「今年ベストアニメ映画、最高のラスト」ひゃくえむ。 ぷみさんの映画レビュー(感想・評価)
今年ベストアニメ映画、最高のラスト
テーマとして記録、到達点、結果に終始フォーカスされている。
速さを追い求めた結果どうなるか。仁神、財津が語る。
小宮の運動会とトガシと小宮の勝負から始まり、廃部寸前の陸上部も結果で認めさせる。
高校時代も小宮とトガシの勝負の結果が大雨の演出とともにこれでもかと表現される。
社会人時代は査定で結果を求められ、結果が出せなければ辞めるしかない。
小宮も常に記録、財津を超える結果を求めていた。
それが最後にひっくり返される。最後の勝負の結果が解らず終わる。もう結果は良いでしょ?と言わんばかりのラスト。
今迄見てきた物語もいわばすべて過程、ラストシーン辿り着くまでの道筋なわけで⋯でも海棠のように結果が出せなければ財津か小宮だろってな状況に置かれる。結果が重要だと延々言っておきながら、感動を覚えたのはラストシーンまでの過程であるわけで⋯矛盾同居である。
そのどちらの側面も説得力ある形で表現され尽くした最高の映画だった。
また、少年時代から高校時代まで他人の影響を受けるような描写が多い。小宮はトガシ、財津の姿と言葉で状況を打開していく。トガシは仁神、浅草によって変化していく。他者から良い影響を受けていく。しかし、社会人になると自分自身での選択、意思の力によって変化、状況の打開が行われていく。海棠の自分自身を認める力。トガシはもう二度と走れなくなるかもしれないという中での決意。小宮の硬い決意と意思。結局は自分自身の力でどうにかしていかなくてはならなくなるわけだが、そこに辿り着くまでは他人の力は不可欠なわけで⋯これも矛盾同居である。
ストーリーラインは単純のようで前半と後半に大きな違いがあり、映画作品として素晴らしいものであると感じた。
