原作未読で『ひゃくえむ』を観ました。
まず、ロトスコープの表現が印象的でした。特徴が活きている場面もあれば、アニメ的な描写が交互に映ることで、少しまとまりに違和感を覚える瞬間もありました。
予告で泣き崩れていた人物が誰なのか分からなかったのですが、本編でトガシだったと分かったときは驚きました。感情があふれ出るような演技はとても印象的でした。
登場人物たちが「なぜ走るのか」という問いを持っていて、それを言葉にする場面が多いのも特徴的でした。魚豊さんらしい作風だと思います。説明的に感じるところもありましたが、単なるスポ根ではなく、より哲学的なアプローチに感じられました。『ピンポン』のような熱血ものを想像していたのですが、むしろ「生き方を模索する物語」に近いかもしれないと思いました。
キャラクター面では、海棠さんが少し印象に残りにくかったのが惜しいと感じました。逆に、先輩や小宮、トガシは存在感が際立っていたと思います。ただ、陸上部に入らないまま、地元の近い高校に強い二人が揃う展開は、かなり偶然性が強いように感じました。とはいえ映画ならではのドラマ性として楽しむのが良いのかもしれません。
競技描写については、100mという短距離種目をどう描くかの難しさが伝わってきました。『ピンポン』のように試合中に心情を多く挟み込める競技とは違い、100mは一瞬で終わってしまう。その中で、海棠さんが走りながら心情を垣間見せるシーンがありましたが、他のキャラクターにももう少し踏み込んで描写があれば、さらに熱くなれたのではとも思いました。何度か鳴る大きな音の劇中音楽も場面を盛り上げる反面、それ以外にも心内描写があればよかったかなとも思います。十秒という時間にいらないかもしれませんが。
ラストはドラマや映画にありがちな結果をあえて見せないタイプのエンディングで、想像の余地が残る終わり方でした。皆が一番を目指している中でオリンピックや世界規模の話に広がっていくのかと思いましたが、そこまでのスケールではなかったですね。
最後に流れるヒゲダンの曲はとても良い曲で余韻を一気に高めて締めてくれます。
王道のスポーツ物
スポーツものはいいね。あれこれ頭を悩ませることなくスクリーンを凝視するだけで楽しめる。
原作は読んでいないが、作者の「チ。-地球の運動について-」は読んだことはある。妙に哲学的なところはこの陸上競技の短距離を描いた作品でも同じだった。陸上短距離の漫画と言うと小山ゆうの「スプリンター」を思い出すおっさんだが、似たような印象も受けた。
主人公、トガシが子供の頃に走り方を教えた相手(小宮)が後にライバルになる(というか置いて行かれる)という展開はスポコン物ではあるあるだが良い。弱小の高校陸上部に入って活躍するとか、挫折した先輩(仁神)が立ち直って協力するとか少年漫画の王道。大人になっても仁神は世話を焼いたり面倒見がいい。
小学生から始まったので、高校で終わりかと思ったら少々くたびれた大人になるまでやるとは思わなかった。海棠の見た目と声優もあって誰かを思い出させるが、そういうキャラクターも多かった印象。
監督の岩井澤健治は、『音楽』というアニメで知った。映画祭で賞を取るなど評価されたが、一般ではあまり話題にならなかった。日本のアニメから連想する雰囲気とは違う、海外のアニメーション的な作品で印象に残っていた。この映画を見たのも『音楽』の監督の監督作品ということがあったからだ。アニメーションの動きには独特のこだわりがあるのか、『音楽』でも行っていたロトスコープの手法を今回も使っていたが、『音楽』よりも洗練されていて、3DCGのキャラクターが動くのとはまた違った独特の雰囲気になる。走っているシーンよりも、トガシを陸上部に誘っているときの浅草の動きなどが、アニメのキャラクターなのに人間が動いているような独特の現実感があって良かった。
岩井澤監督は、『音楽』の時に、映画のパンフレットが値段の割に薄っぺらいのが気に入らなかったので、『音楽』のパンフレットは読みごたえのあるものにしたとか言っていたとおもうが、『音楽』のパンフレットは作品資料集といってもいいものになっていた。『ひゃくえむ。』はそこまではいかないが、結構読ませるものになっている。
ロトスコープの撮影には日本のトップアスリートだった江里口匡史や朝原宣治が参加したようだ。若い頃に陸上競技に打ち込んだ人ならなおのこと楽しめる(あるいは身につまされる)映画になっているだろう。
嫉妬した。
足の速い奴が思いっきり走ってるだけの話。それを映画として色々な方法で表現している。
周りより特別足の速い奴らが集まって、その中でも特別足の速い奴になろうとする。そのために人生を賭ける。シンプルで綺麗でカッコイイ。もちろん人間だから色々思い悩んだり考えたりするけど、実際やることはただ100mを走るだけ。だからこそ、この100mが特別な意味を持ってくる。最終的には100mの中に人生を見出す。しかし最後の最後で、その意味はただ「ガチになること」に集約する。至極個人的なことだ。
主人公にとって最高なのは、自分と同じ速さで同じレベルでガチになれる奴が隣に居ること。「ガチ」で競争して「ガチ」を互いに高め合って、誰も追いつけないレベルの「ガチ」まで行って話は終わる。
その一瞬の「最高っぷり」な様を観せてくれる映画だ。
映画としての表現方法や作中の音楽は最高。とても熱い。
しかし正直「羨ましい」としか思えられなかった。一心不乱に「ガチ」になれる何かを見つけられなかった人間の、ひねくれた見方だが。映画に出てくるセリフを自分が言われてる気になって、それこそ「現実」を思い知らされた。
ということでオレも現実から逃避するとしよう。
良かった!でも原作が大好きな分ちょっと……
原作のネタバレ注意⚠️
以下原作厨の面倒臭いオタクによる感想です。
原作が大好きなので観ました!
公式Xもずっと追いかけて楽しみにしてた作品。
映像、声、音めちゃくちゃ良かったです!!
推しが動いて喋ってるのに感動😽💖
ただ本当に原作が大好きで全部まとめてくれると思ってたから残念……
前半の改変がな〜〜という感じ。
ほんっっっとうにトガシくんの心情がない!!!!!これマジで悲しい🥲
原作読んでて「うわここアツい!」って思ったシーンはそれほどでもなく……
アメフト部の話(体育祭)無いし、陸上部1人いないし。
寺川はちょっと見てみたかった笑
トガシの高校の話が全然違って結構嫌だったな〜。
浅草さんと椎名さんは親友みたいでずっと仲良いし、仁神部長の心情少ないしすぐ戻ってくるし(これは多分尺の問題なんだろうけど)
陸上部の"カッコ良さ"が削られていた気がする。
アクスタになるくらいの名台詞シーン、すごいあっさりしてるし迫力が無いし勿体ない🥲大好きだったのに……なんならその台詞楽しみにしてたまであった。色んなシーンが削られているせいで台詞の説得力にも欠けてたし。
「勝ちたい」が「勝たせてもらうよ」になってるのは予告から気になってたけど、これは個人的に嫌な改変だな〜と。
あと小宮くんの幻覚は!?小宮くんが転校してトガシくんが1人で走ったシーンで終わり!?この幻覚を通してトガシくんは自分と向き合えたんじゃないの!?
オリジナルキャラクター加えるくらいなら原作準拠で作って欲しかったかも、面白くて良いキャラも居たけど(;_;)
経田はね、小宮に越されることを恐れて陰湿な嫌がせをするくらいの奴じゃないといけないの……小学生時代の話でもここの高校の話でもいじめは無かったね
でも後半はめちゃくちゃ良かった!!
財津も海棠も樺木も良いキャラだなと改めて思った。
大会は全部ドキドキしちゃうし迫力も動きも凄かった。背景がアナログだったり陸上に使われてる道具?も細かくて小さいこだわりが強くて感動。
選手によって走り方も呼吸も違って本当に凄い。
カッコ良かった!!!
前半の改変を除けば全部良かった💖
原作5巻を約100分にまとめるのはやっぱり難しいよな〜しょうがないか〜。
原作未読であれば最高に面白いと思います!!
また観るかと言われたら別にいいかな!原作読む!
追記:原作読み直してびっくり。台詞の"重み"が違うし読んでて圧倒される。みなさん原作をぜひ読んでください😭🙏
作画は良いが脚本はひどい
まず、良い所を挙げるとすればアニメーションや演出がすごく良くて、作画を凝っているのがよくわかった。特に雨の中の大会のシーンなんかはとても良かった。しかし、原作を読んでいる身からするとかなりがっかりする所が多かったように思う。1つは、声優ではなく俳優も起用しているからか、明らかに棒読みなキャラがいくつかいて最初はうまく作品に没頭できなかった。そして、最も酷いと思ったのは106分にまとめているせいか、そもそもの物語の改変や原作だとすごくアツかったシーンが変にカットするせいでただのシーンとして流されている場面が多かった。そのせいで「ひゃくえむ。」らしさがでていなくてただ「ひゃくえむ。」を模倣した別の作品のようだった。映像にお金をかけているのはわかるので予算的な面もあるのかもしれないが、そうだとしてもそこまで改変されるならもっと上映時間を伸ばすとか、原作としてそのまま放映して欲しかった。「ひゃくえむ。」が好きでかなり期待していただけにかなりがっかりでした。
極上の(ほぼ)10秒を完璧に体現
原作大ファンです。公開初日に映画観たのは初めてかも。
結論からいうと想定以上の原作レイプ。アメフト部ないので、浅草さんを評するあの大好きなセリフが無くなってました。
まっさらな状態で観てみれば最上級のスポーツアニメです。100メートル走なんてものを映像でどう描くんだよと思ったら、なんとほぼリアルタイム、スローモーションを用いても長くても20秒くらいで、文字通り駆け抜けます。極上の(ほぼ)10秒が完璧に体現されていました。
ちょっとコミカルな表情、会話劇も原作ファンからしたら新鮮で、色んな層から受け入れられそうな作品です。初日にも関わらず一番小さいスクリーンでしか観られなかったのは残念ですね。もっと大ヒットしてほしいです。
距離に懸けてきた男達の熱に圧倒された
小学生の時や高校生、成人した時でトガシと小宮の関係がどんどん逆転していくが、最後は二人とも小学生の時みたいにガチで走っていて、すごく見ごたえがあった。
トガシも小宮も、最初はただ全力で走っていたが、歳を重ねるにつれ段々純粋な気持ちで走れなくなっていく。新記録が出せないプレッシャー、記録のために計算をしたりスポンサーに見限られないか不安になったり。だからこそ、ただ自分を信じて記録を気にせず走った海棠の姿が響いたし、それはきっと財津も同じだから引退したのかなと思った。
「不安は対処すべきではない」とか、「100mを誰よりも速く走れば全部解決する」とか、「現実は逃避できる」とか彼らのこれまでの人生が詰まっている言葉の数々がすごく心に残っている。生きる上で大事な事を教えてもらえた気がする。
陸上どころかスポーツ全般に興味がなくとも楽しめる
多分、スポーツものとしては「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」の方が(見た目はアレだが)王道な作り。ライバルとの出会いで始まる物語だが、あくまでお互いは触媒に過ぎず、様々な思想を持った選手たちが孤独に、ひたむきに100Mを走り抜ける。少年、青年、大人の3時代を通して成長ではなく、怖いもの知らずの神童が、愛想笑いの上手いおっさんに成り果て、引退を迫られる過程を残酷なまでに描き出す。強い意志を持って王道を外し、一息には呑み込めない過剰な思想を宿し、それでいながら「陸上競技」しかも「100M短距離走」を描く必然に満ちた傑作として成立している。ロトスコープでリアルに描いた身体に対し、男たちが走りながらに浮かべる「表情」…いや「形相」はアニメ的迫力に満ちている。ブツリ、と断ち割ったような終劇を支える、あの2人の最後の表情!また、中盤の長回し風の「高校大会決勝」の一連のシークエンス、雨の中グラウンドに入場するところから、走り切ったその後までをじっくり描き切ったあのシーンは、BGM含めアニメ史に残る迫力で、必見。
日本映画業界のシステムの悪さが出た映画
原作読了済で鑑賞しました。
全5巻の尺を106分にかいつまんでいるのでアッサリした印象を受けましたが、アニメーション作品としての強み、劇中曲の素晴らしさで概ね満足でした。
しかし、声優ではなく俳優を主人公の声に選んだ事、
企業の都合で所属グループの曲を起用。この2つは本当に悪手なんだな…としみました。
劇中曲が良かっただけに「♪ら〜しさ」とか間の抜けた曲でガッカリ…
トガシは思ったほどは気にならなかったのですが、小宮の舌っ足らずな感じが幼稚に映りとても気になりました…小宮はほとんど喋らないのに話すたびに気になるので尚更マイナスと感じました。
アニメーション部分は動きが素晴らしくて走るさまが美しく一年をかけた長回しのシーンも圧巻でした。
アニメ部分がものすごく頑張ったのに結局この2点でマイナスになってしまうのは本当にもったいないと感じました。
アニメの映像表現の可能性。
魚豊さんの『チ。』をアニメで
全話拝見していたので、
予告が出てから必ず行こうと
決めてました。
絶対面白かろう。
そして最高に面白かった、
今年は⭐︎2から⭐︎5まで
アニメ映画が良作そろいで
2025年は幸せです。
暗い、不安なニュースが多い中
日本のアニメ業界が力を発揮している
事が素直に嬉しい。
あの『音楽』という映画の監督さん
が抜擢されていることも、
興味を惹かれたもう一つの理由。
鬼滅の刃、チェンソーマン、チャオと
アニメ表現の素晴らしさを見せつける作品の
中、また別のベクトルで観客の
頭と心を芸術、技術、表現力で殴りつけてくる。
このままでは良い意味でバカになってしまう。
声優は俳優陣も起用。
しかし、個人的には違和感なく入ってきて、
素晴らしい。それぞれ主人公以外の登場人物も
リアルな感情の流れやドラマがあり
多少間延び間があった部分もあるが
中盤近くからそれ以降は目が離せない流れが
続く。
学生時代の雨の中大会の走るシーンの
流れのアニメ表現は本当に素晴らしかったし、
音楽も音楽の使い方も最高で興奮する。
それぞれの登場人物の言葉が
観客側に蓄積されて
最後の勝負であの2人が並んで走っていた
シーンは急に込み上げてきて
今まで読書しているようなじっくりと
人間ドラマを読み上げる時間からの
最後の10秒。
あの10秒がとんでもなかった。
沢山の方に見てほしい、
間違いなく面白い。
現実逃避の扱い方
「現実が何かわかってなきゃ、現実からは逃げられねぇ。現実に対して目を塞いで立ち止まるのと、目を開いて逃げるのは大きな違いだ。」
現実逃避で2強を追い抜いた海棠が一番存在感を感じた。
現実との向き合い方とメンタルケアの参考になった。
100mに狂わされた人たちの物語
生まれてから元々足が速かったトガシと、足は遅いけど走るのが好きだった小宮を中心に、100m走に狂わされた人たちの話。
天性のセンスで勝つのが当たり前な熱意はないトガシ。
現実から逃れるために走りまくる小宮。
子供・高校時代はスポ根漫画のような展開で熱くなった。
ただトガシが挫折した大人時代から、「なぜ自分は100mを走っているのか?」という哲学がメインとなる。
本作、地動説にまつわる漫画「チ。」の作者であるので、人生の意味を問うテーマは変わらず。
あらすじをほとんど知らない状態で観たのもあって、ここからの話がとても好き。
色んな人と出会い対話し、トガシが掴んだ100mを走る意味。ラストはなんだか二人が羨ましくなった。
別の映画ではあるが、2025年公開の「国宝」にも通ずるところがあった。
ひたすらに自問自答し何かを極める人は美しい。
でも正直、一番刺さったのはサングラスに髭面のおっちゃん。あんた生き様カッコ良すぎるよ。
全77件中、61~77件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。







